廃棄物

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廃棄物とは

廃棄物とは、汚物又は不要物で固形状又は液状のものをいう。
ガス状のものや放射性物質は含まれない。

ごみの3要素

ごみの3要素とは、水分灰分可燃物分である。
3成分表示法とは、上記の3成分の比率(%)で示す。
灰分は、ごみの焼却処理後の残渣量(ざんさりょう)の算出に用いられる。

廃棄物の分類

一般廃棄物とは、産業廃棄物以外のもの定義され、産業廃棄物とは、事業活動に伴って生じた廃棄物で法令で定められたものである。
事業活動に伴って排出される廃棄物は、事業系一般廃棄物産業廃棄物とに大別される。

一般廃棄物

一般廃棄物は、し尿ごみに大別され、ごみは家庭系ごみ事業系ごみに分かれる。
事業系一般廃棄物とは、事業活動に伴い発生する廃棄物のうち、産業廃棄物に該当しないものである。
建築物から発生する事業系一般廃棄物は、古紙と生ごみがほとんどを占める。

一般廃棄物の例

  • し尿
  • 厨芥(生ごみ
  • ホテルや事務所、百貨店の紙屑(事業系一般廃棄物)
  • レストランから出る生ゴミ(事業系一般廃棄物)
  • 事業に大きく関与する特定の業種以外から排出された、紙くず、木くず、繊維くず。
  • 浄化槽汚泥

産業廃棄物

事業活動に伴って生じた廃棄物のうち、燃え殻汚泥など20種類が産業廃棄物として定められている。
20種類は以下の通り。
燃え殻、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類、ゴムくず、金属くず、ガラス・陶磁器くず、鉱さい、がれき類、ばいじん、紙くず、木くず、繊維くず、動植物性残渣、動物系固形不要物、動物のふん尿、動物の死体、コンクリート固形物など。
紙くず木くず繊維くずなどで、事業に大きく関与する特定の業種(建設業、紙製造業など)から排出されるものは、一般廃棄物ではなく産業廃棄物に分類される。(業種指定のある産業廃棄物)

安定型産業廃棄物

性状などが変化せず、安定した状態を維持できる産業廃棄物のことで、廃プラスチック類、ゴムくず、金属くず、ガラスくず・陶磁器くず、がれき類の5品目である。

産業廃棄物の例

  • 建設業などの事業に大きく関与する特定の業種から排出された、紙くず、木くず、繊維くず。
  • 事務所建築物で廃棄されたスチール製机。
  • 店舗から排出された発泡スチロール。
  • 事務所から排出された弁当やカップ麺の容器。
  • 建設工事から排出された廃棄物。
  • し尿を含まない雑排水槽からのビルピット汚泥。
  • 厨房排水除害施設から発生する汚泥。
  • 飲食店のグリース阻集器で阻集された油分。
  • 畜産農家から排出される糞。

特別管理廃棄物

爆発性毒性感染性その他の人の健康または生活環境に係わる被害を生じるおそれがある性状を有する廃棄物である。

特別管理一般廃棄物

特別管理廃棄物で、一般廃棄物に該当するもの。

  • 廃エアコン、廃テレビ、廃電子レンジに含まれるPCBを使用する部品。
  • ごみ焼却施設から出るばいじん。
  • 病院の感染性病原体を含む臓器・ガーゼなどの一般廃棄物。

特別管理産業廃棄物

特別管理廃棄物で、産業廃棄物に該当するもの。
特別管理産業廃棄物を生ずる事業場を設置している事業者は、特別管理産業廃棄物管理責任者を設置する。(建築物の所有者ではない)

  • 廃油で、揮発油類・灯油類・軽油類。
  • 廃酸で、pH2.0以上。
  • 病院の感染性病原体を含む注射針・ガラスなどの産業廃棄物。

特殊な廃棄物

蛍光管

水銀が使用されている蛍光管は、廃棄に関して取扱いが規制されている。

専ら再生利用の目的となる廃棄物

古紙くず鉄(古銅等を含む)あきびん類古繊維の4品目。
専ら再生利用の目的となる廃棄物は、廃棄物許可業者ではなく資源回収業者(専ら業者)に委託して処理できる。
再生利用されない一般廃棄物については、通常の一般廃棄物として、一般廃棄物の許可業者に委託して処理する。
「再生利用認定制度」は、環境省が認定している制度のことで、これとは異なる。

適正処理困難物

スプリングマットレスは、適正処理困難物に該当する。

廃棄物の減量化

廃棄物処理の原則は、減量化・安定化・安全化(無害化)である。

ごみの排出量

市町村の資源回収量は、年々増加しているが、排出量、最終処分量は減少している。
廃棄物の減量処理率(94%)と、資源化率(10%)は、年々増加しており、直接埋立率(6%)は減少している。

一般廃棄物

ごみの総排出量は、一般廃棄物の排出量と同じと定義している。
一般廃棄物の年間総排出量は、約4500万トンで、1人1日当たりのごみ排出量は約900グラムである。
経年的に減少傾向にある。
一般廃棄物の総排出量の内訳は、家庭系ごみ(約70%)、事業系ごみ(約30%)となっている。

