問題

方針
「RL直列回路」の過渡現象に関する問題です。(平成18年問13と同じ問題です)
計算では「時定数」「周波数伝達関数」の式を使いたいと思います。
解法
「RL直列回路」
コイルの特性として、最初は電流は流れないが、しだいに流れ始め、最終的(定常状態)にはコイル部分は短絡状態となる。
「RL直列回路」の過渡現象では、時間とともにコイルのリアクタンスは小さくなり、やがて短絡状態となります。
図2の抵抗Rに流れる電流iの曲線でも分かるように、定常状態ではコイルは短絡となるので、aーa’間の電圧1Vはすべて抵抗Rにかかり、その時の電流は0.1Aとなります。従ってオームの法則より抵抗Rを求めます。
$\displaystyle R=\frac{V}{I}=\frac{1}{0.1}=10 \ [Ω] $
これに該当する選択肢は(1)(2)(4)となります。
「時定数」
電気回路に電流を流しはじめてから、定常電流になるまでの変化速度を表す定数。
具体的には、過渡現象の立ち上がり時は定常値の63%、立ち下がり時は定常値の37%に達するまでの時間で、時定数が小さければ小さいほど、反応が早くなる。
$\displaystyle τ=\frac{L}{R} $
$τ$:時定数
$R$:抵抗
$L$:インダクタンス
図2より、電流値のi(t)が定常電流値の63%となる時間は0.01sとなっています。
時定数τ=0.01、抵抗R=10Ωなので「時定数」の式より、インダクタンスLを求めます。
$\displaystyle L=Rτ=10×0.01=0.1 \ [H] $
これに該当する選択肢は(1)(4)となります。
「周波数伝達関数」
入力と出力の関係を表すものが伝達関数である。周波数jωにすれば周波数の関数として表現できる。
G(jω)=出力/入力
問題文から、入力がaーa’間の電圧で、出力がRに流れる電流とあるので、aーa’間の電圧はv(t)、出力Rに流れる電流はi(t)なので、周波数伝達関数G(jω)は以下のようになります。
$\displaystyle G(jω)=\frac{i(t)}{v(t)} $
RL直列回路の合成インピーダンスZは、Z=R+jωLとなるので、オームの法則を適用すると以下となります。
$\displaystyle v(t)=(R+jωL)i(t) $
周波数伝達関数G(jω)の式に適用すると、R=10Ω、L=0.1Hより、以下となります。
$\displaystyle G(jω)=\frac{i(t)}{v(t)}=\frac{1}{R+jωL}=\frac{1}{10+j0.1ω}=\frac{0.1}{1+j0.01ω} $
これに該当する選択肢は(1)のみとなります。
解答
すべてを満たすのは(1)となります。