冷却塔

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冷却塔の役割

主として冷凍機の凝縮熱を大気に放出するための装置として利用され、冷却水循環系統の一部を形成する。
冷却水を水と空気の接触による蒸発(潜熱)によって冷却する。
冷却水配管は20~40℃で使用する。

アプローチ

冷却水の出口温度と外気湿球温度の温度差。通常は5℃程度である。
冷却水の温度は、湿球温度(蒸発によって冷却できる最低温度)よりも低くはできない。
(相対湿度100%(蒸発できない)の時に乾球温度=湿球温度となるため)
一般に外気の湿球温度が低く、冷却水温度が低い方が冷凍機の凝縮温度が低くなって、成績係数(COP)が向上する。

クーリングレンジ

冷却塔出口と入口の冷却水の温度差。通常は5℃程度である。

冷却塔の分類

開放型

外気と冷却水を直接触れさせて、冷却水の一部蒸発することにより残りの水を冷却する。
冷却水の損失は熱を取り除くために要する蒸発分と、ファンによって空気とともに微小水滴として運び去られるキャリーオーバーと呼ばれるものがある。
開放型冷却塔では、全体の循環水量の2%程度が失われるため、冷却水の補給が必要である。
密閉型冷却塔に比べて小型である。
白煙防止対策として、冷却塔の壁面に熱交換器を設置して外気を加熱する方法がある。

構造

  • 向流型(カウンターフロー):丸型冷却塔の構造で、上から落ちる冷却水に下から外気を当てる方式。
                 下部のルーバから冷却水が飛散しやすい。
  • 直交流型(クロスフロー):角型冷却塔の構造で、上から落ちる冷却水に直角方向から外気を当てる方式。

密閉型

冷却水を密閉された管の中に通し、管への散布水によって冷却水を冷却する。
冷却水と空気が間接的に熱交換するため、通風抵抗が大きく、送風動力が大きくなるので効率が悪い
散布水ポンプにかかわる機構が付加されるため、コストが割高となる。
開放型冷却塔に比べて装置は大きくなる。
散布水系統の保有水量が少なく不純物の濃縮が激しいため、水質管理は厳密に行う必要がある。
冷却水が直接外気に触れないので汚染は少なく、冷凍機の性能低下が少ない
冷凍機の信頼性を要求される電算室クリーンルーム系統用に採用されることが多い。

冷却塔の構成(密閉型)

<画像出典:荏原冷熱システム>

  1. 冷却塔用モータ:ファンを回転させるモータ。
  2. ファン:外気を取り込む送風機。
  3. ファンガード:ファンの保護用金網。
  4. ベルトカバー:ベルト駆動装置のベルト防護カバー。
  5. ファンケーシング:送風機の周囲を形成するケーシング。
  6. 上部散水槽:循環水を熱交換器に散布させるために多数の散水孔を有する水槽。
  7. 本体骨組:冷却塔本体の骨組。
  8. ルーバ:塔本体の空気入口部に設けられ、空気の流入を導くとともに水滴の外部への飛散と異物の浸入を防止する部材。
  9. 内部配管:冷却水、散布水を通す塔内の配管。
  10. 充てん材:冷却水と外気との接触面積を増やす役割を果たす部材。
  11. 下部フレーム:本体下部のフレーム。
  12. 下部水槽:塔下部にある散布水を集める槽。
  13. ストレーナ:管内の液体から、異物を除去するために配管に取り付ける機器。
  14. 梯子:点検用梯子。
  15. 外側板:冷却塔を囲む外殻。
  16. 落し込み水槽:下部水槽の最低部。
  17. 点検口:塔内側に入るための点検口。
  18. 熱交換器:冷却水が外気と熱交換される部分。冷却水の通る銅管コイルが散布水により冷却される。
  19. 散布水ポンプ:下部水槽の散布水を上部散水槽へ循環させるポンプ。
  20. エア抜きバルブ:冷却水配管のエア抜きを行うバルブ。

冷却塔の水質管理

開放式冷却塔では冷却水の水質管理、密閉式冷却塔では散布水の水質管理が重要である。
水質管理として、強制的な循環水ブロー及び補給、薬品による水処理等が必要である。
冷却塔に供給する水は、水道法第4条に規定する水質基準に適合していることが求められる。

レジオネラ菌

レジオネラ菌は37~41℃が増殖に最適な水温のため、冷却塔内は繁殖しやすい。
定期清掃、薬剤投入を行い、スライムを除去し、菌数をチェックして繁殖を防ぐ必要がある。
レジオネラ菌は肺炎の原因となる。

ブロー

開放式冷却塔の循環水および密閉式冷却塔の散布水は蒸発によって濃縮される。
濃縮された水は接触する金属部分を腐食させたり、藻の発生やスケール析出の原因となる。
それらを防ぐために濃縮された水の一部を捨て、定期的に給水して冷却水を常にきれいに保つようにしなければならない。
濃縮管理方式は、冷却水の電気伝導率を連続で測定して、強制ブローで補給水量を調節する。

水処理薬剤

水質管理のため、防錆剤、防スケール剤、殺菌剤などを2~7日の間隔で薬注装置を利用して連続的に注入する。
薬剤が徐々に溶け出すパック剤は、約1~3か月間効果が持続するため、薬注装置を利用しなくて済む。
冷却水系を化学的に殺菌洗浄するには、過酸化水素塩素剤などを循環させる。

冷却塔の保守

設置

外気取り入れ口は、開放型冷却塔からは10m以上離して設置しなければならない。

点検

冷却塔及び冷却水は、その使用開始後、1カ月以内ごとに1回、定期にその汚れの状況を点検する。

清掃

冷却塔及び冷却水の水管は、1年以内ごとに1回清掃する。



Ver.1.2.2

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