電験三種(令和5年度下期) 理論 問10

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問題

方針

RC直列回路」の過渡現象、「時定数」に関する問題です。((4)の文章表現以外は平成28年問10と同じ問題です)
問題文では、コンデンサを十分に充電した後、t=0sでスイッチを切り換えたとあるので、定常状態後のコンデンサからの放電動作を考えます。

解法

「RC直列回路」の過渡現象
コンデンサの特性として、最初はコンデンサ部分は短絡状態となり全電流が流れるが、しだいに飽和状態となり、最終的(定常状態)には、コンデンサが充電された時点で電流は流れなくなる。
コンデンサの電圧は、最初は短絡状態なので電位差0だが、徐々に電流が溜まり始めて電源電圧まで蓄積されて飽和する。(開放状態)
定常状態で電源を開放した閉回路にすると、コンデンサが電源となり、充電された電流が充電時と逆方向に流れ出す。電流は定常状態までと逆の線を描きながら減っていく。

「時定数」
電気回路に電流を流しはじめてから、定常電流になるまでの変化速度を表す定数。
立ち上がりの良さ、応答性の良さを表す。
具体的には、過渡現象の立ち上がり時は定常値の63%、立ち下がり時は定常値の37%に達するまでの時間で、時定数が小さければ小さいほど、反応が早くなる。
RL回路とRC回路の時定数は、以下の式で表される。

$\displaystyle τ=\frac{L}{R} τ=CR $

$τ$:時定数
$R$:抵抗
$L$:インダクタンス
$C$:静電容量

(1)

「時定数」の式より、RC回路の時定数τ=CRなので静電容量Cの値に比例します。
従ってとなります。

(2)

「時定数」の式より、RC回路の時定数τ=CRなので抵抗Rが大きいと時定数も大きくなります。
時定数が大きいと反応は遅くなるので、コンデンサの電流も緩やかに減少し、端子電圧vcも緩やかに減少します。
従ってとなります。

(3)

時定数は、立ち下がり時は定常値の約37%に達するまでの時間を表すので、コンデンサが十分充電された時の定常電圧値の0.368倍となります。
従ってとなります。

(4)

t=0以降の放電状態の時は、コンデンサが電源となって、電流は充電時と逆方向に流れます。従って抵抗Rには右から左方向に電流が流れるので、回路図の電圧vRの矢印は逆(負)になります。
従ってとなります。

(5)

t=0の時の電流iは、「RC直列回路」の電流の曲線の通り、i=ーE/Rとなります。
コンデンサに充電される全体の電気量は静電容量Cに関係しますが、出力される電流iには関係しません。
従ってとなります。

解答

誤りは(5)となります。

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