問題

方針
「交流における素子の特性」に関する問題です。(平成17年問16と同じ問題ですが、選択肢の順番が違います)
「瞬時値」のsin表記の電圧vと、電流iの瞬時値を「sinーcosの関係式」よりsin表記を合わせて、位相差から回路素子が「コイルの特性」なのか「コンデンサの特性」なのかを判別したいと思います。
電圧と電流の「実効値」よりリアクタンスを求めます。
解法
(a)
「瞬時値」
正弦波交流のある時点での値。
位相が進んでいる:+θ、t=0での波形は正の位置にある。
位相が遅れている:-θ、t=0での波形は負の位置にある。
$\displaystyle e=E_msin(ωt+θ) \ [V] $
$E_m$:最大値電圧 [$V$]
$ω$:角周波数 [$rad/s$]
$t$:時間 [$s$]
$θ$:位相 [$rad$]
「sinーcosの関係式」
$\displaystyle cosθ=sin\left(θ+\frac{π}{2}\right) $
$\displaystyle -sinθ=sin(θ+π) $
問題文の電流iを上記の関係式よりsinの形に変形すると以下のようになります。
$\displaystyle i=-50cos(1000t) $
$\displaystyle i=-50sin(1000t+\frac{π}{2}) $
$\displaystyle i=50sin(1000t+\frac{3π}{2})=50sin(1000t-\frac{π}{2}) $
上記より電圧vに対して電流iはπ/2遅れていることになります。
「コイルの特性(交流)」
電圧を基準にすると電流はπ/2遅れる。ベクトル表現では↓。
(電流を基準にすると電圧はπ/2進む。ベクトル表現では↑)
「コンデンサの特性(交流)」
電圧を基準にすると電流はπ/2進む。ベクトル表現では↑。
(電流を基準にすると電圧はπ/2遅れる。ベクトル表現では↓)
上記の特性より、回路素子はコイル(誘導性リアクタンス)であることがわかります。
従って求める素子の値はインダクタンスLとなります。
「実効値」
交流の電圧は刻々変化するので、便宜上、実効値で表現する。電流も同様である。
$\displaystyle E=\frac{E_m}{\sqrt{2}} \ [V] $
$E$:実効値電圧 [$V$]
$E_m$:最大値電圧 [$V$]
「誘導性リアクタンス(XL)」の式
$\displaystyle X_L=ωL=2πfL \ [Ω] $
$ω$:角周波数 [$rad/s$]
$L$:インダクタンス [$H$]
$f$:周波数 [$Hz$]
電圧の瞬時値vと電流の瞬時値iより、実効値V、Iを求めてオームの法則より誘導性リアクタンスXLを求めます。
$\displaystyle V=\frac{500}{\sqrt{2}} $
$\displaystyle I=\frac{50}{\sqrt{2}} $
$\displaystyle X_L=\frac{V}{I}=\frac{\displaystyle \frac{500}{\sqrt{2}}}{\displaystyle \frac{50}{\sqrt{2}}}=10 \ [Ω] $
角周波数ω=1000なので、誘導性リアクタンスXLより、リアクタンスLを求めます。
$\displaystyle X_L=ωL=1000×L=10 $
$\displaystyle L=0.01 \ [H]=10 \ [mH] $
(b)
回路素子はインダクタンスなので、問題文のインダクタンスのエネルギーの最大値の式にL=0.01、電流iの最大値電流IM=50を代入します。
$\displaystyle W_{max}=\frac{1}{2}Li^2=\frac{1}{2}×0.01×50^2=12.5 \ [J] $
解答
(a)の解答は(4)となります。
(b)の解答は(3)となります。