床清掃

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床メンテナンスの種類

日常清掃として、除じん作業を行い、定期清掃として、床面(弾性床材)の洗浄床維持剤塗布を行う。
床維持剤の塗布の状況を点検し、必要に応じ、再塗布等を行うこと。

ウエットメンテナンス

毎回床の汚れを洗浄して取り除き、床維持剤を塗布するクリーニング方法。
10回に1回くらいで、ワックスを剥離させる。
ドライメンテナンス法に比べ、使用する資機材の種類が多く、部分補修がしにくい。

ドライメンテナンス

あらかじめワックスを4層~6層で厚く塗っておき、超高速バフ機を使って光沢を復元する方法。
床材への水の浸透による劣化を防ぎ、汚水がほとんど発生しないので、環境汚染が少ない。
バフ機を高速回転させるので、摩擦熱が発生するため、床材への熱影響を気にする必要がある。
一定期間を通しての平均的美観度は高い。
ウエットメンテナンスと比較して、水を使用しないので安全度が高い。作業工程が少なく標準化・システム化ができて、機材が少なく済む部分補修がしやすい。

床メンテナンスの作業

床メンテナンス基本的な流れ

  1. 塗布前の作業:洗剤液を床面にムラなく塗布して、丁寧に洗浄し、床面を完全に乾かす。
  2. 床維持剤の塗布:床維持剤を塗る。塗り終わった後、送風機を掛けて完全に乾かす。2~3回塗り重ねて厚い皮膜を作る。
  3. 皮膜の手入れの仕方:汚れの状態に応じて、ドライバフ・スプレーバフ・表面洗浄を行う。
  4. 皮膜の剥離と塗り直し:一定時間経過したら、剥離して床維持剤を塗り直す。

ドライバフ

フロアポリッシュの皮膜を、研磨剤を含まない白パッドで磨き、光沢を回復する作業。
床磨き機は、回転数が高いほど光沢度回復が簡単にできるが、高速で研磨するので、床材への熱影響に注意する必要がある。

スプレーバフ

洗浄つや出し作用をもつスプレー液をかけて、赤パッドで磨き、皮膜と一緒に細かな傷や汚れを除去する作業。
汚れの目立つ所を部分的に補修する作業である。

表面洗浄

樹脂ワックスの皮膜が普通の洗剤液(中性~弱アルカリ性)に耐える性質を利用して、床の洗浄を行って皮膜の表面の汚れを取り去り、その上に水性ポリマーを塗って皮膜を補修する。

スプレークリーニング

洗浄液をスプレーをしながら、緑・青パッドで磨き、浅いワックス層を剥がした後、仕上げにフロアポリッシュを塗布する作業。
皮膜の内側に汚れや傷が入っている場合に行う。

剥離

剥離剤を使用して古いワックス塗膜を完全に除去し、床材を素材の状態に戻す作業。
床維持剤の黒ずみが生じてきたら、床維持剤の剥離作業をして、床維持剤を再塗布する。

  1. アルカリ性剥離剤をモップで塗布する。
  2. 5~10分後、茶または黒パッドを付けたポリッシャーで擦り洗いを行う。
  3. 汚水を回収し、床面をリンス剤で中和して、洗浄成分を完全に取り除くため、すすぎ洗浄を十分に行う。
  4. 汚水を回収し、水拭きを行って乾燥させる。
  5. 樹脂床維持剤を再塗布する。

カーペットの清掃

繊維床材は、パイルに空隙があることから土砂・ほこりが堆積しやすい
カーペットパイル(カーペットの表面に出ている繊維の束)表面の粗ごみは、カーペットスイーパなどで除去する。
カーペットの織り目に入り込んだほこりや土砂は、真空掃除機によるバキュームクリーニングを行う。
カーペットのしみ取り作業は、日常清掃で行う。
カーペットパイル上部の汚れは、拭き取り方式を用いる。
汚れの状況を点検し、必要に応じ、シャンプークリーニング、しみ抜き等を行う。
事務所建築物の繊維床材の線維床材のしみの多くは、親水性である。(油性ではない)
洗剤は、中性洗剤を用いる。洗剤が残留しないようにする。(防汚剤を塗布しない)
カーペットのほつれは、施工初期にカットすればよい。

スポットクリーニング

汚れが激しい箇所を部分的に洗浄し、床維持剤を塗布する臨時清掃。
カーペットでは、除じんで除去できない汚れがパイルの上部にあるうちに行う。
スポットクリーニング方式の一つとして、パウダー方式がある。
汚れが内部に入り込んだときには、全面クリーニングを行う。

