問題


方針
電気事故と保護協調に関する問題です。(令和2年問11と同じ問題です)
(a)については「電気事業法」「事業用電気工作物の維持(第39条)」「電気関係報告規則」に関する問題です。
「電気事業」「電気工作物」なども参考にしたいと思います。
(b)については「保護協調」に関する問題です。
「過電流保護協調」「地絡保護協調」「地絡方向継電器(DGR)」なども参考にしたいと思います。
解法
(a)ー①
「電気事業法」「事業用電気工作物の維持(第39条)」
2ー三 事業用電気工作物の損壊により一般送配電事業者又は配電事業者の電気の供給に著しい支障を及ぼさないようにすること。
「電気事業」
- 一般送配電事業:自らが維持し、および運用する送電用および配電用の電気工作物によりその供給区域において託送供給および発電量調整供給を行う事業。
- 送電事業:自らが維持し、および運用する送電用の電気工作物により一般送配電事業者に振替供給を行う事業。
上記より(ア)は「一般送配電事業」となります。
送電事業とは、一般送配電事業者又は配電事業者に振替供給を行う事業なので、需要家設備に電気供給するものではありません。
(b)ー②
「電気関係報告規則」「第三条」一部抜粋
電気事業者又は自家用電気工作物を設置する者は、次の表の事故の欄に掲げる事故が発生したときは、それぞれ同表の報告先の欄に掲げる者に報告しなければならない。
十二
一般送配電事業者の一般送配電事業の用に供する電気工作物、配電事業者の配電事業の用に供する電気工作物又は特定送配電事業者の特定送配電事業の用に供する電気工作物と電気的に接続されている電圧三千ボルト以上の自家用電気工作物の破損又は自家用電気工作物の誤操作若しくは自家用電気工作物を操作しないことにより一般送配電事業者、配電事業者又は特定送配電事業者に供給支障を発生させた事故
自家用電気工作物を設置する者の報告先
電気工作物の設置の場所を管轄する産業保安監督部長
「電気工作物」
・事業用電気工作物
電気事業用電気工作物(電力会社の所有する設備)と自家用電気工作物に分類される。
自家用電気工作物は、高圧または特別高圧で受電する。構外にわたる電線路を有する。小出力発電設備に該当しない自家発電設備を有する。火薬類を製造する事業所。炭鉱に設置するもの。
工場、ビルなど。
上記より(イ)は「自家用電気工作物」となります。
事業用電気工作物には、電力会社の所有設備も含まれます。
上記より(ウ)は「3000」となります。
(a)ー③
問題の系統図で報告が必要なのは、高圧需要家の設置した自家用電気工作物内での事故なので、一般送配電事業者との責任分界点より負荷側の、点線で囲まれた部分のみが該当します。
従って、(エ)は「事故点2又は事故点3」となります。
(b)ー①
「保護協調」
保護協調とは、事故回路を検出した場合に事故回路のみを切り離し、他の健全回路を守ることができるように、保護装置(遮断器等)の動作値・動作時間を相互に調整することである。
使用設備内での保護協調だけでなく、電力会社の変電所との保護協調も必要となる。
保護協調には、過電流保護協調と地絡保護協調がある。
上記より(ア)は「保護協調」となります。
(b)ー②
「過電流保護協調」
電路に過電流や短絡が発生した時、故障回路の保護装置のみが動作し、他の健全回路では受電を継続できるように動作特性を調整する。
以下の順番で先に動作するように協調させる。
変圧器二次側配線用遮断器<需要家の受電側過電流継電器<配電用変電所の過電流継電器
(遮断特性のグラフでは、需要家の曲線は、配電側の曲線の下側になるようにする)
上記の通り、遮断器B(需要家の受電側過電流継電器)は遮断器A(配電用変電所の過電流継電器)よりも先に動作する必要があります。従って連動遮断特性図では、遮断器B(需要家の受電側過電流継電器)の曲線は遮断器A(配電用変電所の過電流継電器)の曲線の下となります。
従って(イ)は「曲線2」となります。
(b)ー③
「地絡保護協調」
高圧受電設備においては、高圧電路に地絡を生じたとき自動的に電路を遮断するため、必要な箇所に地絡遮断装置を施設する。この地絡遮断装置は、電気事業者の配電用変電所の地絡保護装置との動作協調を図るため電気事業者と協議することとされている。
上記の通り、地絡に関しても保護協調をとる必要があります。
②と同様に、連動遮断特性図では、遮断器B(需要家の受電側過電流継電器)の曲線は遮断器A(配電用変電所の過電流継電器)の曲線の下となります。
従って(ウ)は「曲線4」となります。
「地絡方向継電器(DGR)」
零相電圧(ZPD)と零相電流(ZCT)で地絡方向を検出する。地絡事故の判定で使用する。
他の需要家の地絡電流が逆流して零相電流となった場合の、もらい事故の不必要動作(誤動作)を防ぐことができる。
地絡電流の大きさだけでなく、零相電圧と零相電流の位相(方向)を検出して、自構内の事故かどうかを判断して動作する。
上記の通り、地絡の発生個所が負荷側(自構内の事故)か電源側(他の需要家の事故)かを判定する際には「地絡方向継電器(DGR)」を使用します。
従って(エ)は「地絡方向継電器」となります。
解答
(a)については、(ア)~(エ)すべてを満たすのは(5)となります。
(b)については、(ア)~(エ)すべてを満たすのは(4)となります。