洗剤の特性
洗剤は、汚れの度合により、最適な濃度に希釈して用いるのが効果的である。
洗剤の多くは有機化合物なので、温度が高すぎると分解してしまうため、適正温度(20℃~40℃)で使用することが望ましい。
合成洗剤
合成洗剤は、石油などを原料として化学的に合成した界面活性剤を主剤とし、洗浄力の向上のために加える補助剤として各種の薬剤を加えて製造される。
硬水でも冷水にも良く溶け、洗浄効果が落ちない。
合成洗剤の成分
界面活性剤
液体の表面張力を低くする働きがあり、水に馴染む性質と油脂などに馴染む性質とを兼ね備えた物質である。
水に馴染みにくい油脂性の汚れと水との仲介となって、これを水中に分散させ、再び付着するのを防ぐ。
隠イオン、陽イオン、非イオン、両性系イオンの4種類がある。
助剤(ビルダ)
洗剤の助剤は、界面活性剤の表面張力を無くし、染み込みやすくして洗浄力を向上させる。
汚れの再付着を防止するものもある。
洗剤の助剤として、リン酸塩は富栄養化の原因物質のため、ほとんど使用されない。
水中のカルシウムやマグネシウムなどの金属イオンを封鎖する作用(キレート作用)をもつ。
洗剤の種類
用途による分類
一般用洗剤
床の洗浄作業をはじめ、各種の建材や家具などの清掃に使用される用途の広い洗剤。
一般に弱アルカリ性である。
助剤の添加を控えて、有機溶剤や酵素を加えたものがある。有機溶剤は油汚れに効果がある。
作業性を高めるため、泡立ちを少なくしている。
表面洗浄用洗剤
樹脂床維持剤で仕上げた床の皮膜手入れ用として開発された洗剤。
弱アルカリ性・中性で、泡立ちが少ないようにして、なるべく樹脂皮膜に影響を与えず、表面の汚れだけを除去するようにしている。
カーペット用シャンプー洗剤
カーペット床のクリーニングに対する専用の洗剤。
カーペットの基布を濡らさないために、パイルに擦り付けると大量の泡が出来るようにしている。
残った洗剤分の粉末化や速乾性などの特徴がある。
カーペット用低発砲洗剤
エクストラクタ(カーペット洗浄機)などに使われる洗剤。
発泡性を抑えている。
樹脂皮膜剥離剤
床に施したフロアポリッシュ(フロアシーラではない)の樹脂皮膜を完全に除去する特殊洗剤で、剥離剤またはリムーバーと呼ぶ。
5~15倍に希釈して使用する。
強いアルカリ性で、木床・ゴム床・リノニウムに使用すると変色やひび割れのおそれがある。(塩化ビニル系床材は耐薬性が強いので影響は少ない)
低級アミンを主剤とし、界面活性剤が添加されている。
清掃作業者の皮膚をおかす恐れがあるため、作業に当っては必ず保護手袋を使用し、液が皮膚に付着したり、跳ねた液が目に入ったりしないようにしなければならない。
石けん
洗面所の手洗い洗剤として石けん液又は石けんを使用する場合は、廃油又は動植物油脂を原料としたものを使用する。
硬水中では洗浄力が十分に発揮できない。
特性による分類
洗剤には酸性やアルカリ性があり、水素イオン濃度指数(pH)で確認することができる。
酸性洗剤
塩酸、硫酸などを主成分としている洗剤。
便器に付いた黄ばみ、尿石の汚れや浴槽・浴室・洗面台周辺の鉄分を含んだ水垢(あか)、金属錆の洗浄、石鹸かすなどの洗浄に使用する。
素材が大理石・テラゾー、その他の石材などが使われている場合は使用できない。
酸性洗剤と塩素系洗剤を混合すると、有毒の塩素ガスが発生するため、混合してはいけない。
塩素系アルカリ洗剤
次亜塩素酸ナトリウムを主成分としている洗剤。
次亜塩素酸ナトリウムの分解しやすい性質を安定させるために、液性をアルカリ性に調整している。
漂白剤やカビ取り剤に使用され、カビやヌメリなどに高い効果を発揮する。
油汚れに効果がある。
引火の危険性がないものが多い。
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