産業廃棄物

産業廃棄物の年間総排出量は、経年的におおむね、4億トンで推移している。
産業廃棄物は一般廃棄物の8倍に達する。
産業廃棄物の最も多い業種は、電気ガス熱供給水道業である。
産業廃棄物の21種類の中の種類別では、汚泥が約44%で最も多く、動物糞尿、がれきで8割を占める。

廃棄物の単位

廃棄物の発生量を示す原単位は、[kg/m2・年]や、[kg/日・人]となり、時間軸が必要である。
廃棄物発生原単位は、建築物の用途別に比較した場合、店舗ビルの方が事務所ビルより多い。
廃棄物の質を表す単位容積質量値は、見かけ比重ともいい、[kg/m3]で表す。(比容積は[m3/kg])
家庭から排出される廃棄物に比較し、建築物内で発生する廃棄物の容積質量値は小さい
厨芥の容積質量値は、可燃ごみの5~6倍ある。

廃棄物の発熱量

廃棄物の発熱量には、低位発熱量が用いられる。
低位発熱量とは、燃焼の際に発生する水蒸気の蒸発潜熱を含まない発熱量のことである。
含水率が高いと、低位発熱量は低くなる。
単位質量当たりの発熱量は、ごみ焼却施設を設計や焼却施設の余熱利用設計などの算出に用いられる。

減量化・減容化

減量化とは、再生利用や焼却などで、最終処分の前に容量を減らすことである。
減容化とは、圧縮、破砕、焼却などで、最終処分の前に体積を減らすことである。
減量処理率とは、焼却や破砕などの中間処理を行って減少した割合である。(混合はしない)
粗大ごみ処理施設は、破砕選別技術を用いており、減容化に該当する。
廃棄物の可燃分を熱灼減量といい、百分率で表すことができる。

焼却処理

ごみの中間処理量は、約4000万トンで、焼却処理は85%を占めている。
焼却処理で、重量は15%程度減量化され、容積は5~10%程度減容化される。
ごみは800℃以上の高温で焼却され、ごみに含まれる悪臭物質は熱分解されている。
全国の焼却施設の約1/4で、余熱を利用した発電や、温水の利用が行われている。

安定化

廃棄物は、化学的・物理的・生物化学的な性状を有している。これらを安定な状態にすることを安定化という。
焼却残渣溶融施設は、焼却灰を溶融炉によって高温で加熱して固化する施設で、安定化に該当する。

資源化

廃棄物をそのまま、または何らかの処理を行い、原料や燃料等として使用することを資源化という。
ごみの総資源化(再生)量は、ごみの総排出量の約20%となっている。
産業廃棄物では、総排出量のうち、約50%にあたる2億トン再生利用されている。
ごみ燃料化施設・高速堆肥化施設は、選別乾燥技術を用いており、資源化に該当する。

廃棄物のリサイクル

循環型社会形成推進基本法において、廃棄物の発生を抑制(リデュース)、再使用(リユース)、再生利用(リサイクル)の3Rを推進することとした。
「循環型社会」とは、天然資源の消費を抑制し、環境への負荷ができる限り低減される社会をいう。
ごみのリサイクルは、市町村による資源化及び住民団体による集団回収によって進められている。
サーマルリサイクルとは、廃棄物の焼却処理時に発生する熱を回収することである。
マテリアルリサイクルとは、廃棄物を新たな製品の原料として再利用することである。

リサイクルに関する法律

資源有効利用促進法

リサイクル法(資源の有効な利用の促進に関する法律)は、循環型社会形成推進基本法の3Rを推進するための方策が規定されている。
指定省資源化製品として、自動車、パソコンなどが指定されている。

家電リサイクル法

家電リサイクル法(特定家庭用機器再商品化法)は、廃家電製品の効果的なリサイクルと廃棄物の減量化を図る。
小売業者による消費者からの廃家電の引き取りを促進する。
エアコンテレビ冷蔵庫(冷凍庫)洗濯機(衣類乾燥機)の4品目が該当する。(パソコンは含まれない)

小型家電リサイクル法

小型家電リサイクル法(使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律)は、小型電子機器に使用されている金属を回収し、再資源化の促進を図る。
携帯電話デジタルカメラ、ゲーム機器等28品目が該当する。

食品リサイクル法

食品リサイクル法(食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律)は、食品残渣の排出の抑制と再生利用を図る。
食品関連事業者(食品の製造・加工・販売業者等)は、再生利用等の基準に従い再生利用を促進することとされている。

容器包装リサイクル法

容器包装リサイクル法(容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律)は、容器包装の製造事業者及び容器包装の利用業者に対して、再商品化の促進を図る。
市町村による容器包装の分別収集を促進する。
ガラスびん空き缶ペットボトルプラスチック等容器包装廃棄物が該当する。

建設リサイクル法

建設リサイクル法(建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律)では、建設事業者に対して、建設資材廃棄物(アスファルト・コンクリート、木材など)の分別解体再資源化の促進を図る。



Ver.1.2.1

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