電験三種(令和5年度上期) 機械 問7

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問題

方針

電動機の「トルク」に関する問題です。(令和2年問7と同じ問題です)
始動トルク(電動機トルク)と負荷トルクの関係については「始動トルクと負荷トルク(トルクー回転速度特性曲線)
巻線形誘導電動機の始動トルクについては「巻線形誘導電動機の始動方法」「比例推移
直流分巻電動機については「分巻式
送風機のトルクについては「負荷トルク特性
上記より考えたいと思います。

解法

(1)

「始動トルクと負荷トルク(トルクー回転速度特性曲線)」
電動機は、負荷トルク<電動機トルク(始動トルク)で加速し、負荷トルク>電動機トルク(始動トルク)になると減速し停止する。
トルクー回転速度特性曲線では、最大トルク後の電動機トルク(始動トルク)と負荷トルクの交点で安定動作する

上記よりとなります。

(2)

「巻線形誘導電動機の始動方法」
二次回路に始動抵抗器を接続し、始動時は定格運転時の抵抗よりも大きくする。トルクの比例推移を利用することで、始動電流を小さく、始動トルクを大きくして始動する
「比例推移」

横軸は、回転速度0~同期速度Ns(滑り1~0)を表す。
トルク-回転速度曲線は、二次回路の抵抗がm倍になると、最大トルクを発生する滑りがm倍のところ(左側に)に移動する。
巻線形誘導電動機の場合、この現象を利用して二次回路に外部抵抗Rを追加し、二次回路の抵抗を変更して曲線を左へ移動させ、始動トルクを大きくしている。

巻線形誘導電動機は、二次抵抗を可変にしてトルクを制御します。
始動時は二次抵抗を大きくすることで、「トルク-回転速度曲線」の山を左側に移動させて、大きな始動トルクを作ります。最大トルクを超えると、回転速度の上昇とともに始動トルクは減少していきます。
従って、問題文のように回転速度の上昇とともにトルクが増える負荷を接続すると、負荷トルクは増加していき、「トルクー回転速度特性曲線」の両曲線の交点が安定点となります。
従ってとなります。

(3)

「トルク」
トルクは出力が一定の条件下で、回転速度に反比例する。
「直流分巻電動機」
負荷が変動しても、電源電圧が一定なら回転速度の変化が少ないので定速度電動機と呼ばれる。
「負荷トルク特性」の「低減トルク特性」
ポンプ、ファン等の特性で、トルクは回転数の2乗に比例し、出力は回転数の3乗に比例する。

トルクは、出力が一定の条件下で回転速度に反比例します。問題文の「電源電圧を一定に保った直流分巻電動機」は、出力が一定の定速度状態なので、回転速度が上昇すると始動トルクは減少します。
送風機のトルクは上記の「低減トルク特性」を持ち、回転速度の2乗に比例して負荷トルクが増加します。(2)と同様に「トルクー回転速度特性曲線」両曲線の交点が安定点となります。
従ってとなります。

(4)

「定トルク負荷を接続した場合のトルクー速度特性曲線」

トルクー回転速度特性曲線では、最大トルク後の電動機トルク(始動トルク)と負荷トルクの交点で安定動作する。(最大トルク前の段階で負荷トルクが大きくなると、滑りが大きくなり始動トルクが減少して停止してしまう)

負荷トルクが回転数に対して一定の「定トルク負荷」を接続した場合、「トルクー速度特性曲線」は上記のようになります。
電動機の安定動作は最大トルク後の領域となるので、加速時の交点は安定な動作点にはなりません。
従ってとなります。

(5)

(1)の「始動トルクと負荷トルク(トルクー回転速度特性曲線)」を文章で示したものです。
従ってとなります。

解答

誤りは(4)となります。
一つの文章が長く、負荷トルク・電動機トルク(始動トルク)、巻線形・かご形・直流電動機など、出てくる種類も多いので読むだけでも大変だと思います。
この問題で覚えておきたい点は、「トルクー回転速度特性曲線の意味と、最大トルク後の電動機トルク(始動トルク)と負荷トルクの交点で安定動作する。」という部分だと思います。

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