問題

方針
変圧器2台の並行運転時の負荷分担に関する問題です。(平成28年問6と同じ問題です)
変圧器の負荷は「変圧器の並列運転時の負荷分担」「基準容量換算」より計算します。
解法
問題文の2台の変圧器は、それぞれ自己容量ベースのパーセントインピーダンスなので、基準容量を合わせてパーセントインピーダンスを求め直す必要があります。
「基準容量換算」
定格容量が異なる変圧器が接続される場合、基準となる変圧器の容量を基準容量と仮定して、基準容量に合わせて各変圧器のパーセントインピーダンスを求める。
変圧器Aは、定格容量SA=5000kVAを基準にして、パーセントインピーダンス%ZA=9.0%
変圧器Bは、定格容量SB=1500kVAを基準にして、パーセントインピーダンス%ZB=7.5%
基準容量が異なるので、仮に変圧器Bの定格容量SB=1500kVAを基準容量にした時の変圧器Aのパーセントインピーダンス%ZA’を求め直します。
$\displaystyle
5000:9.0=1500:{\%Z_A}’
$
$\displaystyle
{\%Z_A}’=2.7 \ [\%]
$
「変圧器の並列運転時の負荷分担」
並列接続した場合の負荷分担は、パーセントインピーダンスの基準容量を合わせると、パーセントインピーダンスの比の逆比となる。
$\displaystyle S_A=\frac{\%Z_B}{\%Z_A+\%Z_B}S \ [VA] $
$S_A$:変圧器Aの分担容量 [VA]
$\%Z_A$:変圧器Aのパーセントインピーダンス
$\%Z_B$:変圧器Bのパーセントインピーダンス
$S$:全体の容量 [VA]
負荷S=6000kVAなので、「変圧器の並列運転時の負荷分担」の式より、変圧器Aの負荷SA’と変圧器Bの負荷SB’をそれぞれ求めます。
$\displaystyle {S_A}’=\frac{\%Z_B}{{\%Z_A}’+\%Z_B}S=\frac{7.5}{2.7+7.5}×6000=4411.76 \ [kVA] $
$\displaystyle {S_B}’=\frac{{\%Z_A}’}{{\%Z_A}’+\%Z_B}S=\frac{2.5}{2.7+7.5}×6000=1588.24 \ [kVA] $
変圧器Aは定格容量SA=5000kVAに対して負荷はSA’=4411.76kVAなので過負荷ではありません。
変圧器Bは定格容量SB=1500kVAに対して負荷はSB’=1588.24kVAなので過負荷となります。
過負荷となる変圧器Bの、定格容量SBに対する負荷SB’の過負荷率を求めます。
$\displaystyle \frac{{S_B}’}{S_B}×100=\frac{1588.24}{1500}×100=105.9 \ [\%] $
上記より、過負荷となる変圧器は「変圧器B」で、過負荷運転状態は「105.9%」となります。
解答
解答は(2)となります。