蓄熱・その他の空調システム

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蓄熱方式

深夜などに割安な電力で熱源を蓄熱水槽などに貯めて、必要な時(日中の空調など)に使用する。
蓄熱槽と熱源を分担するため、熱源を定格で運転できるので電力負荷の平準化や、熱源装置容量の削減に効果がある。
空調設備の延長運転や部分負荷運転を行いやすい。負荷の大きな変動に対応できる。
熱源機器のオンオフ運転が減少するので、機器の耐久性が良い。
効率は良いが、熱損失や熱取得が原因で、熱量全部を有効に利用することができない。
顕熱利用蓄熱体として、固体(地盤・コンクリートなど)が用いられる。
潜熱利用蓄熱体として、無機水和塩類が用いられる。

蓄熱槽

蓄熱槽の水は、火災時に消火用水として使用できる。

密閉式蓄熱槽

槽が密閉構造となっており、タンクは常に満水で圧力がかかった状態になっている。
循環をさせる為の動力ポンプは必要になるが、給水圧で供給することができる。

開放式蓄熱槽

密閉式に比べて、水を最高所まで上げる実揚程(ポンプが水をくみ上げられる高さ)が加わるため、循環ポンプのほかに、ポンプの運転動力が増える。
(密閉式は、機器と閉回路配管の摩擦損失のみが必要揚程となる)
水質が悪化するので水質管理が必要である。

エコアイス

氷蓄熱槽を使用するもの。
冷水より温度を低くでき、容積も小さくて済む。
氷蓄熱用不凍液配管の温度はー10~ー5℃である。
水よりも氷を作る方がエネルギーを必要とするため、冷凍機の効率(COP)は下がる。

躯体蓄熱

熱容量の大きな躯体(コンクリートなど)に蓄熱を行い、建物自体を蓄熱媒体として利用する。
熱損失が大きく、蓄熱投入熱量比(蓄熱内に投入した熱量に対し、取り出して利用した熱量の比)が小さい。
放熱の熱量制御が難しい。

その他の空調システム

タスク・アンビエント空調

空間を、居住者が長く滞在するタスク域と、滞在時間の短いアンビエント域に分けて、タスク域を効率的に空調して省エネする方法。
事務所建築物におけるパーソナル空調では、冷暖用に天井、床、デスク等の吹出しが採用されている。

ぺリメータレス空調

ぺリメータゾーンに空調設備を用いずに、インテリアゾーンと同等の温熱環境に近づける方法。

  • エアバリア:ガラスとブラインドの間に空気の流れを作る。窓下から空気を吹き出し、天井で吸い込む。
  • エアフローウィンドウ:外側のガラスと内側のガラスの間に空気の流れを作る。

低温冷風空調システム

氷蓄熱などと組み合わせて給気温度を10℃くらいに下げることで、送風量を削減し搬送動力を低減する方法。
低温での結露や、湿度の低下に注意する必要がある。

床吹出し空調システム

空間を、上下で分けて人の活動する下の居住域に効率よく空調する方法。
フリーアクセスフロアなどの二重床を利用し、床から調和空気を吹き出し、天井付近の吸込口から熱を排出する。
ダクトを使用しないので、機外静圧が低く、搬送動力を削減できる。

外気冷房

冬や春・秋の外気温度が冷房温度より低い場合に、外気を取り入れて冷房負荷を軽減する方法。
ナイトバージは、夜間や早朝の外気温度が室内の温度より低い場合に、夜間に外気を取り入れて室内の熱を逃がし、空調の立ち上がりを良くする方法。

地域冷暖房システム(熱源プラント)

エネルギー供給プラントから、一定地域内の建築物に対して、蒸気・温水・冷水の熱媒を供給する方式。
熱源装置の大型化集約化により、専門スタッフが集中管理でき効率的な運用が可能となる。危険物貯蔵のリスクが軽減される。
個別の建築物の設備スペースが小さくなる。各建築物の煙突や冷却塔が不要となり、都市景観の向上に役立つ。
熱源を管理が難しい排熱などのエネルギーを利用でき、環境負荷が減少し、公害防止対策にもなる。
配管敷設のスペースが必要となる。
規模(加熱能力21GJ/h以上)によって熱供給事業法の適用を受け、安定した熱供給が義務付けられている。
センタープラントの設備容量は、各建物の時刻別負荷集計を勘案して決定する。

建物間熱融通

近接する建物の所有者が協力して建物間を配管で接続し、冷暖房用の熱媒を互いに融通するコスト削減方式。

デシカント空調方式

温度(顕熱)湿度(潜熱)を分離制御する省エネ型の空調方式。
従来の空調では、湿度を下げるために空気を過冷却した後、再熱する方式でエネルギーを消費している。
デシカント空調では、乾燥材を使用したデシカントローターが空気中の水分を直接除去する方式で、除湿時のエネルギーが消費されず効率的である。
加湿は、デシカントローターに温風を当てて、除湿時に吸着した水を再生させて加湿する。従って外気湿度の低い暖房時の加湿能力は低くなる。
空気の相対湿度の影響が大きい。
放射冷暖房システムの結露対策としても用いられる。

原理

  1. 外気は、デシカントローターの吸着剤で除湿される。
  2. 吸着熱によって温度が上昇した乾燥空気は、顕熱交換ローターで対向する室内還気で冷却され、室内に給気される。
    冷却温度が不足している場合は、冷却コイルなどでさらに冷却する。
  3. 顕熱交換ローターの熱回収で温度が上昇した室内還気は、再生コイルでさらに加熱された後、デシカントローターに供給される。
  4. デシカントローターは回転しており、この加熱空気により吸着した水が再生され、再び外気の除湿で使用される。

細霧空調

水を霧状に噴霧するノズルを配置して、ミストの蒸発潜熱で周りの空気温度が下がる現象を利用した空調システム。
ビニールハウスなどので使用される。



Ver.1.2.1

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