空気中の物質

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空気

清浄空気は、窒素78%、酸素21%、二酸化炭素0.04%の組成である。

窒素

無色、無臭、空気より軽い、燃焼しない、毒性が無い

酸素

無色(液体は淡青色)、無臭、空気より重い、それ自体は燃焼しない(支燃体)、毒性が無い。
酸素欠乏とは、酸素が18%未満の状態をいい、17%を下回ると呼吸及び脈拍の増加やめまいがおき、10%を下回ると意識障害やけいれんを生じ、7%を下回ると知覚を失う。

二酸化炭素

無色、無臭、空気より重い、燃焼しない、毒性が無い。

エアロゾル

エアロゾルとは、空気中に浮遊する固体・液体粒子のことである。(μm程度の大きさ)
液体のエアロゾル粒子は、一般に球形である。
生成過程の違いから、粉じん・ミスト・ばいじん等と呼ばれる。

形状の分類

幾何相当径

幾何形状(最大長や最大幅)から算出されるもの。
定方向径円等価径など。

物理相当径

物理的性状やふるまいが同等である球形粒子の大きさに換算するもの。
空気力学径、ストークス径、光散乱径、電気移動度径など。

粒径の目安

エアロゾル粒子の大気の質量濃度分布[mg/m3]は、粒径1~2μmを谷とした二山型分布となることが多い。
エアロゾル粒子の大気の個数濃度分布[個/m3]は、粒径0.01μmが最も多い。
主な粒径の目安は以下の通り。

  • 0.01μm:ウイルス
  • 0.1μm:たばこ煙
  • 数μm:細菌、ダニアレルゲン、バクテリア
  • 2.5μm以下:PM2.5
  • 10μm:清掃の排気発じん、胞子
  • 数十μm:花粉
  • 0.1mm以上:雨滴海岸砂

浮遊粉じん

浮遊粉じんの発生源は、たばこ人の活動外気などである。
粒径が10μm以下のものは浮遊し、1μm以下のものは、肺に沈着して有害な影響をもたらす。
空気浄化装置の発達により、不適率は、ほぼ0%に減少している。
ヒュームとは、固体が加熱蒸発してその後凝縮したもので、金属の加熱溶解・溶接などで生じる粉じんである。
粉じんの単位は、空気1立方メートル中の量で表し、[mg/m3]、[個/m3]、[cpm](粉じん計の1分間あたりの数値)などが使用される。

たばこ

健康増進法

所管は、厚生労働省である。
健康増進法により、多数の者が利用する施設を管理する者は、受動喫煙を防止する措置に努めることとされている。具体的には、喫煙器具・設備の設置禁止、喫煙室への20歳未満の者を立ち入らせないなどがあり、都道府県知事の指導等で改善が見られない場合は、最大50万円以下の過料の罰則がある。
施設の種類により第1種と第2種に分類され、第1種施設は敷地内禁煙、第2種施設は原則屋内禁煙となる。
第1種施設は、学校・病院・庁舎などで、第2種施設は、事務所・ホテルなど第1種以外の多数の者が利用する施設である。
電子たばこは規制対象外だが、加熱式たばこはニコチンを含む(紙たばこに比べれば低い)ため規制対象である。

たばこの毒性

主流煙と副流煙があり、組成が異なる。主流煙は喫煙者が吐き出す煙のことで、副流煙はたばこの火の着いた方の煙である。
副流煙は、低い温度の不完全燃焼で発生し、ニコチンやタールの量が主流煙よりも多く、発がん性は高い
受動喫煙により、肺がんや小児の呼吸器疾患のリスクが増大する。
喫煙により、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺気腫、喉頭癌のリスクが増大する。
妊娠中の喫煙により、低出生体重児の出生や早産の頻度が高くなる。

喫煙場所

喫煙専用室には、二十歳未満の者は立ち入れない旨の掲示が必要である。
局所換気により、非喫煙場所から喫煙場所方向に一定の空気の流れ(0.2m/s以上)があることを判定の基準としている。
喫煙場所内の浮遊粉じん濃度は、0.15mg/m3以下であること、一酸化炭素濃度が、10ppm以下であることを確認する。
屋内に設置された空気清浄機は、たばこ煙中のガス状物質より粒子状物質の除去に有効である。

浮遊微生物

浮遊微生物は、細菌や真菌(カビ)などでウイルスは含まない。
加湿器や結露、人体(咳よりもくしゃみが多い)などで発生する。
事務所建築物における室内浮遊細菌の主な発生源は、在室者自身である。
室内では、浮遊細菌濃度が浮遊真菌濃度より高い。
浮遊細菌濃度・浮遊真菌濃度は、体積当たりの個数[CFU/m3]で示す。
CFU(Colony Forming Unit)は、集落形成単位と呼ばれ、生きている細菌の数を示す単位である。

二酸化炭素

二酸化炭素の発生源は、ヒトの呼吸燃焼器具などである。
二酸化炭素濃度は、室内空気の汚染換気の総合指標として用いられる。
大気中の二酸化炭素濃度は0.04%程度だが、大気汚染としての環境基準は定められていない。
安静時の人の呼吸には、4%(40000ppm)程度含まれている。
二酸化炭素濃度が1~2%で不快感を感じ、3%を超えると頭痛や血圧上昇をおこし、6%程度になると呼吸困難となり、それを超えると意識不明となる。

