電験三種(令和5年度下期) 電力 問11

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問題

方針

直流送電に関する問題です。(平成15年問8と同じ問題です)
(1)~(4)については「直流送電の利点」「直流送電の欠点
(5)については「交直変換装置
上記より考えたいと思います。

解法

(1)(2)(3)(4)

「直流送電の利点」

  • 交流と比較して高価な変換設備が必要だが、安定度が高く送電線路のコスト(導体本数が2条でよい)が小さいので、送電距離が長くなれば経済的である。
  • リアクタンスによる無効電力や誘導損の問題がないので電力損失が少ない。電圧降下・上昇が無い。直流間は内部インピーダンスが大きいので、交流系統を直流で連系すると系統のインピーダンスが大きくなり、短絡容量(短絡電流)は減少する。
  • ケーブルによる送電でも静電容量による充電電流がない。充電電流の影響がないので地絡電流が少なく、アークホーンを省くことができる。
  • 電圧の最大値と実効値が等しいので、同実効電圧の交流よりも電圧が小さくなり、交流に比べて絶縁強度(耐電圧値)は小さくできる。絶縁が容易で絶縁距離が少なくてすむ。
  • 異なった周波数の系統間連系ができる
  • 送電容量を決める場合の安定度の制約がない。

「直流送電の欠点」

  • 高周波や漏れ電流での大地の電食の対策が必要である。
  • 交流のような零点が無いので、高電圧・大電流の遮断が難しい
  • 変圧器による昇圧や降圧が簡単にできない
  • 交流と直流を変換する交直変換所が必要となる

(1)については「直流送電の欠点」よりとなります。
(2)については「直流送電の利点」より、直流は周波数の考慮がいらないので同期安定度の問題は無くとなります。
(3)については「直流送電の欠点」より、遮断は交流より難しくなります。従ってとなります。
(4)については「直流送電の欠点」よりとなります。

(5)

「交直変換装置」
交流と直流を変換する装置。

  • 他励式:サイリスタなどのデバイスを利用するもの。変換時に大きな交流系統の電源が必要で、安定化のための調相設備・調波フィルタが必要となる
  • 自励式:IGBTなどを利用するもの。交流系統の電源が無くても電力交換を行える。調相設備・高調波フィルタも不要である。

上記の通り、他励式では高調波フィルタが必要となるので、となります。

解答

誤りは(3)となります。

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