電験三種(令和6年度上期) 法規 問12

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問題

方針

進相コンデンサ設備に関する問題です。(令和5年下期問12と同じ問題です)
(a)については「直列リアクトル(SR)」よりコンデンサの電圧を求めます。
(b)については「力率を改善する場合のコンデンサ容量」よりコンデンサの容量を計算します。
直列リアクトルが接続されているので、その無効電力分を加算する必要があります。

解法

(a)

「直列リアクトル(SR)」
進相コンデンサに直列に接続するコイル。
進相コンデンサは、負荷設備で発生した高調波を増大させる特性があるため、直列コンデンサを挿入して回路を誘導性にすることで、高調波の拡大を防止し電圧のひずみを改善する。
また、コンデンサ投入時の突入電流を抑え、異常電圧の発生を抑える。
基本波に対しては進相コンデンサ(容量性)、第5高調波に対しては直列リアクトル(誘導性)で対応する。
進相コンデンサのパーセントインピーダンス%ZCを100%として、直列リアクトルのパーセントインピーダンス%ZLが6%のとき、各電圧の比率は以下のようになる。

上記の通り、進相コンデンサ設備全体の電圧Vは、LC直列回路となるので、進相コンデンサの電圧VCから直列リアクトルの電圧VL分を引いた値となります。
問題文より、直列リアクトルのリアクタンスXLは、進相コンデンサのリアクタンスXCの6%なので、電圧の比率も同じになります。進相コンデンサ設備全体の電圧V=6600Vなので以下の式より進相コンデンサの電圧VCを求めます。

$V=V_C-V_L$
$6600=V_C-0.06×V_C$
$V_C≒7021 [V]$

(b)

「力率を改善する場合のコンデンサ容量」
負荷P1が一定で力率改善のために進相コンデンサQを挿入する。
改善前:力率cosθ1、負荷P1[kW]、無効電力Q1[var]、容量S1[VA]
改前後:力率cosθ2、負荷P1[kW]、無効電力Q2[var]、容量S2[VA]
進相設備に直列リアクトルがある場合は、進相コンデンサの6%の直列リアクトル分が遅れ無効電力として使用されている。
従って、進相コンデンサ自体の容量は、直列リアクトル分を追加したものとなる。

$\displaystyle Q_1=P_1tanθ_1 $

$\displaystyle Q_2=P_1tanθ_2 $

力率改善前の無効電力Q1と力率改善後の無効電力Q2を求め、差分から力率改善に必要となる無効電力Qを求めます。
負荷P1=300kW、改善前の力率0.6より、cosθ1=0.6、sinθ1=0.8から無効電力Q1を求めます。

$\displaystyle Q_1=P_1tanθ_1=300×\frac{0.8}{0.6}=400 [kvar] $

負荷は変わらずP1=300kW、改善後の力率0.8より、cosθ2=0.8、sinθ2=0.6から無効電力Q2を求めます。

$\displaystyle Q_2=P_1tanθ_2=300×\frac{0.6}{0.8}=225 [kvar] $

力率改善に必要となる無効電力Qを求めます。

$\displaystyle Q=Q_1-Q_2=400-225=175 [kvar] $

直列リアクトルが接続されているので、必要となる進相コンデンサの容量は、直列リアクトルの無効電力分を加算した値となります。直列リアクトルの無効電力は、進相コンデンサの6%なので、この分を加算した値を求めます。

$\displaystyle 175+(175×0.06)≒186 [kvar] $

解答

(a)の解答は(5)となります。
(b)の解答は(3)となります。

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