冷凍機

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冷凍機とは

空間や物体を周囲よりも低い温度に冷却するための装置。
冷却の原理として、ヒートポンプなどが使用される。

冷凍トン

冷凍機の能力を表す単位。
0℃の水を、0℃の氷に相転移させる際、水から奪う必要がある熱の単位。潜熱。
0℃の水1トンを、24時間で0℃の氷にできる能力があるとき、1冷凍トン[Rt]という。

ヒートポンプ

ヒートポンプは、エアコンや冷蔵庫で使用され、逆カルノーサイクルを利用して、低い温度のところから高い温度のところへ熱をくみあげる装置である。
気化熱(液体→気体)や凝縮熱(気体→液体)を用いて、空気・水と冷媒の間で熱のやり取りをおこなう。
圧縮機を使用した圧縮式、吸収液を使用した吸収式、吸着剤を使用した吸着式などがある。
冷水と温水を同時に取り出せる機種がある。

熱源による特徴

他の熱源設備を必要とせず、1台で温熱源と冷熱源を兼ねることができる。
空気の熱を利用する空冷式、水の熱を利用する水冷式がある。
空気熱源方式の方が多く使われているが、水熱源方式の方が冷却時間が短くて済むため、一般に成績係数が高い
水熱源ヒートポンプは、一般的に冷却塔が用いられるが、地下水や河川を採熱源とするものもある。
水熱源ヒートポンプは、冷房と暖房が同時に発生する場合、排熱を温水として熱回収が図れる。
空気熱源ヒートポンプは、室外機が用いられ、暖房時期は採熱源の室外空気の温度が低いため、採熱効率が最低となる。

冷媒

冷凍機の熱の運搬役を担う。
適度な低圧・低温度で蒸発し、あまり高くない圧力・常温で液化できるものが望ましい。
アンモニアなどの自然冷媒を使用する場合、温度に対する圧力が他の冷媒に比べて高いため、高い圧縮比で運用する必要がある。
体積能力(圧縮機の単位吸込み体積あたりの冷凍能力)が良いものが望ましい。

  • 自然冷媒:アンモニア、二酸化炭素、水
  • フロン類:特定(CFC)、指定(HCFC)、代替(HFC)

冷媒と地球環境

冷媒の選定は、オゾン破壊係数(ODP)と地球温暖化係数(GWP)より判断する。
自然冷媒は環境負荷では優れている(ODP=0、GWP=0~1)が、経済性の点でフロン類に劣る。
分子構造中に塩素原子を含むものは、その塩素がオゾン層を破壊する。

  • オゾン破壊係数(ODP):大気中に放出されるガスのオゾン層破壊に関与する影響度を表す指標。
  • 地球温暖化係数(GWP):大気中に放出されるガスの地球温暖化に関与する影響度を表す指標。二酸化炭素を1としている。

フロン類の分類

地球環境の観点からCFCは全面的に製造中止され、HCFCも将来全廃の予定である。

  • CFC(クロロフルオロカーボン):オゾン破壊係数は1で高い。(R11など)
  • HCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン):オゾン破壊係数は低い。地球温暖化係数が高い。(R22など)
  • HFC(ハイドロフルオロカーボン):オゾン破壊係数は0。地球温暖化係数が高い。(R32、R407Cなど)

フロン排出抑制法

業務用空調機器などの廃棄時に、フロンガスの回収が確実に行われるように施行された法律。
第一種特定製品(冷媒としてフロンを使用している業務用空調機器など)について、自身による3か月に1回以上の簡易点検(主に室外機の外観目視点検)、有資格者による1年または3年に1回以上の定期点検を行うことを義務付けている。

混合冷媒

冷媒には、単一の組成の冷媒と複数の冷媒をミックスした混合冷媒がある。
液体、気体で成分割合も違ってくる。混合比が規定と違ってくるため、充填時は液状態で行う。

共沸混合冷媒

一定の沸点を持ち、あたかも一成分であるかのような相変化を示すもの。(冷媒番号が500番台)

非共沸混合冷媒

露点と沸点が分離した単なる混合物としての性質を示すもの。(冷媒番号の400番台)
液と蒸気の状態の沸点が違うため、蒸発や凝縮が早かったり遅かったりする。(沸点の低い冷媒が早く蒸発し、沸点の高い冷媒が早く凝縮する)

擬似共沸混合冷媒

構成する成分の冷媒特性が近似するため、気液の組成変化が小さいもの。共沸混合冷媒とみなすことができる。(R410A)

アンモニア

毒性が強く微燃である。
銅(真鍮)に対して腐食性があるので銅管は使えない。
水には溶けるので少量の水分は問題ない。潤滑油とは溶けない。
液は油より軽いので、油はタンクの底に貯まる。ガスは空気より軽い。
高温になる為、潤滑油が劣化するので、不要な油は取り除く必要がある。
沸点は高い。(-33.4℃)、圧縮機吐出しガス温度は高い。(100℃超)

フルオロカーボン(フロン)

毒性が低く、不燃で安全である。
銅に対して腐食性は無いので、装置に銅を使用できる。
2%を超えるマグネシウムを含有したアルミニウム合金は使用できない。
水に溶けないので、水分が入ると温度の低いところで凍結し、膨張弁を詰まらせる。また加水分解して酸性になり金属を腐食させる。
潤滑油と溶けるので、冷媒とともに装置内を循環する。圧力が高く、温度が低いほど溶けやすい。
液は油より重く、ガスは空気より重い。

R22(HCFC)

凝縮温度(飽和温度)46℃での圧力は約1.67MPa、蒸発温度(飽和温度)2℃での圧力は約0.43Mpaとなる。
潤滑油は鉱油を使用する。

R407C(HFC)

R22の代替冷媒として開発されたR32、R125、R134aの3成分からなる非共沸混合冷媒。
ガスの凝縮温度(飽和温度)46℃での圧力は約1.70MPa、液の蒸発温度(飽和温度)2℃での圧力は約0.50Mpaとなる。
圧力、能力、効率などの特性がR22に極めて近い特長を持ち、主にルームエアコン、パッケージエアコン用の冷媒として使用される。
潤滑油は合成油を使用する。

R410A(HFC)

R22の代替冷媒として開発されたR32とR125の2成分からなる擬似共沸混合冷媒。
ガスの凝縮温度(飽和温度)46℃での圧力は約2.69MPa、液の蒸発温度(飽和温度)2℃での圧力は約0.75Mpaとなる。
R22やR407Cと比較すると圧力は高くなる。
R22に比べ高圧のため冷暖房能力が高く、主にルームエアコンやパッケージエアコン用の冷媒として使用されている。

R32(HFC)

R410Aの構成成分の一つで、地球温暖化係数はR410Aの約1/3であり、R410Aの代替冷媒として開発されたもの。
飽和温度の特性はR410Aとほぼ同じである。
主にルームエアコンで採用されている。

ブライン

凍結点が0℃以下の液体で、それの顕熱を利用して物を冷却する媒体。不凍液。
0℃以下の冷媒が必要な場合、製氷・食品冷凍などで使用する。
酸素が溶け込むと腐食性が促進され、水分が凝縮して取り込まれると濃度が低下するため、空気とできるだけ接触しないように扱う。
塩化カルシウム(-55℃)や塩化ナトリウム(食塩)(-21℃)が使用されるが、これらの無機ブラインは腐食性が強いので腐食抑制剤が必要になる。



Ver.1.2.2

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