電験三種(令和5年度下期) 機械 問13

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問題

方針

伝達関数とブロック線図」「ゲイン特性」に関する問題です。(平成7年問13と同じ問題です)
フィードバック結合」の変形として伝達関数を作ります。
1次遅れ要素」「積分回路(ローパスフィルタ)のボード線図」よりゲイン線図を考えたいと思います。

解法

「直列結合」

「フィードバック結合」

問題のフィードバック制御系から、伝達関数を作ります。
上記の「フィードバック結合」で見ると、G1がKと1/jωTの「直列結合」で、G2が無い閉ループになっています。出力C(jω)を結合式に当てはめると以下のようになります。

$\displaystyle C(jω)=\left(\frac{G1}{1+G1・G2}\right)R(jω) $

$\displaystyle C(jω)=\left(\frac{K・\displaystyle \frac{1}{jωT}}{1+K・\displaystyle \frac{1}{jωT}}\right)R(jω)=\left(\frac{K}{K+jωT}\right)R(jω) $

上記の式から伝達関数W(jω)を求めて、変形すると「1次遅れ要素」の形になります。

「1次遅れ要素」
1次遅れ要素とは、伝達関数の入力と出力の関係において、以下の式が成り立つものをいう。
具体的には、電源投入後一定電圧に収束するまでに時間がかかるものが該当する。
電気回路では、積分回路(ローパスフィルタ)が該当する。

$\displaystyle G(s)=\frac{1}{τs+1} \left(G(jω)=\displaystyle\frac{1}{jτω+1}\right) $

$τ$:時定数

$\displaystyle W(jω)=\frac{C(jω)}{R(jω)}=\frac{K}{K+jωT}=\frac{1}{1+j\displaystyle\frac{T}{K}ω} $

「積分回路(ローパスフィルタ)のボード線図」

$\displaystyle G(jω)=\frac{出力}{入力}=\frac{1}{1+jτω} \ $

「伝達関数の値」
折れ点周波数は、角周波数ωc=1/τとなる周波数で、ゲイン特性線がー20dB/decの直線に曲がる点(近似)である。
折れ点周波数ωc=1/τを基準にして、角周波数ωが変化したときの伝達関数の値は以下のようになる。

  • 低周波(ω<<1/τ):τω<<1より、G(jω)=1ーj0=1
  • 同周波(ω=1/τ):τω=1より、G(jω)=1/2ーj1/2=1/√2
  • 高周波(ω>>1/τ):τω>>1より、G(jω)=0ーj(1/τω)=ーj(1/τω)

上記のボード線図のゲイン特性(赤線)のように、「1次遅れ要素」のゲイン特性は「折れ点周波数」を起点にー20dB/decの直線に曲がります。
伝達関数W(jω)の式より、折れ点周波数ωcは以下となります。

$\displaystyle W(jω)=\frac{1}{1+j\displaystyle\frac{T}{K}ω}=\frac{1}{1+jτω} $

$\displaystyle ω_c=\frac{1}{τ}=\frac{K}{T} $

解答の選択肢の図で、折れ点周波数がK/Tなのは(4)(5)となります。
次に、周波数が折れ点周波数(ωc=K/T)より低い周波数の時のW(jω)の値を考えます。
角周波数はω<<1/τとなり、τω<<1より、W(jω)の虚数部分は0となり近似式は以下となります。

$\displaystyle W(jω)=\frac{1}{1+jτω}=\frac{1}{1+j0}=1 $

「ゲイン特性」
入力に周波数(jω)の正弦波を入力したとき、出力の正弦波の振幅の変化がどうなるかを「ゲイン」で表したもの。

$\displaystyle g=20log|G(jω)| \ [dB] $

$g$:ゲイン [$dB$]
$G(jω)$:伝達関数=出力/入力

折れ点周波数より低い角周波数の伝達関数W(jω)=1となるので、「ゲイン特性」よりdB値を求めます。

$\displaystyle g=20log|W(jω)|=20log|1|=0 \ [dB] $

(4)(5)のうち0dBにあてはまるのは(4)の図となります。

解答

解答は(4)となります。
そもそも伝達関数は難しい範囲と思われますが、さらにゲイン線図を求める問題なので試験では苦戦しそうです。

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