問題
方針
三相交流の配線方式や誘導機に関する問題です。(平成17年問7と同じ問題ですが、選択肢の順番が違います)
(1)については「三相4線式」
(2)については「三相3線式」
(3)については「誘導機の動作原理」
(4)については「対象三相交流」「三相有効電力」
(5)については「三相3線式」
上記より考えたいと思います。
解法
(1)
「三相4線式」
Y結線の三相4線式で1線を中性線(電流は流れない)として接地する配電方式。
中性線と電圧線3本で構成される。
中性線と他の電線の間の相電圧(対地電圧)は240V、線間電圧は415Vとなる。
規模の大きなビルで採用され、電圧格上げによる供給力増加や電力損失の軽減ができる。
・三相4線式(線間電圧415V、対地電圧240V)
上記のようにY結線の三相4線式では、線間で線電圧、中性線と他の線で相電圧を容易に取り出せます。
従って〇となります。
(2)
「三相3線式」
動力用低圧配電線に使用され、電圧線(200Vまたは400V)3本で構成される。
電線の総重量は単相2線式の3/4となる。
計算での証明は難しいので省略しますが、上記の通り三相3線式の必要な電線の総重量は単相2線式の3/4となります。
従って✖となります。
(3)
「誘導機の動作原理」
固定子の巻線に三相交流電源をつなげると、固定子巻線に回転磁界が生じる。この回転磁界が回転子のコイルに電磁誘導による起電力を発生させ、渦電流が流れる。渦電流の電磁力によって回転子が回転する。
上記の通り、誘導機では三相交流により生じる回転磁界によって、回転子を回転させて動作させます。
従って〇となります。
(4)
「対象三相交流」
三つの正弦波(R,S,T)の単相交流で構成され、大きさと周波数が同じで、位相が0°、120°、240°ずれている電圧を持つ。
各相をR相、S相、T相として、R相を基準とすると、S相は120°遅れ、T相は240°遅れとなる。
「三相有効電力」
三相で考える場合、線間では結線により電流または電圧が√3倍となる。
一相で考える場合、一相の有効電力の3倍と考える。
$\displaystyle P=\sqrt{3}VIcosθ=3V_pI_pcosθ \ [W] $
$P$:有効電力 [$W$]
$V$:線電圧 [$V$]
$I$:線電流 [$A$]
$V_p$:相電圧 [$V$]
$I_p$:相電流 [$A$]
$θ$:相電圧と相電流の位相差 [$rad$]
$R$:一相の抵抗 [$Ω$]
三相対象交流は、電圧vと電流iともに位相が0°、120°、240°ずれた正弦波となります。
ただし、瞬時値の電圧vと電流i、電圧vと電流iの力率θとして一相の瞬時有効電力p=v×iを求め、三相分を加算するとωt(時間)の部分は相殺されることがわかります。そのため、三相電力の式は上記のように時間に無関係な一相分の電力を単純に3倍した一定の値となります。
従って〇となります。
(5)
「三相3線式」
同じ出力を得る場合、電圧が同じなら単相2線式より少ない電流で済む。
1線当たりの送電能力は、単相2線式の115%となる。(単相2線式の1線当たりの送電能力はVIcosθ/2、三相3線式の1線当たりの送電能力は√3VIcosθ/3となるため、2√3/3となる)
上記のとおり、同じ出力、電圧ならば単相より少ない電流で済むので、小形に設計することができます。
従って〇となります。
解答
誤りは(2)となります。