問題

方針
「配線方式と電圧降下」に関する計算問題です。(令和2年問17と同じ問題です)
(a)では、「送配電線の電圧降下の近似式」より電圧降下を求めたいと思います。
(b)では、「ループ回路の電圧降下」で「キルヒホッフの法則」を使って電流iを求めたいと思います。
解法
(a)
電源AからC点の電圧降下を求めます。

「送配電線の電圧降下の近似式」三相3線式の式
$\displaystyle v=\sqrt{3}I(Rcosθ+Xsinθ) \ [V] $
$I$:線電流 [$A$]
$R$:抵抗(電線1線あたり) [$Ω$]
$X$:リアクタンス(電線1線あたり) [$Ω$]
$Rcosθ+Xsinθ$:等価抵抗 [$Ω$]
問題文より力率100%(cosθ=1)でリアクタンスXは無視できるので、電圧降下の式は以下となります。
$\displaystyle v=\sqrt{3}IR \ [V] $
AD間とDC間の抵抗は、1線当たり0.2Ω/kmより以下となります。
$\displaystyle R_{AD}=0.2×2.0=4.0 \ [Ω] $
$\displaystyle R_{DC}=0.2×1.5=0.3 \ [Ω] $
AD間とDC間の電圧降下は、上記の式より以下となります。
$\displaystyle v_{AD}=\sqrt{3}×(60+30)×0.4=62.28 \ [V] $
$\displaystyle v_{DC}=\sqrt{3}×30×0.3=15.57 \ [V] $
AC間の電圧降下は以下となります。
$\displaystyle v_{AC}=v_{AD}+v_{DC}=62.28+15.57≒77.9 \ [V] $
(b)
「ループ回路の電圧降下」
送配電線等のループ回路における電圧降下を計算する場合。
線路の長さから各線路間の抵抗を求める。
1線路間を流れる電流Iを仮決めして、キルヒホッフの第2法則を使用して、ループ内の電圧降下の和=0の式を作り、電流Iを求める。
求めた電流Iより指定区間の電圧降下を求める。
電流Iを求める場合は、キルヒホッフの第1法則を使用して、分岐点の電流の式を作りループ内の電圧降下の和=0の式に代入して求める。
「キルヒホッフの第一法則」
分岐点において電流の流入の和と流出の和は等しい。
「キルヒホッフの第二法則」
閉回路において、電源電圧の和と電圧降下の和は等しい。

まず、線路間の抵抗値を求めます。
$\displaystyle R_{AB}=0.2×1.5=0.3 \ [Ω] $
$\displaystyle R_{BC}=0.2×(1.0+0.5)=0.3 \ [Ω] $
$\displaystyle R_{CD}=0.2×1.5=0.3 \ [Ω] $
$\displaystyle R_{DA}=0.2×2.0=0.4 \ [Ω] $
各区間の電流をIAB、i、ICD、IDAとして、キルヒホッフの第二法則よりループ回路の電圧降下=0の式を作ります。
$\displaystyle \sqrt{3}R_{AB}I_{AB}+\sqrt{3}R_{BC}i+\sqrt{3}R_{CD}I_{CD}+\sqrt{3}R_{DA}I_{DA}=0 $
$\displaystyle \sqrt{3}(0.3I_{AB}+0.3i+0.3I_{CD}+0.4I_{DA})=0 $
キルヒホッフの第一法則より、B~D点の電流の式を作り、iでまとめます。
B点:$i=I_{AB}-40 I_{AB}=i+40$
C点:$I_{CD}=i-30$
D点:$I_{DA}=I_{CD}-60 I_{DA}=i-90$
ループ回路の電圧降下=0の式に代入して、電流iを求めます。
$\displaystyle \sqrt{3}\{(0.3×(i+40)+0.3i+0.3×(i-30)+0.4×(i-90)\}=0 $
$\displaystyle i≒25.4 \ [A] $
解答
(a)の解答は(4)となります。
(b)の解答は(2)となります。