電験三種(令和5年度上期) 電力 問16

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問題

方針

変圧器線路の短絡電流」を求める問題です。(平成16年問16と同じ問題です)
(a)で、電源および変圧器のパーセントインピーダンスから、変圧器二次側から見た線路全体の「合成パーセントインピーダンス」を求めます。
(b)で、線路全体のパーセントインピーダンスから「短絡比とパーセントインピーダンス」の式より変圧器二次側の短絡電流を求め、その短絡電流を遮断できる定格遮断電流を求めます。

解法

(a)

「基準容量換算」
電源と変圧器のパーセントインピーダンスの基準容量を変圧器側に統一して、直列接続としてパーセントインピーダンスを合算し、変圧器二次側からみた線路全体のパーセントインピーダンスをつくる。

電源は、基準容量SA=100MVAで、パーセントインピーダンス%ZA=5%
変圧器は、定格容量SB=10MVAを基準にして、パーセントインピーダンス%ZB=7.5%
基準容量が異なるので、変圧器の定格容量SB=10MVAを基準容量にした時の電源のパーセントインピーダンス%ZA’を求めなおします。

$\displaystyle 100:5=10:{\%Z_A}’ $
$\displaystyle {\%Z_A}’=0.5 \ [\%] $

「合成パーセントインピーダンス」の式

直列接続:$\%Z=\%Z_A+\%Z_B$

並列接続:$\displaystyle \%Z=\frac{\%Z_A\%Z_B}{\%Z_A+\%Z_B}$

基準容量換算後の電源のパーセントインピーダンス%ZA’=0.5%、変圧器のパーセントインピーダンス%ZB=7.5%なので、変圧器二次側から見た線路全体のインピーダンス%Zは、直列接続として求めます。

$ \%Z={\%Z_A}’+\%Z_B=0.5+7.5=8.0 \ [\%] $

(b)

定格遮断電流を求めるために短絡電流を求めます。

「短絡比とパーセントインピーダンス」の式

$\displaystyle \%Z=\frac{I_n}{I_s}×100 \ [\%] $

$%Z$:パーセントインピーダンス
$I_n$:定格電流 [$A$]
$I_s$:短絡電流 [$A$]

上記の関係式より、変圧器二次側の定格電流Inとパーセントインピーダンス%Zが分かれば、短絡電流Isが分かります。
(a)より、変圧器二次側から見たパーセントインピーダンス%Z=8.0%です。
変圧比が66/6.6kVなので二次側の定格電圧はVn=6600Vとなります。
変圧器の容量S=10MVAより、二次側の定格電流Inを求めます。

$\displaystyle S=\sqrt{3}V_nI_n $
$\displaystyle 10×10^6=\sqrt{3}×6600×I_n $
$\displaystyle I_n=875.81 \ [A] $

「短絡比とパーセントインピーダンス」の式に代入して、短絡電流Isを求めます。

$\displaystyle I_s=\frac{I_n}{\%Z}×100=\frac{875.81}{8.0}×100=10947.63 \ [A]≒10.95 \ [kA] $

短絡電流を遮断できる定格遮断電流は、短絡電流より大きくなければならないので、問題の選択肢より「12.5kA」となります。

解答

(a)の解答は(4)となります。
(b)の解答は(2)となります。

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