問題

方針
地中送電線に関する範囲の広い問題です。
(1)については「地中電線路」
(2)については「架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル(CV)」「OFケーブル」
(3)については「電線路の損失の種類」「ケーブルの誘電体損」
(4)については「地中電線路」
(5)については「地中電線路の故障検出」
上記より考えたいと思います。
解法
(1)
「地中電線路」
地面の下にケーブルを用いて電線路を構築するもの。
地中電線路は架空線線路に比べ、景観が良い、外的破損事故が少ないなどの利点があるが、工費が高く、地下設備のため補強などの改造が難しい。
上記より〇となります。
(2)
「架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル(CV)」
耐熱性、対薬品性に優れている。軽量で取り扱いやすい。
架橋ポリエチレンは、ポリエチレン分子を網状に連結して補強し耐熱性を高めているので電流容量は大きい。
比誘電率が小さいので誘電体損や充電電流も小さい。
OFケーブルよりも誘電率、熱抵抗が小さいので、送電容量の点で有利である。
低圧、高圧、特別高圧用の種類がある。
「OFケーブル(oil filled cable)」
超高圧ケーブル。
絶縁体として、絶縁紙と絶縁油を組み合わせた油浸紙絶縁ケーブルで、油通路が設けられている。
低粘度の絶縁油をケーブル絶縁紙に含浸し、油圧を大気圧以上に保つことでボイド(気泡)の発生を防止する。
最高許容温度は80℃である。給油設備が必要で接続が困難だが、絶縁の厚さを薄くできる。
誘電率、誘電正接tanδがCVケーブルより大きい。
上記より〇となります。
(3)
「電線路の損失の種類」
電線路の損失の大部分は、導体中の抵抗損である。
架空送電線路は裸電線のため、空気の絶縁破壊であるコロナ損がある。シース損(外被覆の損失)と誘電体損は考慮しない。
地中送電線路はケーブルのため、シース損、誘電体損がある。コロナ損は考慮しない。管路内に併設された他のケーブルの損失熱が温度上昇を増加させる作用をする。
「ケーブルの誘電体損」
絶縁体内部での熱エネルギーの損失。
絶縁体の誘電率と誘電正接の積に比例する。
絶縁体が劣化すると大きくなる。
前半の記述は正しいですが、(2)の「CVケーブル」「OFケーブル」の説明の通り、OFケーブルの方がCVケーブルより誘電率、誘電正接は大きくなり、誘電体損は大きくなります。
従って✖となります。
(4)
「直接埋設式」
トラフやボックスにケーブルを収めてそのまま埋める方式。
工事費が安く、工期が短い。
外傷を受けやすく、埋設するのでメンテナンスがしにくい。
「管路式」
管路やマンホールを地中に埋めておき、マンホールからケーブルを入れて接続する方式。
増設や撤去が比較的簡単に行えて、外傷を受けにくい。
他の方式に比べ放熱が悪く、送電容量が制限される。設置したマンホールで接続を行うので敷設工事の自由度に制約が生じる。
「暗きょ式」
暗きょと呼ばれるコンクリート壁で囲まれた空間を地下に埋設し、その中に電力ケーブルや他の配管などを納める方式。
メンテナンスがしやすい。
工事費が高く、工期が長い。
上記より〇となります。
(5)
「地中電線路の故障検出」
地中電線路は埋設されているため、故障点の探査は測定器を使用した故障点測定法で検出しなければならない。
ケーブル故障は地絡事故と断線事故があるが、大半は地絡事故である。
「マーレーループ法」
地絡事故で使用する。(断線事故の場合は、回路が形成されないので使用できない)
ホイートストンブリッジ回路を作って故障点までの抵抗を求め、ケーブル全体の長さから故障点を算出する。
「静電容量法」
断線事故で使用する。
健全線と故障線のケーブルの静電容量の違いを求め、ケーブル全体の長さから故障点を算出する。
「パルスレーダー法」
地絡・断線事故で使用する。
故障線の端からパルス電圧を送り、反射して戻る時間を測定する。
ケーブルの電圧伝播速度から故障点を算出する。
上記より〇となります。
解答
誤りは(3)となります。