ボイラーの構成2

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ボイラーの安全装置

安全弁

ボイラー内部の蒸気圧力が最大使用圧力になった場合、蒸気を自動的に放出してボイラーの破裂を防ぐ。
ばね安全弁、おもり安全弁、てこ安全弁などがある。
弁に作用する力は、面積×圧力で求まる。
ばね安全弁には、弁座流路面積(弁体と弁座の隙間)が最小となる揚程式と、下方の喉部より大きくなる全量式がある。

設置

伝熱面積が50m2以下で1個、その他は2個設置し、ばね安全弁が一般的である。
2個以上の安全弁を共通の管台に設けるときは、管台の断面積が安全弁の合計面積以上となるようにする。
水の温度が120℃を超える温水ボイラーには、安全弁を備えなければならない。
安全弁はボイラー本体に直接取付け、弁軸を鉛直にすること。温度が最も高くなる出口付近に設ける。
貫流ボイラーは、最大蒸気量以上を吹き出す安全弁を、過熱器の出口付近に設けることができる。

圧力調整

安全弁が1個の場合の設定は、ボイラーの最高使用圧力以下とする。
設定圧力は、過熱器用安全弁<ボイラーの最高使用圧力以下<ボイラーの最高使用圧力3%増以下<エコノマイザの逃がし弁の順となる。
過熱器の安全弁は、燃損防止のため、出口付近に設計温度以下に保持するものを備える。
最大使用圧力が異なるボイラーで共用する場合は、最も低いボイラーに合わせる。

試験と維持管理

安全弁の調整ボルトを定められた位置に設定した後、ボイラーの圧力をゆっくり上昇させて安全弁を作動させ、吹出し圧力及び吹止まり圧力を確認する。
設定圧力になっても作動しない場合は、ボイラーの圧力を設定圧力の80%程度まで下げて、調整ボルトを緩めて再度試験する。
手動試験では、最大使用圧力の75%以上で行う。テストレバーで吹き出しテストが行える。
ばねの調整はみだりに行わない。
安全弁に漏れが生じるのは、弁体と弁座のずれや、すり合わせの悪さ、ばねの腐食が原因である。(ばねの締め付けで調整しないこと)
安全弁が作動しないのは、ばねの締めすぎ、弁体円筒部の密着や弁棒の曲がりの問題である

水位検出器

低水位の警報と燃料遮断に使用する。
原則2以上設置し、確実性を得る為に異なる方式が望ましい。
オンオフ制御である。

フロート式水位検出器

フロートの位置で水位を検出する。
作動確認のため1日1回以上吹出しを行い、作動点検をする。(スケールの除去ではない)
1年に2回程度、フロート室を分解し、フロート室内のスラッジやスケールを除去するとともに、フロートの破れ、シャフトの曲がりなどがあれば補修する。
マイクロスイッチ端子間の電気抵抗をテスターでチェックする場合、抵抗がスイッチが開のときは無限大で、閉のときは導通があることを確認する。

電極式水位検出器

水柱管内の電極に流れる電流の有無で水位を検出する。
電極式水位検出器は、電流を水に流すので、純水を使用したボイラーでは使用できない。
1日に1回以上、ボイラー水の水位を上下させ、水位検出器の機能を確認する。
1日に1回以上、水の純度の上昇による電気伝導率の低下を防ぐため、検出筒内のブローを行う。
1年に2回程度、検出筒を分解し、内部を掃除するとともに、電極棒を目の細かいサンドペーパーで磨く。

連絡管

水位検出器の水側連絡管は、呼び径20A以上の管を使用する。
水位検出器の水側連絡管及び蒸気側連絡管のバルブやコックは、開閉状態が外部から明確に識別できるものとする。
水側連絡管のバルブやコックは直流形(直線に水が流れるもの)の構造のものが良い。
バルブやコックは、直列に2個以上取り付けないこと。

高低水位警報器

水面計と同様の役割で、水面によって警報を通知する。
フロート式、電極式、電気式などがある。

蒸気圧力制限器

一般にオンオフ式圧力調節器が用いられ、ボイラーの蒸気圧力が異常に上昇した場合などに、直ちに燃料の供給を遮断する。

低水位燃料遮断装置

水位が安全低水面以下である場合に、自動的に燃料の供給を遮断する。

吹出し装置

吹出しは、溜まったスラッジを排出し、ボイラー水の濃度を低く保つため、少量のボイラー水を排出すること。

吹出し弁

最高使用圧力1MPa以上の蒸気ボイラー(貫流ボイラーを除く)は、吹出し弁を2個(弁とコックでもよいがコック2個はダメ)を設ける。
これらの弁はそれぞれ独立して設けること。(並列はダメ)
最高使用圧力1MPa未満のボイラーでは、吹出し弁の代わりに吹出しコックが用いられることが多い。
スラッジが溜まるなどによる故障を避けるため、玉形弁ではなく、仕切弁又はY形弁が用いられる。