一酸化炭素

無色・無臭の気体で、空気より軽い。可燃性で毒性がある。
石油や都市ガスなどの燃焼器具の不完全燃焼や、自動車排気、タバコの煙で発生する。
吸着性が低いので、室内で発生すると室内濃度が急激に高くなる。
一酸化炭素は容易には二酸化炭素に変化しない。
酸素より200倍以上強いヘモグロビン親和性をもち、酸素の運搬を阻害する。
血液中の濃度が5%以下では無症状だが、20%を超えると頭痛などをおこす。70~80%になると死亡する。
人体への影響は、濃度と曝露時間の積に関係する。
血液中の一酸化炭素ヘモグロビン濃度は喫煙者が高い。
自動車の排ガス規制により大気中の濃度は減少した。

窒素酸化物(NOx)

燃焼器具自動車排気ガスで発生する。火山、森林火災など自然発生の量も多い。
一酸化窒素は、空気中では直ちに酸化され二酸化窒素となる。空気中に存在するのは主に二酸化窒素である。
一酸化窒素は、血液中のヘモグロビンとの結合力が最も強い。二酸化窒素は、慢性気管支炎の原因となる。
二酸化窒素の室内の環境基準は無く、大気汚染の環境基準は、1時間値の1日平均値0.04~0.06ppm以下である。
単位は、[ppm]、[ppb]が使用される。

硫黄酸化物(SOx)

二酸化硫黄は、無色で、1ppm程度で刺激臭を伴い、20ppmで目の刺激症状をおこす。
火山活動や重油石炭の燃焼で発生する。
濃度は一般に室内より外気が高い。二酸化硫黄の大気汚染の環境基準は、1時間値の1日平均値0.04ppm以下かつ1時間値が0.1ppm以下である。
単位は、[ppm]、[ppb]が使用される。

揮発性有機化合物(VOCs)

揮発性有機化合物(VOCs)は、常温常圧で空気中に容易に揮発する有機化合物のことである。
洗剤、防臭剤、塗料、接着剤、たばこ煙、ワックス等が発生源となる。
総揮発性有機化合物(TVOC)は、空気中に存在するすべての揮発性有機化合物の総量をトルエン換算したものである。(健康への影響評価値ではない)
TVOCは、厚生労働省により暫定目標値を400μg/m3以下と定められている。
沸点を基準にVVOC、VOC、SVOC等に分類され、低沸点で揮発しやすいものは、高揮発性有機化合物(VVOC)と呼ばれる。
濃度の単位として、空気1立方メートル中の量で表し、[mg/m3]、[μg/m3]が使用される。

ホルムアルデヒド

常温では無色刺激臭がある気体として存在する、高揮発性有機化合物(VVOC)である。
可燃性である。水やアルコールに溶けやすい
35~38%の水溶液をホルマリンという。
建築物の合板・合成樹脂・接着剤・防腐剤、燃焼排気ガス、たばこ煙に含まれる。
火山や森林火災などの自然発生の量より、人為的な発生が多い。
毒性・刺激性が強い発がん性物質で、肺気腫や喘息様気管支炎、シックハウス症候群の原因といわれている。
建築物衛生法では、空気環境の基準値、水質の基準値が定められている。
ホルムアルデヒドを含む建材は3種類に分類され、それらを内装に使用する場合は、使用場所、密閉や換気などの制限がある。
クロルピリホスについては使用禁止となった。

アセトアルデヒド

ホルムアルデヒドと同様のものに含まれている。
シックハウス症候群の原因物質といわれている。

トルエン

溶剤、希釈剤として使用される。

キシレン

塗料の溶剤で発生する。

パラジクロロベンゼン

防虫剤として使用される。

オゾン

特有の臭気がある。水に溶けにくい。不安定な気体である。
化学式はO3で、酸素原子Oのみで構成される単体物質である。(化合物ではない)
強い酸化力をもち、一酸化窒素と結合し、二酸化窒素と酸素を生成する。
落雷の放電、紫外線の光科学反応、高電圧機器・コピー機レーザープリンタから発生する。タバコからは発生しない。
吸入すると肺の奥まで達するため、気道粘膜を刺激する。肺気腫の原因となる。
光化学オキシダント(紫外線で光化学反応を起こして生成される物質)として、大気の汚染に係る環境基準が定められている。
単位は、空気1立方メートル中の量で表し、[μg/m3]が使用される。

ラドン

土壌石材、コンクリート建材から発生する放射性の希ガス元素で、揮発性有機化合物ではない。
高濃度のラドンを継続して吸い続けると、肺がんのリスクとなる。
単位は、微量な物質のため、空気1立方メートル中の放射性濃度、[Bq/m3]で示す。

アスベスト

アスベストは、自然界に存在する繊維状の水和化したケイ酸塩鉱物の総称である。(人工物ではない)
アスベストの種類には、クリソタイルやクロシドライトなどがある。
過去に断熱材として建築物に使用されていたが、現在は試験研究を除き使用禁止である。古い建物などには残っているものもある。
吸引すると肺の線維化を生じさせ、肺がん(過敏性肺炎ではない)、悪性中皮腫肺繊維症(じん肺)の原因となる。
肺がんに対して喫煙との相乗作用が疫学的に示唆されている。
アスベストの健康障害は、特定の労働者に限られない
アスベストの単位は、体積や容積当たりの本数で、[本/L]、[f/L]、[f/m3]で示す。(fはfiberで本を意味する)



Ver.1.2.2

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