パウダー方式

洗剤を滲み込ました粉末をカーペットの上に散布して、カーペット用のブラシで掻き回して、汚れをパウダーに付着させる方式。

床維持剤(フロアーフィニッシュ)

フロアフィニッシュとは、床材保護美観の向上のために床に塗布するのための製品の総称である。(床用塗料ではない)
ほこりを軽減するものではない。
フロアポリッシュ(仕上げ剤)・フロアシーラ(目止材)・フロアオイル(床油)に大別される。

フロアポリッシュ

仕上げ剤として使用するろう状物質で、床の保護と美観の向上の目的で使用する。
物理的・化学的方法により容易に除去できる
水性ポリマー・水性ワックス・乳化性ワックス・油性ワックスがあり、水性ポリマーがよく使用される。

水性ポリマー(樹脂ワックス)

不揮発性成分として、合成樹脂などのポリマーを主原料としたもの。
たいていの床材に用いることが出来る主流の床維持剤で、特に塩化ビニル系の床材に適している。
研磨せずに光沢が出る。滑りにくい。皮膜は中性洗剤などで溶解せず、耐久性がある。
塗布作業には、スプレーではなく、モップやワックス塗布器で行う。
塗り込みや剥離洗浄には多少の手間が掛かるが、コーティング剤に比べると、労力・時間・経費などを安く仕上げることができる。

水性ワックス

天然または合成のロウを主材とした物で、ろう状物質や合成樹脂を水に乳化させたもの。
たいていの床材に用いる事ができ、使いやすい。
皮膜が軟らかいので、光沢が落ちても床みがき機などのブラッシングによって復元させることができる。
水性ポリマーや水性半樹脂に比べて耐久力が弱いので、短い期間で塗り替えが必要になる。
滑りやすいので最近は使われていない。

水性半樹脂床維持剤(半樹脂ワックス)

水性ポリマー(樹脂ワックス)と水性ワックスの中間の性質を持つもの。
水性ポリマー(樹脂ワックス)より、洗浄や剥離などの作業が容易に出来る。

乳化性ワックス

合成樹脂の不揮発性成分と有機溶剤を水に乳化させたもの。
揮発性溶剤の含有量が不揮発性成分よりも多い。
無垢材などに用いる。

油性ワックス

ろう状物質や合成樹脂等の不揮発性成分を、石油系の揮発性溶剤に溶解又は分散させたもの。
シールしていない木床は耐水性がない為、油性ワックスが使われる。
フローリング系の光沢や保護剤として使う。
塩化ビニル系の床や、揮発性溶剤に強いラバータイル・アスファルト系タイルなどでは使用出来ない。
家庭の廊下などは滑りやすいので、あまり使用出来ない。

フロアシーラー

目止め剤として使用し、床の保護と美観を向上する。
微少な穴を埋めて表面を滑らかにして、床材への吸い込みを防止する下地として用いられる樹脂系の液。
乾燥後に皮膜を形成し、物理的・化学的に容易に除去できない
花崗岩・テラゾー・セラミック・コンクリートなどの石質の床て使われる。
木質や塩化ビニル系の床にも、床仕上げ剤の下塗りとして使われる場合もある。

フロアオイル

床油として使用し、主に表面加工していない木質床材の保護と、防塵(床のホコリ止め)に使われる。
石油系の不乾性油(鉱油)を主材としたもの。
塗り込みは薄く、床に浸み込む程度にして塗り過ぎないことが重要である。
木材を使ったバスの床、学校などに使用されいた。

床素材

クリーニング作業を行う床材の特性として、耐洗剤性・吸水性・表面の粗さ・工法・仕上げを把握しなければならない。

塩化ビニル系床材

塩化ビニルを主成分として、炭酸カルシウムや無機質繊維を含有したもので、広く使用されている。
可塑剤(かそざい)を加えて柔らかくしている。
耐薬品性や耐水性に優れている
アルカリ性の洗剤を使用する。
床維持剤の密着不良が起きやすいため、床維持剤の塗布が不要の製品が販売されている。

リノニウム系床材

酸化あまに油に木粉・コルク・充填剤などを加えて加熱したものを、麻布または不織布の上に圧着してシート状にしたもの。
継ぎ目のない長いものもある。
独特の弾力性があり歩行感に優れる。耐久性に優れている。
塩化ビニル系床材と見た目が似ているが、多孔質で木を含んでいるので、水やアルカリ性の洗剤に弱いので注意が必要である。
病院や公共施設の床などに使う。

