問題
方針
「同期発電機の短絡比」に関する問題です。(平成15年問5と同じ問題です)
(1)~(4)については、短絡比と発電機の特徴についての問題ですが、発電機の特徴は同期機のインピーダンスである「同期インピーダンス」の大小によって変わります。
(5)の問題文にもあるように、短絡比と同期インピーダンスの関係は「短絡比とパーセントインピーダンス」から分かるので、その後「同期インピーダンスとその特徴」より(1)~(4)を考えたいと思います。
解法
(5)
「同期発電機の短絡比」
定格電流に対する短絡電流の比で、同期発電機の安定度を示す。(短絡比が大きいほど安定度は高い)
$\displaystyle K_s=\frac{I_s}{I_n} $
「同期インピーダンス」
同期機のインピーダンスで、電機子巻線の内部インピーダンスのことである。
「短絡比とパーセントインピーダンス」
短絡比とパーセントインピーダンスは反比例の関係にある。
短絡比が小さいと、同期インピーダンスは大きい。
$\displaystyle %Z=\frac{I_n}{I_s}×100 \ [%] $
$%Z$:パーセントインピーダンス
$I_n$:定格電流 [$A$]
$I_s$:短絡電流 [$A$]
短絡比は同期発電機の安定度を示し、同期インピーダンスは同期発電機のインピーダンス(抵抗成分)です。
短絡比が小さいと、同期インピーダンスが大きく、安定度も低くなります。
上記より〇となります。
(1)~(4)
「同期インピーダンスとその特徴」
・同期インピーダンスが大きい:短絡比は小さい。
電機子巻線(銅損)が大きく、鉄心(鉄損)が小さいので、発電機の外形寸法は小さくなる。
銅機械なので効率は良い。
誘導起電力Eから同期インピーダンス分の電圧降下が起こるので、端子電圧は小さくなる。よって電圧変動率が大きくなり、安定度が低い。
・同期インピーダンスが小さい:短絡比は大きい。
電機子巻線(銅損)が小さく、鉄心(鉄損)が大きいので、発電機の外形寸法は大きくなる。
鉄機械なので鉄損と機械損が増加し、効率は悪い。
同期インピーダンス分の電圧降下が小さく、その分線路充電容量(許容できる進み電流)が大きくなる。電圧変動率が小さく、安定度が高い。
上記の同期インピーダンスが大きい(短絡比が小さい)ときの特徴より、以下のようになります。
(1)は、短絡比が小さいと外形寸法は小さくなるので〇となります。
(2)は、短絡比が小さいと安定度は低いので〇となります。
(3)は、短絡比が小さいと電圧変動率は大きいので✖となります。
(4)は、短絡比が小さいと電機子巻線が多い銅機械となるので〇となります。
解答
誤りは(3)となります。