ボイラーの規定

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ボイラーの定義

ボイラーは、水を火気などで加熱して、大気圧を超える蒸気又は温水を作り、他に供給する容器である。
蒸気を作る蒸気ボイラーと、温水を作る温水ボイラーがある。
真空式温水発生機や直だき吸収冷温水機は、内部圧力が大気圧より低いので、ボイラーに該当しない。
無圧式温水発生機は、蒸気室が大気に開放されているので、同様にボイラーに該当しない。

ボイラーの区分と資格

ボイラーは、伝熱面積ゲージ圧力により、ボイラー小型ボイラー簡易ボイラーに区分される。

  • 簡易ボイラー:資格は不要である。
  • 小型ボイラー:特別教育を受けた者。
  • ボイラー:講習修了者、ボイラー技士の免許取得者。

ボイラーを取り扱う資格には、小型特別教育修了者、小型技能講習修了者、二級ボイラー技士、一級ボイラー技士、特級ボイラー技士がある。
簡易ボイラー以外のボイラーは、上記の区分に該当するボイラー取扱作業主任者を選任して維持・管理が義務付けられている。
ボイラー技士での区分は伝熱面積によって決まり、25m2未満までが2級、500m2未満までが1級、それ以上は特級となる。
ボイラー整備士は、一定規格以上のボイラーや第一種圧力容器を点検整備、内部を分解清掃することができる資格である。

蒸気ボイラー

伝熱面積による区分は以下の図となる。(3m2以下はボイラー技士不要)

胴の径と長さによる区分は以下の図となる。(胴の内径750mm以下かつ長さ1300mm以下はボイラー技士不要)

温水ボイラー

伝熱面積による区分は以下の図となる。(14m2以下はボイラー技士不要)

貫流ボイラー

伝熱面積による区分は以下の図となる。(30m2以下はボイラー技士不要)
気水分離器が内径400mm以下かつ容積0.4m3以下のものは簡易ボイラーとなる。

伝熱面積

伝熱面積は、燃焼ガスが触れる側の面積である。
実際の伝熱面積と資格判定時の伝熱面積は、ボイラーの種類によって異なる。

伝熱面積

安全に停止できる自動制御装置がある複数のボイラーは、最大の伝熱面積のボイラー1基分のみを面積として算入する。

  • 煙管ボイラー:ガスが触れる煙管の内側で、裏面が水または熱媒に触れるものの面積である。
  • 立てボイラー(横管式):横管の外径側で算定する。
  • 水管ボイラー:ガスが触れる水管の外側で、ひれの部分は、係数を乗じて算入する。耐火れんがでおおわれた水管も含む。蒸気ドラムは含まない。
  • 貫流ボイラー:燃焼室の入口から過熱器の入口までのガスが触れる水管の外側の面積である。(過熱管は含まない)

資格判定時の伝熱面積

  • 貫流ボイラー:実際の伝熱面積を1/10にした面積である。
  • 廃熱ボイラー:実際の伝熱面積を1/2にした面積である。
  • 電気ボイラー:20kWを1m2とした面積である。

ボイラー取扱作業主任者の職務

  • 圧力、水位及び燃焼状態を監視すること。
  • 急激な負荷の変動を与えないように努めること。
  • 適宜、吹出しを行い、ボイラー水の濃縮を防ぐこと。
  • ボイラーについて異状を認めたときは、直ちに必要な措置を講ずること。
  • 排出されるばい煙の測定濃度及びボイラー取扱い中における異常の有無を記録すること。
  • 低水位燃焼しゃ断装置、火炎検出装置その他の自動制御装置を点検し、及び調整すること。
  • 1日に1回以上水面測定装置の機能を点検すること。

ボイラーの設置

ボイラー設置の流れは以下のようになる。
設置前は都道府県労働局長で、設置後は労働基準監督署長の管轄となる。

  • 新規設置の場合:製造許可→溶接検査→構造検査→設置届→設置→落成検査。
  • 輸入、再使用の場合:使用検査→設置→落成検査。

ボイラーの設置申請

製造許可

製造許可申請は、都道府県労働局長に行う。

溶接検査

ボイラーの溶接をしようとする者は、都道府県労働局長の溶接検査を受ける。
検査を受ける者は、機械的試験の試験片と放射線検査の準備をして、検査に立ち会わなくてはならない。
ボイラーの溶接は、管台やフランジを除いて、特別ボイラー溶接士がおこなう。

構造検査

製造した者は、都道府県労働局長の構造検査を受ける。
合格した移動式ボイラーに対しては、ボイラー検査証を交付する。
溶接によるボイラーは、溶接検査に合格した後でないと受けられない。
検査を受ける者は、検査しやすい位置におき、水圧試験の準備をする。
安全弁と水面測定装置をそろえて、検査に立ち会わなくてはならない。

設置届

設置する事業者は、所轄労働基準監督署長に届出をする。
届出は、ボイラー設置届、ボイラー明細書、ボイラー室と周囲の状況・配管の配置・燃焼室と煙道の構造・燃焼が正常に行われていることを監視する処置についての書面が必要となる。
移動式ボイラーの設置時は、ボイラー設置報告書、ボイラー明細書、ボイラー検査証を提出する。
届出は、工事の着工30日前までで、溶接検査や構造検査の前でもよい。
現地組み立て式水管ボイラーは、構造検査を受ける前に設置届を提出する。

