建築材料

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建築材料の特徴

金属

金属とは、特有の光沢をもち、電気と熱をよく伝え、展性・延性をもつ常温で固体の物質の総称をいう。
水銀など液体のものもある。水より軽い物もある。また、燃えるものもある。
重金属は比重が4以上(鉄、鉛など)で、軽金属は比重が4以下のもの(アルミニウムなど)である。

密度の大きさ

密度の大きい順番から以下のようになる。
鋼材アルミニウムコンクリート・ガラス・陶器・石材木材

熱伝導率の大きさ

熱伝導率が大きいほど、熱を伝えやすい。
熱伝導率の大きい順番から以下のようになる。
アルミニウム鋼材コンクリートガラス木材断熱材(グラスウール、硬質ウレタンフォーム)空気

建築躯体の材料

柱・梁・壁などの構造躯体に使う材料。荷重や外力に耐える強度が要求される。

鉄鋼材

鉄と炭素の合金。
炭素の量で様々な性質を作ることができる。鋼の炭素量は0.12~0.30%である。
炭素が多いと強度は増大するが、靭性(ねばり強さ)・伸縮性は減少する。そのため溶接性が低下する。
比熱は、木材より大きい。(温まりにくく、冷めにくい)
強度は300℃を超えると低下し、1000℃でほぼ0となる。
鉄筋とコンクリートの線膨張係数(熱膨張係数)は、1.0×10-5[1/℃]で、ほぼ同じである。
JISによる鋼材の材質規格には、建築構造用圧延鋼材、溶接構造用圧延鋼材等がある。
方向によらず特性が同じ物性を指す、等方性材料である。

鉄鋼材の強度

鋼材SN400Bの記号中の数値は、引張強度(引張応力)を示す。
材料の強度に関する用語は、「材料力学の基礎」「応力ーひずみ線図」参照。
建築構造用鋼材は、降伏点又は耐力の上限と下限が規定されている。
降伏比は70%程度である。
鉄筋は、コンクリートに比べて引張強度が大きい。
鋼材の引張試験において、破断したときのひずみ度を伸びという。建高強度鋼は、軟鋼より伸びが小さい。
ヤング係数は、鋼材は種類にかかわらずほぼ一定である。

ステンレス鋼

鉄に一定量以上のクロムニッケル等を含ませた、腐食耐熱に対する耐性を持つ合金。

アルミニウム

軽量で、高い熱伝導性・電気伝導性を持つ金属。(1円玉に使用されている)
アルミニウムの比重は鉄の1/3程度で、熱伝導率は鉄の5倍ほど大きい。
他の金属やコンクリート等と接触すると腐食する。

セメント系材料

セメント

石灰石や粘土などを焼き、粉砕した灰白色の粉末。
ポルトランドセメントには、普通・早強・中庸熱等の種類がある。

セメントペースト

セメントでソフトにしたもの。
タイルの接着などに使用する。

モルタル

セメントでソフトにしたもの。
やわらかいので、レンガやブロックの目地や、表面の仕上げなどに使用する。

コンクリート

セメント+砂利+砂+水で固めたもの。
耐火性・耐久性に富んでいる。施工期間は長い。
圧縮力に対しては強い。引っ張る力に弱く、ひび割れしやすい。硬化時に収縮亀裂が生じやすい。
圧縮強度は、水セメント比(水の質量/セメントの質量)に影響され、小さい(水が少ない)と強度は大きくなる。
通常のコンクリートの圧縮強度は20N/mm2程度で、高強度コンクリートは、36N/mm2程度である。
コンクリートの水セメント比は、一般に40~65%程度である。砂と砂利の容積は、全体の約70%を占める。
通常のコンクリートの質量は約2300kg/m3で、軽量コンクリートの質量は約2000kg/m3である。質量に対する硬度は低い。
高流動性コンクリートは、強度を保持しながら作業性を向上できるので、CFT構造や自己充填コンクリートに用いられる。

木材

比熱が大きく温かみがある。音や光を吸収する。軽量で加工しやすい。
腐りやすい。強度が弱い。燃えやすい。
乾燥した木材に対する水分量の割合を含水率といい、気乾状態の含水率は15%である。
木材の引火点は、240~270℃程度である。発火点は450℃前後である。
木材の強度は、繊維方向(垂直)>半径方向(年輪と直交)>接線方向(年輪と接する)の順である。
菌類発生に必要な養分、湿気、空気及び温度の4要素があると腐朽するので、木材表面の被覆又は薬剤処理を行う。

単板積層材(LVL)

