吸収式冷凍機

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吸収式冷凍機とは

圧縮機の代わりに、吸収器と再生器(発生器)を使用して、化学的な冷凍サイクルを用いる。
空調用では、冷媒として水を使用し、蒸発した水を回収する吸収液に臭化リチウムが使われる。環境に優しい。
冷凍用では、冷媒としてアンモニアを使用し、吸収液に水が使われる。アンモニアは扱いに注意が必要である。
吸収冷凍機内は真空であり、圧力による破裂などのおそれがない。圧力が低いため、特別な運転資格は必要としない。

利点

熱源を利用した冷凍サイクルで、多様な熱を利用できるので、排熱回収に適している。
圧縮式に比べて機械的動力を減らせるので、消費電力量が少なく、騒音・振動が少ない。

欠点

冷凍サイクルは化学反応で行っているため、圧縮式冷凍機と比較すると立ち上がりが遅く、エネルギー効率も劣る。
排気が大きく、冷凍機の大型化や、冷却塔などの大きな熱放出装置が必要となる。

吸収式冷凍サイクル

吸収式冷凍機は、蒸発器吸収器再生器凝縮器で構成される。
冷凍サイクルは、蒸発→吸収→再生→凝縮となる。
蒸発器は水を低い温度(6℃程度)で蒸発させるために真空にしている。
蒸発した水蒸気は蒸発器の真空度を低下させるので、吸収器で水蒸気を吸収液に吸収させて、再生器で再び水蒸気に戻している。
圧力で見ると、真空系の蒸発器・吸収器、常圧系の再生器・凝縮器となる。

蒸発工程

液体の冷媒(水)が、室内を冷やす冷水水管から熱を奮って蒸発し、気体(水蒸気)となる。
真空に近い低圧で6℃程度で冷媒の水が蒸発する。
気化熱を利用して冷房用の冷水を作る。

吸収工程

冷媒の気体(水蒸気)は、散布された吸収液に溶け込んで薄い吸収液となる。
吸収時に吸収熱が発生するため、冷却塔の冷却水で冷やす。
水蒸気が吸収液に吸収され液体になるとき、体積が小さくなるため吸収器と蒸発器の圧力が下がり、低圧を保つ。
(冷却塔から冷却水が送られ、冷媒から熱を奪い、凝縮器へ送られる)
冷媒(水)を吸収した吸収液は、ポンプで再生器へと押し出される。

再生工程

冷媒(水)の溶け込んだ薄い吸収液は、ボイラなどの蒸気で加熱され、冷媒(水)を気化し水蒸気として取り出して、凝縮器へ送る。
冷媒(水)が除かれて分離・濃縮された吸収液は吸収器へ戻される。

凝縮工程

冷媒の気体(水蒸気)が、冷却塔の冷却水で冷やされ、凝縮され液体となる。
(吸収器から送られた冷却塔の冷却水は、冷媒から熱を奪い、冷却塔へ戻され熱を放出する)
凝縮器内で水に戻った冷媒は、膨張装置で減圧され蒸発器に流れる。

吸収式冷凍機の構成

  • 単胴型:一つの胴に蒸発器・吸収器・再生器・凝縮器が内蔵されている。
  • 双胴型:上部に再生器・凝縮器、下部に蒸発器・吸収器があるもの。

吸収式冷凍機の機能

二重効用

再生器を高温と低温の二段にして、高温側での冷媒の蒸気の熱を低温側で再利用してボイラの熱を有効に使い、冷却塔を小型化するもの。高温の熱源が必要となる。

冷温水同時取出

再生工程で使用する加熱用熱源があるため、冷水・温水の同時供給が可能である。

吸収式冷凍機の暖房運転

暖房運転時は、再生器の高温の冷媒水蒸気を凝縮器を通さずに直接蒸発器に送り、冷温水管を加熱して温水を作る。(凝縮器は使用しない)
蒸発器で凝縮され液化した冷媒水が吸収器に流入して、再び吸収液ポンプで再生器に送り込まれるサイクルになる。
吸収器には既に液化した冷媒水が流入してそのまま吸収液に吸収される。凝縮器による冷却も必要ないため、冷却水-冷却塔系統の運転は不要になる。

吸収冷温水機

吸収式冷凍機と原理は同じで、1台の機器で冷水又は温水、あるいはこれらを同時に製造する装置。
再生器で使用する熱源で温水を製造する。
直焚き式吸収冷温水機は、バーナーの燃焼で再生器を直接熱するもので、燃料として主にガスが使用されている。



Ver.1.2.2

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