間欠吹出し

胴の下部の吹出し弁によって、ボイラー停止中または負荷が低い時に行うものである。
水管ボイラーの水冷壁、鋳鉄製ボイラー、温水ボイラーは、運転中には行わない。
ボイラー側の第1吹出し弁(急開弁)を全開し、第2吹出し弁(斬開弁)を徐々に開く。閉じる時は、斬開弁から閉じる。
吹出しはゆっくりおこなう。
1人で同時に2以上のボイラーで行わない。
水面計を確認しながら行う。吹出し弁の操作者が直接見ることができない場合は、2人以上で行う。

連続吹出し

胴の上部の水面近くに取り付けた吹出し管によって、ボイラーを運転中に連続的に行うものである。
ボイラー水の熱を回収できる。
吹出し管は、伸縮が自由になるように固定しない方が良い。

スートブロー

伝熱面に付着したすすを、蒸気や空気の噴射で吹き払う装置。

  • 回転式:備え付けで、定位置で回転して噴射する。
  • 抜き差し式:燃焼室などの高温部で、使用する時だけ差し込んで、任意の位置で回転させて使用する。

方法

燃焼量、通風力を保った状態で行う。燃焼量が低いと火が消えてしまう可能性がある。
燃焼量が増加するので、最大負荷よりやや低いところで行う。
一箇所を長く吹き付けないこと。
行う回数は、燃料の種類や負荷の程度によって異なる。
スートブローを行う前に、噴射する蒸気のドレンを十分に抜き、乾燥したものを用いる。
スートブローが終了したら、蒸気の元弁を閉止し、ドレン弁は開放する。
スートブローを行ったときは、煙道ガスの温度や通風損失を測定して、その効果を確かめる。

ボイラーの効率化

ボイラの効率を高める装置として、過熱器、エコノマイザ、空気予熱器がある。
燃焼ガスの方向として、燃焼室→過熱器→エコノマイザ→空気予熱器の順で配置する。

過熱器

煙道の排ガスを利用して飽和蒸気を加熱して過熱蒸気を作り、熱効率を高める装置。
蒸気ボイラーで用いられる。
燃焼ガスの通風損失は増加する。
ドレン抜きを備えなければならない。

エコノマイザ(節炭器)

煙道の排ガスを利用して給水を加熱して、燃料の節約を図る装置。
鋼管形が一般的で、平滑管やひれ付き管が用いられる。
燃焼ガスの通風損失は増加する。
燃料の性状によっては低温腐食を起こすことがある。

空気予熱器

煙道の排ガスや蒸気を利用して燃焼空気を予熱して、燃料の節約を図る装置。
鋼管形と鋼板形があり、伝熱面で熱を移動させる熱交換式と、伝熱エレメントを利用する再生式がある。
燃焼効率を上げるものであり、飽和蒸気を得るものではない。
燃焼ガスの通風抵抗は増加しない。

ボイラーの自動制御

自動制御の目的は、負荷の変化による圧力・温度・水位を一定に保つように、燃料・空気や給水の供給量を自動調整することである。
ある範囲内に抑えなければならない量を制御量、その制御のために調節する量を操作量という。
ボイラーでの制御量と操作量の関係は以下となる。

  • 蒸気圧力:燃料・空気
  • 炉内圧力:排出ガス
  • 温水温度:燃料・空気
  • 蒸気温度:注水・伝熱
  • 空燃比:燃料・空気
  • 水位:給水

蒸気圧力調節器

ベローズで圧力を感知し、水銀スイッチが傾いてスイッチを入切する。

  • オンオフ制御:サイホン管を用いてボイラーに取付け蒸気圧力が上昇して常用圧力(設定値+動作すきま間)に達すると、燃料遮断弁が閉じて燃焼を停止する。
  • ハイ・ロー・オフ制御:蒸気圧力の変動によって、高燃焼、低燃焼、停止の3段階で制御する。
  • 比例制御:比例帯の設定を行い、コントロールモータとの組合せにより、比例動作によって蒸気圧力の調節を行う。

オンオフ式温度調節器

調節器本体、感温体及びこれらを連結する導管で構成され、一般に、調節温度及び動作すき間の設定を行う。
感温体には、アルコール等の溶液が使われ、溶液の膨張圧縮を利用して、ベローズやダイヤフラムの変位により、マイクロスイッチを開閉させる。
感温体は、ボイラー本体に直接取り付けるか、又は保護管にシリコングリスなどを挿入して取り付ける。

コントロールモータ

燃料調節弁と空気ダンパで空燃比を調整するモータで、操作モータともいう。
構造は、小型電動機に減速機を組合わせたもので、調節器からの信号に応じて両方向に回転する。
リンク装置は、コントロールモータの動きを燃料調節弁と空気ダンパに伝えるものである。

自動燃焼制御(ACC)

ボイラーの蒸気圧力又は温水温度を一定にするように、燃料供給量及び燃焼用空気量を自動的に調節する制御。

自動給水調整装置

負荷の変動に応じて給水量を調節し、ボイラーの水面を維持するため、蒸気量と給水量を平衡させる装置。
フロート式、コープ式、電極式、空気式ベーレ形3要素式などがある。
近接する2台の蒸気ボイラーは、給水装置を1つにできるが、自動給水調整装置は区別して設置すること。
水位制御には、単要素・2要素・3要素があり、それぞれ水位・蒸気流量・給水流量の要素で制御を行う。


Ver.1.1.0

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