ゴム系床材

合成ゴムまたは天然ゴムに、加硫剤・充填剤・顔料などを加えて成型したもの。
弾力と足触りが良い。滑りにくい。耐摩耗性に優れている
耐溶剤性に乏しい
アルカリ性のものや油類には耐性がないため、剥離剤によって変色やひび割れ等を生じることがある。
デパートや銀行のロビー、エレベーターの床などに多く使われている。

天然石材

天然材料として豊かな外観を持つ。
耐久性が良い。高価である。重量が重い。歩行感が硬い。
花崗岩は、耐酸性・耐アルカリ性に優れている。耐熱性に乏しいアルカリ性の洗剤を使用する。
大理石は、耐酸性・耐アルカリ性に乏しい中性の洗剤を使用する。
玄関やロビーなどで使われる。

人造石材(テラゾー)

大理石のふん砕石を着色セメント・モルタルで固めたもの。
大理石より安価である。
耐酸性に乏しい

陶磁器質タイル

セラミックタイル。
焼成温度の高い順番に、磁器質・せっ器質・陶器質に分類され、磁器質は吸水性が低く、陶器質は吸水性が高い。
耐摩耗性に優れている。歩行感は硬い。
耐酸性・耐アルカリ性に優れている
磁器質のものは低吸水性で、玄関ホール、通路、水洗い清掃の頻度が高い洗面所・調理場・生鮮食品売場の床などに使われる。

セメント系

モルタルは、石材・タイルの目地として使われるだけでなく、コンクリートの仕上げ材としても使われている。
吸水性が高い。粗面である。
耐酸性に乏しい。コンクリートはそれ自身がアルカリ性なので、と反応させると溶け出してしまう。
タイル隙間に使われるモルタル目地は、酸性洗剤などで傷めないよう注意する。

木質床材

軽量で加工しやすく、木目が美しい。
水やアルカリ性の洗剤に弱い
広葉樹は、針葉樹に比べ、木質が硬い
シールされていない床材は、油性の保護剤でシールする。
体育館のシール加工には、ポリウレタン樹脂が多く使われている。床板の剥離による負傷事故防止として、水拭き及びワックス掛けの禁止が文部科学省から通知されている。
建具・床・壁・天井などで使用される。

プラスチック系塗り床

下地コンクリートを保護し美装性を上げるため、液状の合成樹脂塗料を塗って仕上げる床のこと。
エポキシ樹脂系は耐薬品性に優れている。
ポリウレタン樹脂系は弾力性や防滑性に富んでいる。
継ぎ目のないことが最大の特徴であり、工場、倉庫、駐車場などで使用される。

カーペット素材

基布とパイルから構成されている。
基布は、黄麻を使用したものが多い。
パイルは、ウール・ナイロン・アクリル・ポリプロピレン・ポリエステルが一般的である。
感触性・保温性・吸音性に優れている。
合成繊維は、一般的に吸水性に乏しいので、親水性の汚れが取れやすい。

タイルカーペット

50㎝角などの大きさにカットされたカーペット。
下地との接着は行わずに市松模様に敷き並べて仕上げになるので施工が簡単である。
部分的取り替えができる。

パイル

カーペットの表面にある毛足のこと。
毛先をカットしてそろえたカットパイル、タオルの毛のようにループ状にしたループパイルがある。

カットパイル
ループパイル

カーペット材

ウール

耐久性に優れている。
含水率が高く、吸水性が高い。しみが染着しやすい
保温性が良い。
弾性がある。

ナイロン

耐久性に優れている。
吸水性が高い。親水性の汚れが取りにくい。
薬品などの影響を受けにくい。
静電気を帯びやすい。

アクリル

耐久性が乏しい。
吸水性がほとんどない。親水性の汚れが取れやすい。しみが染着しにくい
化学薬品に耐性がある。
弾力性に乏しい。

ポリプロピレン

耐久性は中間程度である。
吸水性がほとんどない。親水性の汚れが取れやすい。しみが染着しにくい。
熱に弱い。
復元力に乏しい

ポリエステル

耐久性が乏しい。
吸水性がほとんどない。親水性の汚れが取れやすい。しみが染着しにくい。
弾力性に乏しい。



Ver.1.2.2

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