落成検査

ボイラーを設置した者は、所轄労働基準監督署長の落成検査を受ける。
検査はボイラー室、ボイラー及びその配管の配置状況、ボイラーの据付基礎並びに燃焼室及び煙道の構造の3項目である。
合格するとボイラー検査証を交付する。

使用検査

ボイラーを輸入した者、構造検査または使用検査を受けて1年以上設置されなかったボイラー、廃止したボイラーを再使用する者は、都道府県労働局長の使用検査を受けなければならない。

ボイラーの届出

変更

ボイラーを変更する場合は、変更工事開始の日の30日前までに所轄労働基準監督署長に変更検査申請を行う
変更の届出が必要なのは、煙管・水管を除くボイラー本体、燃焼装置、据付基礎、附属設備(過熱器・エコノマイザ)である。
事業者の変更があった場合は、変更後10日以内に所轄労働基準監督署長にボイラー検査証書替申請を行い、ボイラー検査証を書き替える。(ボイラー検査証の書替え)

休止

休止期間がボイラー検査証の期間を渡る場合は、有効期間中に所轄労働基準監督署長に休止を報告する。
休止から再使用する場合は、所轄労働基準監督署長の使用再開検査を受けなければならない。

廃止

廃止した場合は遅延無く、所轄労働基準監督署長にボイラー検査証を返還する。(ボイラー検査証の返還)

事故

ボイラーの破裂、煙道ガスの爆発・破裂は、事故報告書を所轄労働基準監督署長に届け出る。

ボイラーの設置基準

設置場所は、専用の建物または障壁で区画された場所であること。(但し伝熱面積3m2以下のものを除く)
出入口は2以上あること。(すぐに避難できれば1つでよい)
排ガスの監視は、窓などを設置して燃焼を容易に確認できること。
爆発戸がボイラー技士の作業場所から2m以内にある場合は、爆発ガスを安全に分散させる装置を設けること。

ボイラーの据付位置

  • 天井・配管の上部まで1.2m以上。
  • 壁・配管の側部まで0.45m以上。(本体を被覆していないか、立てボイラー)
             0.3m以上。(胴が内径500mm以下、長さ1000mm以下)

可燃物との距離

  • 燃料はボイラーから2m以上離す。(但し固体燃料は1.2m以上)
  • 煙道から0.15m以内のときは、金属以外の不燃物で被覆すること。
    (但しボイラーが100mmの不燃物で被覆されている場合は必要ない)

ボイラーの検査

小型ボイラ、簡易ボイラ以外のボイラは、1カ月以内に1回定期自主検査と、1年以内に1回労働基準監督署の性能検査を行う。
小型ボイラは、1年以内に1回、定期自主検査を行う。
簡易ボイラは、定期検査の義務はない。

ボイラーの定期自主検査

定期自主検査は、1カ月以内ごとに1回(小型ボイラーは1年以内に1回)実施し、結果は3年間保存する。
定期自主検査の項目は以下のものがある。

  • ボイラー本体:損傷の有無
  • 燃焼装置:バーナ・バーナタイル・炉壁(損傷の有無・汚れ)
         ストレーナ(損傷の有無・詰まり)
         ストーカ(損傷の有無)
         煙道(損傷の有無・漏れ・通風圧)
  • 自動制御装置:水位調整装置・圧力調整装置(機能の異常の有無)
           電気配線(端子の異常の有無)
  • 附属装置及び附属品:給水装置(損傷の有無・作動の状態)
              水処理装置(機能の異常の有無)
              蒸気管・弁(損傷の有無・保温)
              空気予熱器(損傷の有無)

ボイラーの性能検査

ボイラー検査証の有効期間は原則1年間(例外的に1年未満や1~2年もある)であり、更新は有効期間が満了するまでに性能検査を受険することでおこなう。
性能検査は、所轄労働基準監督署長、又は性能検査代行機関が行い、検査には立会いが必要である。

ボイラー検査証

事業者は、厚生労働大臣の定める基準に適合したボイラーを使用しなければならない。
事業者は、ボイラー検査証、ボイラー取扱作業主任者の資格と氏名をボイラー室その他見やすい場所に掲示すること。
事業者は、移動式ボイラーでは、ボイラー検査証又は写しを作業主任者に所持させること。
ボイラー検査証を損傷・滅失した場合は、再交付を申請する。(ボイラー検査証の再交付)

ボイラーの水圧試験

容器製造時又は輸入時に検査又は検定の実施が義務付けられている。
最高使用圧力又は常用圧力の1~1.1倍で行い、所定の圧力に達してから約30分間保持して、圧力の低下が無いかを確認する。
水の温度は常温とし、結露などにより漏れ水滴が判断できなくならないようにする。また、凍結などがあるため、満水のまま放置しない。
鋳鉄製ボイラーで、試験のため締め付けを増した場合は、終了後は元の状態に戻す。
試験の際、安全弁は、ばねの締め付けを行わない。安全弁のフランジに遮断板を入れた場合は、試験後は取り外す。



Ver.1.2.0

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