膨張弁の役割と種類
膨張弁の役割
凝縮器からの中温高圧の液体を、比エンタルピーが一定の絞り膨張させて低温低圧にして、気化しやすくする。
蒸発器出口の過熱度(3~8℃)が一定になるように、冷媒流量の調節を行う。
弁容量が過大だと、冷媒流量の制御が緩慢になり、冷媒流量と過熱度が周期的に変動するハンチングという現象が起こる。
弁容量が過少だと、負荷が大きい状態で冷媒流量の不足を起こす。
膨張弁
定圧自動膨張弁
冷媒の蒸気圧力を一定にするように作動する。
蒸発圧力が設定値より低くなると開き、高くなると閉じる。
過熱度は制御できないので、負荷変動の少ない小規模設備に向いている。
温度自動膨張弁
蒸発器の出口で冷媒ガスの温度を感温筒により検知して、ダイヤフラム弁を動かして流量を調節する。
- 弁が開の時:冷媒の流入量が多く、蒸発器で蒸発されない冷媒が残る。蒸発器出口の冷媒温度が低くなる。
- 弁が閉の時:冷媒の流入量が少なく、蒸発器の途中で冷媒がすべて蒸発してしまう。蒸発器出口の冷媒温度が高くなる。
キャピラリーチューブ
銅製の毛細管。 小容量の冷凍装置(冷蔵庫など)で膨張弁の代わりとして使用される。
凝縮器から出た低温・高圧の冷媒を、細い管に通すことで、速度を上げて低温・低圧にする。(ベルヌーイの定理)
流量調整ができないので過熱度の制御もできない。

温度自動膨張弁の構造


圧力の伝達方式
内部均圧形
ダイヤフラム下面に伝える圧力が、膨張弁出口そのままのもの。
外部均圧形
ダイヤフラム下面に伝える圧力が、蒸発器出口の感温筒の下流から外部均圧管を通して接続されているもの。
蒸発器にディストリビュータを使用している場合は、膨張弁出口から蒸発器出口までの圧力低下が大きいので、外部均圧形を使用しなければならない。
また、膨張弁の容量も小さくなる。
感温筒
蒸発器の出口管に取り付けて冷媒ガスの温度を検出する。
温度によって感温筒と膨張弁のキャピラリーチューブ内が、高温で高圧、低温で低圧となることにより、ダイヤフラム弁が動いて冷媒ガスの流量を調節する。
感温筒が外れると、温度(圧力)が上昇し、膨張弁が開いて液戻りを生じる。
封入ガスが漏れると、圧力が下がり膨張弁が閉じる。
感温筒内の冷媒の液チャージ
蒸気と液の状態とする。
常に飽和圧力が保たれ正常に作動する。
感温筒の温度が高いと圧力も上昇し続け、破損するおそれが出てくる。
感温筒内の冷媒のガスチャージ
冷媒液を少なく制限する。
感温筒の温度が高いとすべて蒸発して過熱蒸気となり、それ以上圧力は上がらないので破損のおそれはない。
ダイヤフラムの温度が感温筒より低いと、ダイヤフラム側に冷媒が移動して凝縮してしまう為、感温筒側に液が無くなってしまい、飽和圧力を保てず正常に動作しなくなる。
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