問題

方針
「直流機の回転速度」に関する計算問題です。
「他励式」「直流機の無負荷状態」「銅損」などから考えたいと思います。
解法
「直流機の回転速度」の式
$\displaystyle N=\frac{E}{kΦ}=\frac{V-r_aI_a}{kΦ} \ [min^{-1}] $
$N$:回転速度 [$min^{-1}$]
$E$:逆起電力 [$V$]
$k$:係数
$Φ$:磁束 [$Wb$]
$V$:端子電圧 [$V$]
$r_a$:電機子抵抗 [$Ω$]
$I_a$:電機子電流 [$A$]
「他励式」
固定子の界磁回路が、回転子の電機子回路と別回路のもの。
界磁が別回路なので、界磁磁束Φは一定で変化しない。
電動機は、負荷が変動しても、電源電圧が一定なら回転速度の変化が少ないので定速度電動機と呼ばれる。
界磁が永久磁石の直流機は、界磁磁束が変化しないので、他励式となる。
「直流機の無負荷状態」
端子が開放されている状態。
他励・分巻は、逆起電力=電源電圧となり、電機子電流=0となる。
直巻は、励磁、電機子電流が同じなので負荷が無いと起動できない。励磁、電機子電流が小さいと、回転速度が急上昇してしまう。
問題文より、界磁に永久磁石を用いた直流電動機とあるので、他励式となります。
直流電動機の電機子(端子電圧)に12Vを加えて、無負荷状態で回転速度3000min-1とあります。
他励式の無負荷状態なので、逆起電力E=端子電圧V、電機子電流Ia=0の状態です。
「直流機の回転速度」の式よりkΦを求めます。
$\displaystyle 3000=\frac{12}{kΦ} $
$\displaystyle kΦ=0.004 $
「銅損」
負荷電流による抵抗の損失。
抵抗のジュール熱なので、I2Rから、電流の実効値の2乗に比例する。
電動機の電機子巻線の抵抗損や、ブラシの電気損も含まれる。
問題文より、電圧V=12Vを維持したまま負荷を変えて電機子電流Ia=2Aを流したところ、損失が3W発生したとあり、損失は電機子巻線の銅損Pcしか存在しないので、「ジュール熱」の式から、電機子抵抗raを求めます。
$P_c={I_a}^2r_a$
$3=2^2×r_a$
$r_a=0.75 \ [Ω]$
他励式なので、界磁磁束はkΦ=0.004で変わりません。「直流機の回転速度」の右側の式に代入して回転速度Nを求めます。
$\displaystyle N=\frac{V-r_aI_a}{kΦ}=\frac{12-0.75×2}{0.004}=2625 \ [min^{-1}] $
解答
解答は(2)となります。