問題
方針
三相3線式の電線の電圧降下に関する計算問題です。(平成15年問12と同じ問題です)
「送配電線の電圧降下の近似式」を使用して解きたいと思います。
負荷電力は「三相有効電力」の式を使います。
解法
(a)
「送配電線の電圧降下の近似式」三相3線式の式
$\displaystyle v=\sqrt{3}I(Rcosθ+Xsinθ) \ [V] $
$I$:線電流 [$A$]
$R$:抵抗(電線1線あたり) [$Ω$]
$X$:リアクタンス(電線1線あたり) [$Ω$]
$Rcosθ+Xsinθ$:等価抵抗 [$Ω$]
「三相有効電力」の式
$\displaystyle P=\sqrt{3}VIcosθ \ [W] $
$P$:有効電力 [$W$]
$V$:線電圧 [$V$]
$I$:線電流 [$A$]
$θ$:相電圧と相電流の位相差 [$rad$]
使用電力P=8000kW、力率0.8、受電電圧V=20kVなので、「三相有効電力」の式より電流Iを求めます。
$\displaystyle 8000×10^3=\sqrt{3}×(20×10^3)×I×0.8 $
$\displaystyle I≒289.02 \ [A] $
線路の抵抗R=3Ω、リアクタンスX=5Ωなので、「送配電線の電圧降下の近似式」三相3線式の式より、電圧降下vを求めます。
$\displaystyle cosθ=0.8 sinθ=\sqrt{1-(cosθ)^2}=0.6 $
$\displaystyle v=\sqrt{3}×289.02×(3×0.8+5×0.6)=2700.02 \ [V]≒2.7 \ [kV] $
受電電圧V=20kVなので、変電所引出口の電圧は、配電線路の電圧降下vを加えたものになります。
変電所引出口の電圧$=V+v=20+2.7=22.7 \ [kV]$
(b)
(a)と同様に、使用電力P=8000kW、力率0.95、受電電圧V=20kVで、「三相有効電力」の式より電流I’を求めます。
$\displaystyle 8000×10^3=\sqrt{3}×(20×10^3)×I’×0.95 $
$\displaystyle I’≒243.38 \ [A] $
(a)と同様に、線路の抵抗R=3Ω、リアクタンスX=5Ωより、「送配電線の電圧降下の近似式」三相3線式の式より、電圧降下v’を求めます。
$\displaystyle cosθ=0.95 sinθ=\sqrt{1-(cosθ)^2}=0.31 $
$\displaystyle v’=\sqrt{3}×243.38×(3×0.95+5×0.31)=1852.61 \ [V]≒1.85 \ [kV] $
(a)の電圧降下vと(b)の電圧降下v’の比率を求めます。
$\displaystyle \frac{v’}{v}=\frac{1.85}{2.7}=0.685=68.5 \ [\%] $
解答
(a)の解答は(3)となります。
(b)の解答は(2)となります。