問題

方針
直流における素子の特性に関する問題です。(平成29年問6と同じ問題です)
定常状態の「コイルの特性(直流)」「コンデンサの特性(直流)」より回路を考えます。
エネルギーは「磁気エネルギー」「静電エネルギー」の式より求めたいと思います。
解法
「コイルの特性(直流)」
最初は電源からの電流を妨げる向きに起電力が生じ、電流は流れない。(回路としては開放状態)
定常状態では、抵抗が無視できる状態になり電流が流れる。(回路としては短絡状態)
放電時は、磁気エネルギーが蓄えられたコイルは電源として機能し、今まで流れていた電流を保とうとする方向に放電され(逆起電力が生じる)、やがて電流は流れなくなる。(回路としては開放状態)
「コンデンサの特性(直流)」
最初は電源からの電流(Q=CV)を蓄えながら、電流は流れる。(回路としては短絡状態)
定常状態では、飽和して流れなくなる。(回路としては開放状態)
放電時は、静電エネルギーが蓄えられたコンデンサは電源として機能し、充電時に電流が入っていた方向が(+)となり、(+)より電流が放電され、やがて電流は流れなくなる。(回路としては開放状態)
上記の通り、定常状態ではコイルは短絡、コンデンサは開放として考えることができます。従って以下のような抵抗の直列回路となります。

電圧E=100V、抵抗R1=20Ω、R2=30Ωより、電流I、電圧V1、V2を求めます。
$\displaystyle I=\frac{E}{R_1+R_2}=\frac{100}{20+30}=2 \ [A] $
$\displaystyle V_1=\frac{R_1}{R_1+R_2}E=\frac{20}{20+30}×100=40 \ [V] $
$\displaystyle V_2=\frac{R_2}{R_1+R_2}E=\frac{30}{20+30}×100=60 \ [V] $
「磁気エネルギー」の式
$\displaystyle W=\frac{1}{2}LI^2 \ [J] $
$W$:磁気エネルギー [$J$]
$L$:インダクタンス [$H$]
$I$:電流 [$A$]
「静電エネルギー」の式
$\displaystyle W=\frac{1}{2}QV=\frac{1}{2}CV^2 \ [J] $
$W$:静電エネルギー [$J$]
$Q$:電荷 [$C$]
$V$:電圧 [$V$]
$C$:静電容量 [$F$]
L1=20mH、L2=40mH、C1=400μF、C2=600μFなので、上記の式より、磁気エネルギーWL1、WL2、静電エネルギーWC1、WC2をそれぞれ求めて合計します。
$\displaystyle W_{L1}=\frac{1}{2}L_1I^2=\frac{1}{2}×20×10^{-3}×2^2=0.04 \ [J] $
$\displaystyle W_{L2}=\frac{1}{2}L_2I^2=\frac{1}{2}×40×10^{-3}×2^2=0.08 \ [J] $
$\displaystyle W_{C1}=\frac{1}{2}C_1{V_1}^2=\frac{1}{2}×400×10^{-6}×40^2=0.32 \ [J] $
$\displaystyle W_{C2}=\frac{1}{2}C_2{V_2}^2=\frac{1}{2}×600×10^{-6}×60^2=1.08 \ [J] $
$\displaystyle W=W_{L1}+W_{L2}+W_{C1}+W_{C2}=0.04+0.08+0.32+1.08=1.52 \ [J] $
解答
解答は(5)となります。