蒸発器の種類
乾式蒸発器
冷却管内の液冷媒が、冷却管外の空気・水・ブラインと熱交換し、蒸発して気化することで熱を奪い冷却を行う。
空気を冷却するプレートフィンチューブ方式や、水やブラインを冷却するシェルアンドチューブ方式などがある。
プレートフィンチューブ方式
冷却管の外側で空気がフィンに沿って流れ、冷媒は管の中で蒸発する。
蒸発器を流れる空気の方向と冷媒の流れる方向は逆方向にする。
蒸発器出口の冷媒が過熱されるように、出口付近で冷却されていない温度の高い空気に当てることで過熱を促進させる。
シェルアンドチューブ方式
冷却管に冷媒を流し、シェル内の水・ブラインを冷却する。(冷やしたい方(水・ブライン)がシェル側)
冷媒の熱伝達率は、水・ブラインよりも小さいので、冷却管の内側(冷媒側)にフィンを持つインナフィンチューブを使用する。
フィン間に霜が付かないように冷凍用の方が空調用よりも間隔が広い。
満液式蒸発器
シェルに冷媒液を満たし、シェル内の伝熱管内に水やブラインを流すことで冷却する。(乾式と逆の構図になる)
伝熱管が冷媒液で浸されているので、冷媒の過熱部(ガスとなる部分)が無いため熱通過率は乾式よりも良い。
蒸発器が冷媒液で満たされるので、冷媒内の油の分離と油戻しが難しく、圧縮機の手前にも専用の油分離装置が必要になる。
冷媒液強制循環式蒸発器
液ポンプ方式とも呼ばれ、蒸発器の蒸発量よりも多い(3~5倍)冷媒液をポンプで強制的に蒸発器に送る方式。
蒸発器の手前に低圧受液器を設置し、そこからポンプで送り出す。未蒸発の冷媒液はそこに戻す。(高圧受液器は通常の凝縮器出口の受液器である)
強制的に循環するので熱伝達率は大きく、多数の蒸発器に充分に冷媒を供給できる。
低圧受液器は液ポンプが蒸気を吸い込まないように、液面に出ないように液面調整を行う必要がある。
設備が複雑で冷媒充てん量が多いので、大規模な冷蔵庫などで使用される。
蒸発器の構成
蒸発圧力調節弁
蒸発器出口配管に取り付けて、蒸発圧力が設定値よりも下がるのを防止するように制御する。
主に水またはブライン冷却器の温度低下での凍結を防止する。
1台の圧縮機に複数の蒸発器がある場合、温度(圧力)の高い蒸発器側に取り付けて、圧力の低下を防ぐ。
バッフルプレート
シェルアンドチューブ式で、シェル内に設けられた流体の流れを阻止する板。
水やブラインが冷却管に対して直角に流れるようにして、水・ブラインの熱伝達率を向上させる。
ディストリビュータ
多数の伝熱管に均等に冷媒を分配する分配器。
蒸発器の冷媒の入口側に設置する。
圧力低下があるので、その分膨張弁の容量は小さくなる。
液ガス熱交換器
フルオロカーボン冷凍装置で、凝縮器出口の高温高圧冷媒液と、蒸発器出口低温低圧冷媒ガスとの間で熱交換させるもの。
冷媒液の過冷却(フラッシュガスの発生を防止)、冷媒ガスの過熱(圧縮機への液体吸入防止)を行うために使用する。
アンモニア冷媒は温度が高いので使用しない。
ユニットクーラ
冷蔵庫の蒸発器の部分で、ファンを使って庫内に冷却した風を廻して冷やす。
蒸発器の保守
水・ブライン冷却器は容器内で凍結すると、体積膨張で破壊されるため、サーモスタットや蒸発圧力調節弁などで蒸発器温度が下がりすぎないように調節する。
デフロスト
庫内温度が10℃以下になると蒸発器に霜付きが生じ、フィンが目詰りする。この霜を取る除霜のこと。
蒸発器なので、空冷式では暖房時に外気温度の低下などで起こる。
冷蔵庫外の排水管にトラップを設けると、外気の侵入を防止できる。
以下のような方法がある。
- 散水(10℃~25℃)する。ただし、送風機を止めて行う。
- 圧縮機の出口の高温ガスを使用して顕熱と潜熱で霜が薄い状態で除霜する。(ホットガス法)
- 不凍液を散布する。
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