電験三種(令和6年度上期) 理論 問15

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問題

方針

交流における素子の特性」に関する問題です。(平成17年問16と同じ問題ですが、選択肢の順番が違います)
瞬時値」のsin表記の電圧vと、電流iの瞬時値を「sinーcosの関係式」よりsin表記を合わせて、位相差から回路素子が「コイルの特性」なのか「コンデンサの特性」なのかを判別したいと思います。
電圧と電流の「実効値」よりリアクタンスを求めます。

解法

(a)

「瞬時値」
正弦波交流のある時点での値。
位相が進んでいる:+θ、t=0での波形は正の位置にある。
位相が遅れている:-θ、t=0での波形は負の位置にある。

$\displaystyle e=E_msin(ωt+θ) \ [V] $

$E_m$:最大値電圧 [$V$]
$ω$:角周波数 [$rad/s$]
$t$:時間 [$s$]
$θ$:位相 [$rad$]

「sinーcosの関係式」

$\displaystyle cosθ=sin\left(θ+\frac{π}{2}\right) $

$\displaystyle -sinθ=sin(θ+π) $

問題文の電流iを上記の関係式よりsinの形に変形すると以下のようになります。

$\displaystyle i=-50cos(1000t) $

$\displaystyle i=-50sin(1000t+\frac{π}{2}) $

$\displaystyle i=50sin(1000t+\frac{3π}{2})=50sin(1000t-\frac{π}{2}) $

上記より電圧vに対して電流iはπ/2遅れていることになります。

「コイルの特性(交流)」
電圧を基準にすると電流はπ/2遅れる。ベクトル表現では↓。
(電流を基準にすると電圧はπ/2進む。ベクトル表現では↑)

「コンデンサの特性(交流)」
電圧を基準にすると電流はπ/2進む。ベクトル表現では↑。
(電流を基準にすると電圧はπ/2遅れる。ベクトル表現では↓)

上記の特性より、回路素子はコイル(誘導性リアクタンス)であることがわかります。
従って求める素子の値はインダクタンスLとなります。

「実効値」
交流の電圧は刻々変化するので、便宜上、実効値で表現する。電流も同様である。

$\displaystyle E=\frac{E_m}{\sqrt{2}} \ [V] $

$E$:実効値電圧 [$V$]
$E_m$:最大値電圧 [$V$]

「誘導性リアクタンス(XL)」の式

$\displaystyle X_L=ωL=2πfL \ [Ω] $

$ω$:角周波数 [$rad/s$]
$L$:インダクタンス [$H$]
$f$:周波数 [$Hz$]

電圧の瞬時値vと電流の瞬時値iより、実効値V、Iを求めてオームの法則より誘導性リアクタンスXLを求めます。

$\displaystyle V=\frac{500}{\sqrt{2}} $

$\displaystyle I=\frac{50}{\sqrt{2}} $

$\displaystyle X_L=\frac{V}{I}=\frac{\displaystyle \frac{500}{\sqrt{2}}}{\displaystyle \frac{50}{\sqrt{2}}}=10 \ [Ω] $

角周波数ω=1000なので、誘導性リアクタンスXLより、リアクタンスLを求めます。

$\displaystyle X_L=ωL=1000×L=10 $

$\displaystyle L=0.01 \ [H]=10 \ [mH] $

(b)

回路素子はインダクタンスなので、問題文のインダクタンスのエネルギーの最大値の式にL=0.01、電流iの最大値電流IM=50を代入します。

$\displaystyle W_{max}=\frac{1}{2}Li^2=\frac{1}{2}×0.01×50^2=12.5 \ [J] $

解答

(a)の解答は(4)となります。
(b)の解答は(3)となります。

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