問題

方針
一相π形回路の計算問題です。(令和1年問16と同じ問題です)
受電端が無負荷なので「送電線のπ型回路の計算問題」より計算したいと思います。
解法
「送電線のπ型回路の計算問題」
下記のような送電線路のπ形回路で、作用インダクタンスと作用静電容量がZL、ZC1、ZC2の各インピーダンスで表される場合。以下の一相回路として考える。

受電端無負荷のとき、C1の回路とLC2直列回路(緑の部分)の並列回路となり、送電端の電流Iは以下の関係となる。
$\displaystyle \dot{I}=\dot{I_1}+\dot{I_2}\ [A] $
送電端相電圧Es、受電端相電圧Erは、LC2直列回路(緑の部分)の分圧の式より以下の関係となる。
$\displaystyle \dot{E_r}=\frac{\dot{Z_{C2}}}{\dot{Z_L}+\dot{Z_{C2}}}\dot{E_s}\ [V] $
(a)
受電端無負荷のとき、送電端側のコンデンサC1の回路と、コイルLと受電端側のコンデンサC2のLC2直列回路の並列回路となり、送電端相電圧Es、受電端相電圧Erは、LC2直列回路の分圧の式より以下の関係となります。
$\displaystyle \dot{E_r}=\frac{\dot{Z_{C2}}}{\dot{Z_L}+\dot{Z_{C2}}}\dot{E_s}\ [V] $
送電端相電圧Esは、線間電圧66.0kVより以下となります。
$\displaystyle |\dot{E_s}|=\frac{66×10^3}{\sqrt{3}} \ [V] $
コイルLのインピーダンスZLは、jX=j200Ωなので以下となります。
$\displaystyle \dot{Z_L}=jX=j200 $
コンデンサのアドミタンス(インピーダンスの逆数)は、送電端側と受電端側の合計でアドミタンスjB=j0.800mSなので、受電端側は半分でj(B/2)=j0.400mSとなります。受電端側のコンデンサC2のインピーダンスZC2は以下となります。
$\displaystyle \dot{Z_{C2}}=\frac{1}{\dot{Y_{C2}}}=\frac{1}{j\displaystyle\frac{B}{2}}=\frac{1}{j0.4×10^{-3}}=\frac{2500}{j}=-j2500 $
分圧の式より、受電端相電圧Erを求めます。
$\displaystyle \dot{E_r}=\frac{\dot{Z_{C2}}}{\dot{Z_L}+\dot{Z_{C2}}}\dot{E_s}=\frac{-j2500}{j200+(-j2500)}×\frac{66×10^3}{\sqrt{3}}≒41.58×10^3 \ [V] $
求めるのは受電端の線間電圧の値なので、受電端相電圧Erを変換します。
$\displaystyle \sqrt{3}|\dot{E_r}|=\sqrt{3}×41.58×10^3=71.93×10^3≒71.7 \ [kV] $
(b)
受電端は無負荷なので、送電端電流Isは、送電端側のコンデンサC1に流れる電流I1と、受電端側のコンデンサC2流れるI2の和となります。
電流I1は、送電端側のコンデンサC1の電圧が送電端相電圧Es、受電端側のコンデンサC1のインピーダンスZC1はZC2と同じとなるので、オームの法則より以下となります。
$\displaystyle \dot{I_1}=\frac{\dot{E_s}}{\dot{Z_{C1}}}=\frac{66×10^3}{\sqrt{3}}×\frac{1}{-j2500}≒j15.26 $
電流I2は、受電端側のコンデンサC2の電圧が受電端相電圧Er、受電端側のコンデンサC2のインピーダンスZC2なので、オームの法則より以下となります。
$\displaystyle \dot{I_2}=\frac{\dot{E_r}}{\dot{Z_{C2}}}=41.58×10^3×\frac{1}{-j2500}≒j16.63 $
送電端電流IsはI1とI2の和となります。
$\displaystyle \dot{I_s}=\dot{I_1}+\dot{I_2}=j15.26+j16.63=j31.89 $
$\displaystyle |\dot{I_s}|≒31.8 \ [A] $
解答
(a)の解答は(2)となります。
(b)の解答は(4)となります。