問題


方針
ホール素子の「ホール効果」に関する問題です。(平成22年問11と同じ問題です)
解法
(ア)(イ)(ウ)
「ホール効果」
電流の流れに直角に磁界をかけると、電流と磁界に直角な方向にホール電圧(ホール電界)が生じる現象。ホール素子はp形半導体またはn形半導体を使用してこの現象を利用したものである。
半導体の多数キャリア(p形は+、N形はー)がローレンツ力によってフレミングの左手の法則の力の方向に移動する。
p形とn形では多数キャリアの正負が異なるので、移動する電荷の正負が異なり、電界の方向(電圧の方向)は逆になる。
p形半導体の場合は以下の図のようになる。

p形半導体は、多数キャリアが正孔(+)なので、上記の図のように正孔(+)がフレミング左手の法則の力の方向に移動するので、電極①に正電荷(+)が集まり、電極②には負電荷(ー)が集まります。
従って、(ア)は「正」、(イ)は「負」となります。
n形半導体は、多数キャリアが電子(ー)なので、電界の方向はp形半導体の逆になります。
従って、(ウ)は「反対」となります。
これに該当する選択肢は(5)のみとなります。
(エ)
ホール電圧は電子のクーロン力(F=eE)とローレンツ力(F=Bev)が釣り合うことから求める。
eE=Bevより、E=Bv
電流を電子で表すと、電子の電気量e、単位体積あたりの個数n、速度v、断面積Sのとき
I=envS
面積Sは、半導体の厚さdとすると、電極間は電界の距離d’なので、S=dd’より、
I=envdd’
電界の強さE、電界の距離d’のとき、E=V/d’よりホール電圧Vは、
V=Ed’=Bvd’=B(I/endd’)d’=BI/end
半導体の厚さdと、電極間(電界)の距離d’が紛らわしいですが、上記の式よりホール電圧はV=BI/endとなります。
eは電気量[C]、nは単位体積当たりの個数[m-3]なので、1/en=RH[m3/C]にするとV=RH×BI/dとなります。
従って、(エ)は「BI/d」となります。
解答
(ア)~(エ)すべてを満たすのは(5)となります。
(ア)(イ)(ウ)が分かれば(5)が確定するので、三種では(エ)の知識は求められていないかも知れません。