電験三種(令和6年度上期) 電力 問15

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問題

方針

水車の分類と比速度、回転速度に関する問題です。
(a)比速度から水車の種類を求め、「水車の比速度」の式より回転速度を求めます。
(b)「同期機の回転速度」の式より磁極数を求め、「水車の比速度」の式より比速度を求めます。

解法

(a)

「水車の比速度」
水車の形と運転状態を相似に保ったまま大きさを変えたときに、単位落差1mで単位出力1kWの出力をする水車の1分あたりの回転速度。
比速度は以下の順となる。ペルトン(12~23)<フランシス(60~300)<斜流(120~350)<プロペラ(250~850) 。
有効落差(m)は以下の順となる。ペルトン(250以上)>フランシス(50~600)>斜流(40~200)>プロペラ(5~80) 。
比速度と落差の関係はおおよそ反比例になる。(比速度が大きい→低落差でも早く回転する)
比速度によって水車の選定を行うが、誤ると効率の低下、振動やキャビテーションの原因となる。
ペルトン水車の比速度はノズル1個、反動水車はランナ1個あたりの出力で算出する。

$\displaystyle N_s=N×\frac{\sqrt{P}}{H^{\frac{5}{4}}} $

$N_s$:比速度 [$mkW$]
$N$:水車の回転速度 [$min^{-1}$]
$P$:水車の出力 [$kW$]
$H$:有効落差 [$m$]

まず、水車の種類を比速度より求めます。
カプラン水車はプロペラ水車の一種ですが、問題の比速度が100m・kWに該当する水車は、選択肢の中では「フランシス水車」水車が該当します。

次に、有効落差H=200m、水車出力P=85000kW、比速度NS=100m・kWより「水車の比速度」の式を使って回転速度Nを求めます。

$\displaystyle 100=N×\frac{\sqrt{85000}}{200^{\frac{5}{4}}} $

ここで累乗根の部分を抜き出して計算します。

$\displaystyle 200^{\frac{5}{4}}=\sqrt[4]{(200)^5}=\sqrt[4]{32×10^{10}}=\sqrt{\sqrt{3200×10^{8}}}≒752.12 $

回転速度Nは以下となります。

$\displaystyle N=\frac{100×752.12}{\sqrt{85000}}≒258 \ [min^{-1}] $

(b)

「同期機の回転速度」の式

$\displaystyle N_s=\frac{120f}{p} \ [min^{-1}] $

$N_s$:回転速度 [$min^{-1}$]
$f$:周波数 [$Hz$]
$p$:磁極数

周波数f=50Hz、(a)で求めた水車の回転速度N=258min-1より、「同期機の回転速度」の式を使って磁極数pを求めます。

$\displaystyle 258=\frac{120×50}{p} $

$\displaystyle p≒24 $

周波数f=50Hz、磁極数p=24より、「同期機の回転速度」の式を使って回転速度Nを求めます。

$\displaystyle N=\frac{120×50}{24}=250 \ [min^{-1}] $

回転速度N=250min-1、有効落差H=200m、水車出力P=85000kWより、「水車の比速度」の式を使って比速度NSを求めます。

$\displaystyle N_S=250×\frac{\sqrt{8500}}{200^{\frac{5}{4}}}≒97 \ [m・kW] $

解答

(a)の解答は(4)となります。
(b)の解答は(5)となります。
水車の種類ごとの比速度の値まで覚えているのは稀と思いますし、比速度の計算も累乗根の計算があり、初見で解くのは難しいと思います。

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