問題


方針
電荷のクーロン力に関する問題です。(平成30年問1と同じ問題です)
「電荷のクーロン力」の式を使います。
問題文が長いですが、問題に計算式が与えられているのでそれに従って解きたいと思います。
解法
(ア)(イ)
「電荷のクーロン力」
二つの点電荷の間で相互に働く力(静電力)を表す。
同符号の電荷は反発力で、異符号は吸引力となる。
$\displaystyle F=\frac{1}{4πε_0}・\frac{Q_1Q_2}{r^2}=9・10^9・\frac{Q_1Q_2}{r^2} \ [N] $
$F$:クーロン力 [$N$]
$ε_0$:真空の誘電率(真空中の場合)
$Q$:電荷 [$C$]
$r$:電荷間の距離 [$m$]
導体球A、Bの電荷はそれぞれQ[C]、3Q[C]で両方とも正電荷なので、静電力(クーロン力)は反発力となります。
従って(ア)は、「反発力」となります。
導体球A、Bの静電力(クーロン力)は、導体球Aの電荷Q1=Q[C]、導体球Bの電荷Q2=3Q[C]、AーB間の距離がd[m]なので、「電荷のクーロン力」の式より求めます。
$\displaystyle F=\frac{1}{4πε_0}・\frac{Q_1Q_2}{r^2}=\frac{3Q^2}{4πε_0d^2} \ [N] $
(イ)は $\displaystyle \textcolor{red}{\frac{3Q^2}{4πε_0d^2}}$ となります。
(ウ)
(ウ)は $\displaystyle k\left(\frac{d}{2l}\right)^3=\sqrt{1-\left(\frac{d}{2l}\right)^2}$ のkを求める問題です。
問題文より$\displaystyle \frac{F}{T}=\frac{d}{2l}$なので、$F^2+(mg)^2=T^2$を変形して代入します。
$\displaystyle F^2+(mg)^2=T^2$
$\displaystyle \left(\frac{F}{T}\right)^2+\left(\frac{mg}{T}\right)^2=1$
$\displaystyle \left(\frac{d}{2l}\right)^2+\left(\frac{d}{2l}×\frac{mg}{F}\right)^2=1$
(ウ)の式になるように変形していきます。
$\displaystyle \left(\frac{dmg}{2lF}\right)^2=1-\left(\frac{d}{2l}\right)^2$
$\displaystyle \frac{dmg}{2lF}=\sqrt{1-\left(\frac{d}{2l}\right)^2}$
(イ)より $\displaystyle F=\frac{3Q^2}{4πε_0d^2}$ を代入します。
$\displaystyle \frac{dmg}{2l}×\frac{4πε_0d^2}{3Q^2}=\sqrt{1-\left(\frac{d}{2l}\right)^2}$
(ウ)の式になるように変形していきます。
$\displaystyle mg×\frac{4πε_0}{3Q^2}×(2l)^2×\left(\frac{d}{2l}\right)^3=\sqrt{1-\left(\frac{d}{2l}\right)^2}$
$\displaystyle \frac{16πε_0l^2mg}{3Q^2}×\left(\frac{d}{2l}\right)^3=\sqrt{1-\left(\frac{d}{2l}\right)^2}$
(ウ)は $\displaystyle \textcolor{red}{\frac{16πε_0l^2mg}{3Q^2}}$ となります。
(エ)
A、Bを接触させ、電荷が移動して同電位となったので、電源に接続されていない二つの同じ静電容量のコンデンサが接続された時と同様に、電荷保存則で導体球BのQ[C]が導体球Aに移動し、A、Bは共に2Q[C]の電荷を持った状態となります。
接触後の状態での導体球A、Bの静電力(クーロン力)Fを求めます。
導体球Aの電荷Q1=2Q[C]、導体球Bの電荷Q2=2Q[C]、AーB間の距離をd[m]として、「電荷のクーロン力」の式より求めます。
$\displaystyle F=\frac{1}{4πε_0}・\frac{Q_1Q_2}{r^2}=\frac{4Q^2}{4πε_0d^2} \ [N] $
仮に接触前のAーB間の距離dの状態でみると、接触後の静電力(クーロン力)Fは電荷量が3Q2→4Q2になることで増加しているので、接触後の距離は接触前の距離dよりも増加すると考えることもできそうです。
この問題では、(ウ)で張力Tを消去して導体球間の距離dを満たす式を導いているので、これを利用して考えたいと思います。
$\displaystyle k×\left(\frac{d}{2l}\right)^3=\sqrt{1-\left(\frac{d}{2l}\right)^2}$
接触後は(ウ)の係数kの分母が3Q2→4Q2に増えることになり、係数kは減少します。
上記の張力Tを消去して導体球間の距離dを満たす式が成り立つには、糸の長さℓは変わらないので距離dが増える必要があります。
従って(エ)は、「増加」となります。
解答
(ア)~(エ)すべてを満たすのは(1)となります。