単板を繊維方向に平行にして重ね合わせて接着したもの。
柱・梁などの構造材に用いられる。

合板

薄い単板を繊維方向が互いに交差するように接着剤で重ね合わせたもの。
壁・屋根・床などの下地材に用いられる。

集成材

挽(ひき)板を繊維方向に平行にして重ね合わせ、長さ、幅、厚さ方向に接着して大断面にしたもの。
柱・梁などの構造材に用いられる。

CLT

挽(ひき)板を繊維方向が直交するように積層した板材。
壁・屋根・床などで構造体兼下地材として用いられる。

単板
挽板

下地材

フローリングやフロアタイル、ビニールクロス、塗り壁、などの仕上げ材を設置するための部材で、構造躯体と仕上げの中間に用いられる。
壁に板やボードを張る際に用いる胴縁(どうぶち)や、クロスを張る際に用いるプラスターボードなどがある。

プラスター

壁や天井を仕上げる為の左官材料。
石膏などの無機質の粉に水を加えて練り混ぜたもの。
原料の違いにより、石膏プラスター、ドロマイトプラスター、石灰プラスターなどがある。
ボード状になっていて、柱に固定して施工する。
石膏は、耐火性に優れるが、水分や湿気に弱い。

仕上げ材料

床・壁・天井などに使用する表面材料。
断熱・防水・耐熱・耐火性能を要求される。
意匠的美観を要求される。
内壁の仕上げ材料には、吸音性、テクスチャア(材料の質感)等が要求される。
床の仕上げ材には、耐摩耗性、防水性、防音性、踏み心地の良さ等が要求される。

漆喰(しっくい)

消石灰にのり、すさ、水を加えて練ったもの。

補修剤の種類

コーキング材(パテ)・シーリング材(シール材)

建築物において、気密性や防水性向上を目的として、隙間や目地を充てんする材料。
シリコーンやポリウレタンなどが使用される。

フィラー

隙間や穴を埋める材料。
壁吹き付け下地の目違い調整用にセメント系フィラーがある。

エポキシ樹脂

エポキシ基を持つ合成樹脂。
接着剤として利用されている他、パテとして欠損部分の成型に使われる。

屋根・壁材料

屋根・壁の材料

ガルバリウム鋼板

ガルバリウムという合金でメッキされた鉄。
現在、建物などに最も使われている建材。

トタン

薄い鋼板に亜鉛メッキをして耐食性をもたせたもの。

ブリキ

薄い鋼板にすずメッキをして耐食性をもたせたもの。
缶詰の容器やバケツなどに使われることがほとんどである。

断熱材

アスベスト

石綿(いしわた)とも呼ばれる天然の非常に細い繊維状の鉱物。
鉄骨造建築物などの軽量耐火被覆材として多く使用された。
安価で、耐火性・断熱性・防音性・絶縁性など多様な機能を有していることから、広く使用されてきたが、空中に飛散した石綿繊維を長期間大量に吸入すると肺癌や中皮腫の誘因となることがわかり、全面製造禁止となった。

ポリスチレンフォーム

発泡スチロールを使用した断熱材。
ポリスチレンを主成分として、難燃剤を混ぜて発泡させ、成形したもの。

硬質ウレタンフォーム

プラスチック発泡系の断熱材。
ポリウレタン樹脂を主成分として、難燃性能や木材への接着性能をもたせ発泡させたもの。

グラスウール

短いガラス繊維でできた、綿状の断熱材。
最も広く用いられている。
断熱材や吸音材として使用できるが、耐火材には利用できない。

ロックウール

鉱物が原料となった人造鉱物繊維。
断熱材や吸音材として使用される。

その他の材料

ハニカムコア

リボン状の厚紙ないしアルミニウムを、六角形のセルが集まった蜂の巣状に構成してつくったサンドイッチパネルの心材。
間仕切り用スクリーンや内部の建具に使用される。

FRP

エポキシ樹脂やフェノール樹脂などに、ガラス繊維や炭素繊維などの繊維を複合して強度を向上させた強化プラスチック。
ユニットバス、受水槽などに使用される。

床材料

「床清掃」「床素材」を参照。

塗装

塗料の種類

シーラー

塗装をするときの塗装面の下地処理で使用される下塗り用塗料。
下地と上塗り塗料を密着させ、上塗り塗料の過度な吸い込みを抑える(シールする)ことができる。
また、塗装面を補強し、コンディションを整える役割がある。

プライマー

塗装をするときの塗装面の下地処理で使用される下塗り用塗料。
素地に直接塗付する塗料となり、上塗り塗料との附着性をよくする役割を果たす。
金属部分の塗装の場合では、サビ止め塗料を使用する。

トップコート

床の表面に塗って滑りや摩耗を防いだり、露出防水の最上層に塗って防水層を保護したりする仕上材。
防水層は外壁塗装に比べて太陽光に当たる時間が長く、また紫外線に弱いため、トップコート塗装をして守る必要がある。

撥水剤(はっすいざい)

コンクリートの打ち放し仕上げの時に、汚れや雨水の浸入を防ぐために表面に塗る薬剤。
「撥水」とは、素材表面が水を弾く機能で、「防水」の水を通さない機能とは異なる。



Ver.1.2.1

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