問題
方針
水力発電の出力、汽力発電の発電端熱効率に関する計算問題です。
(a)については「水力発電機出力」の式
(b)については「発電端熱効率」の式
上記の式を使いたいと思います。
解法
(a)
「水力発電機出力」の式
発電機出力=$9.8QHη_tη_g \ [kW] $
$Q$:流量 [$m^3/s$]
$H$:有効落差 [$m$]
$η_t$:水車効率
$η_g$:発電機効率
「有効落差」
有効落差=総落差-損失水頭(導水の摩擦などの損失分を高さで表したもの)
問題文の下記の値より「水力発電機出力」の式で発電機出力Pを求めます。
流量Q=20m3/s
有効落差H=総落差ー損失水頭=200ー7=193m
総合効率(水車効率ηt×発電機効率ηg)=85%
$P=9.8QHη_tη_g=9.8×20×193×0.85=32153.8 \ [kW] $
設備利用率60%なので、実際の電力は以下となります。
$P_W=32153.8×0.6=19292.28 \ [kW] $
求めるのは年間の発電量なので、ワット時にして一年分の時間を乗じます。
$19292.28 \ [kW・h]×24×365=169000372.8 \ [kW・h]≒170 \ [GW・h]$
(b)
需要端の最大負荷電力100MWで負荷率60%なので、実際に必要な電力Pは以下となります。
$P=100×10^3×0.6=60000 \ [kW]$
このうち、水力発電所が供給する電力は(a)より、PW=19292.28kWなので、汽力発電所が供給する電力PGは以下となります。
$P_G=P-P_W=60000-19292.28=40707.72 \ [kW]$
「発電端熱効率」
ボイラに入力した燃料エネルギーに対する、発電機が出力したエネルギーの比率。
発電端熱効率=発電機の出力(熱量値)/ボイラに供給した燃料の発熱量
$\displaystyle η_P=\frac{3600P_G}{BH} $
$B$:1時間あたりの燃料消費量 [$kg/h$]
$H$:燃料発熱量 [$kJ/kg$]
$P_G$:発電機出力 [$kW$]
下記の値より「発電端熱効率」の式で、一時間当たりの燃料消費量Bを求めます。
発電端熱効率ηP=40%
発電機出力PG=40404.72kW
重油の発熱量H=39100kJ/L
$\displaystyle 0.4=\frac{3600×40404.72}{B×39100} $
$\displaystyle B=9370.06 \ [L] $
一年分の燃料消費量を求めます。
$\displaystyle 9370.06×24×365=82081725.6 \ [L]≒82000 \ [kL] $
解答
(a)の解答は(3)となります。
(b)の解答は(3)となります。