問題

方針
配電線路の機器や方式についての範囲の広い問題です。(平成29年問12と同じ問題ですが、選択肢の順番が違います)
(ア)(イ)の高圧配電方式については「三相3線式」
(ウ)の地絡方向継電器については「地絡方向継電器」
(エ)(オ)の低圧配電線路については「配電柱の構成」「高圧カットアウト」
上記より考えたいと思います。
解法
(ア)(イ)
「三相3線式」
動力用低圧配電線に使用され、電圧線(200Vまたは400V)3本で構成される。
電源側の配線記号として一般的にR、S、Tが使用される。(負荷側はU、V、W)
低圧電路では、中性線または任意の1端子を接地する。
高圧配電系統では、三相3線式Δ結線の中性点非接地方式が採用されている。1線事故時の地絡電流は数~数十アンペア程度なので負荷電流と区別が難しい。配電用変電所の引出口には地絡検出のため、接地形計器用変圧器と地絡方向継電器が設置されている。
上記より(ア)は「小さく」となります。
上記より(イ)は「非接地」となります。
(ウ)
「地絡方向継電器」
零相電圧(ZPD)と零相電流(ZCT)で地絡方向を検出する。地絡事故の判定で使用する。
他の需要家の地絡電流が逆流して零相電流となった場合の、もらい事故の不必要動作(誤動作)を防ぐことができる。
地絡電流の大きさだけでなく、零相電圧と零相電流の位相(方向)を検出して、自構内の事故かどうかを判断して動作する。
自構内の地絡事故の場合、事故電流は電源側→地絡地点への地絡電流(電圧と同位相)+対地静電容量の電流(電圧に対して90°進む)の合成電流となり、零相電圧を基準とすると零相電流の位相は進んだものとなる。
もらい事故の場合、地絡電流は無く、対地静電容量の充電電流が他の需要家の地絡地点へと流れる。(電圧に対して90°遅れる逆位相となる)
従って、事故回線では事故電流が電源側→負荷側に流れ、健全回線では事故電流が負荷側→電源側に流れる。
上記より(ウ)は「逆位相」となります。
(エ)(オ)
「配電柱の構成」
遠心成形により製造された高密度で強度を高めたコンクリート電柱で、柱上変圧器などで高圧線(6600V)の電気を200Vまたは100Vに下げ、低圧線で需要家に配電する。

- 高圧カットアウト:過電圧から柱上変圧器を保護するためのヒューズと開閉器を合わせた装置。(変圧器の1次側)
- ケッチヒューズ:家庭に送るための低圧引込線に異常があった場合、自動的に線路を遮断するための装置。
「高圧カットアウト」
容量が300kVA以下の高圧変圧器、50kVA以下の高圧進相コンデンサなどの一次側の開閉器として過負荷保護用に使用する。
低圧側の短絡事故を、高圧配電系統に波及させない過電流保護のために設置する。
内蔵されるヒューズは、始動電流や雷サージなどの短時間大電流では溶断しないものを使用する。
上記より(エ)は「高圧カットアウト」となります。
上記より(オ)は「一次」となります。
解答
(ア)~(オ)すべてを満たすのは(4)となります。