電験三種(令和5年度下期) 機械 問3

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問題

方針

誘導電動機の回転速度制御に関する問題です。(令和1年問4と同じ内容ですが、解答の選択肢が違っています)
誘導機の回転速度」「誘導機の速度制御」から考えたいと思います。

解法

(ア)

「誘導機の回転速度」の式

$\displaystyle N=\frac{120f}{p}(1-s)=N_s(1-s) \ [min^{-1}] $

$N$:回転速度 [$min^{-1}$]
$f$:周波数 [$Hz$]
$p$:磁極数
$s$:滑り(0<s<1)
$N_s$:同期速度(回転磁界の速度) [$min^{-1}$]

「誘導機の回転速度」の式より、(ア)は以下となります。

$\displaystyle N=\frac{120f}{p}(1-s)=120・\color{red}{\frac{(1-s)f}{p}} $

(イ)

「誘導機の周波数による制御」「V/f 制御(インバータ制御)」
一次周波数を変化させる。(VVVF)
励磁電流I、励磁巻線のインダクタンスL、電圧Vのとき、I=V/2πfLより周波数と励磁電流(磁束)は反比例の関係となる。仮に電圧一定のまま周波数を減少させると、励磁電流(磁束)が増加し、磁気飽和となるとモータは破損する。(誘導機の等価回路参照)
そこで、磁束を一定に保つ為、周波数と電圧の比(V/f)が一定になるように、周波数と同時に電圧も変動させる。

上記より、電源周波数(一次周波数)のよる速度制御はVVVF制御が広く利用されています。
従って(イ)は「VVVF」となります。

(ウ)

「誘導機の極数による制御」
固定子巻線の接続を切り替えて極数を変化させ、速度を段階的に変える

上記より(ウ)は「極数」となります。

(エ)(オ)

「誘導機の滑りによる制御」「一次電圧制御(かご形)」
かご形誘導機で使用される滑り制御。
固定子(一次側)の電圧を変化させてトルクを変化させる。電動機トルク(始動トルク)特性曲線と負荷トルク特性曲線の安定点を移動させ、滑りを変化させる。
滑りの範囲を広くするために、あらかじめ二次抵抗を大きく設計するので、損失が大きくなり非効率である。
トルクは一次電圧の2乗に比例する。

(エ)は「一次電圧制御(かご形)」になります。従って「一次電圧」となります。

「誘導機の滑りによる制御」「二次抵抗制御(巻線形)」
巻線形電動機で使用される滑り制御。
巻線形誘導電動機の回転子(二次側)に抵抗を接続して、抵抗値を変えて滑りを変化させる。(比例推移を利用する)
二次抵抗を大きくすると滑りは大きくなり、回転速度は小さくなる。
抵抗を大きくすると、二次回路の電力損失は大きくなる。

(オ)の後半の説明は「二次抵抗制御(巻線形)」になります。従って「二次抵抗」となります。

解答

(ア)~(オ)すべてを満たすのは(5)となります。

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