電験三種(令和7年度上期) 機械 問15

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問題

方針

誘導機のトルク」「誘導機の回転速度」に関する問題です。(平成17年問15と同じ問題ですが、選択肢の順番が違います)
(b)では「誘導機の滑り」「誘導機の回転速度」の式を使いたいと思います。

解法

(a)

「誘導機のトルク」の式

$\displaystyle T=\frac{P_m}{ω}=\frac{P_2(1-s)}{ω_s(1-s)}=\frac{P_2}{ω_s} \ [N・m] $

$\displaystyle ω_s=2π\frac{N_s}{60} N_s=\frac{120f}{p} $

$T$:トルク [$N・m$]
$P_m$:機械的出力 [$W$]
$ω$:角速度 [$rad/s$]
$s$:すべり
$P_2$:二次入力[$W$]
$ω_s$:同期角速度 [$rad/s$]
$N_s$:同期速度(回転磁界の速度) [$min^{-1}$]
$p$:磁極数
$f$:周波数 [$Hz$]

「二次側の等価回路」
二次側(回転子)の部分を抜き出した回路は以下となる。

二次入力:$\displaystyle P_2=3V_2I_2=3{I_2}^2\left(r_2+\frac{1-s}{s}r_2\right)=3{I_2}^2\frac{r_2}{s}\left(=3{V_2}^2\frac{s}{r_2}\right)$

誘導機のトルクの式に、二次入力の式を代入して電圧Vと滑りs以外の値でまとめます。

$\displaystyle T=\frac{P_2}{ω_s}=\frac{60}{2πN_s}×3{V_2}^2\frac{s}{r_2}=\frac{60}{2πN_s}×3\frac{1}{r_2}{V_2}^2s=\textcolor{red}{kV^2s} \left(k=\frac{60}{2πN_s}×\frac{3}{r_2}\right) $

トルクTは、電圧Vの2乗と滑りsに比例します。

(b)

「誘導機の滑り」の式

$\displaystyle s=\frac{N_s-N}{N_s} $

$s$:滑り(0<s<1)
$N_s$:同期速度(一次側回転磁界の速度) [$min^{-1}$]
$N$:回転速度(回転子の速度) [$min^{-1}$]
$N_s-N$:二次側回転磁界の速度 [$min^{-1}$]

問題文より、同期速度Ns=1200min-1、回転速度N=1140min-1での滑りsを求めます。

$\displaystyle s=\frac{N_s-N}{N_s}=\frac{1200-1140}{1200}=0.05 $

(a)のトルクと電圧・滑りの関係式より、同期速度時(電圧220V)のトルクTと、電源電圧を200Vに下げた時のトルクT’の式は以下となります。

$\displaystyle T=kV^2s=k×220^2×0.05 $

$\displaystyle T’=kV^2s=k×200^2×s’ $

問題文より、一定のトルクなので電圧200V時の滑りs’を求めます。

$\displaystyle T=T’ $

$\displaystyle k×220^2×0.05=k×200^2×s’ $

$\displaystyle s’=0.0605 $

「誘導機の回転速度」の式

$\displaystyle N=\frac{120f}{p}(1-s)=N_s(1-s) \ [min^{-1}] $

$N$:回転速度 [$min^{-1}$]
$f$:周波数 [$Hz$]
$p$:磁極数
$s$:滑り(0<s<1)
$N_s$:同期速度(回転磁界の速度) [$min^{-1}$]

トルクs’=0.0605なので、回転速度N’は以下となります。

$\displaystyle N’=N_s(1-s)=1200(1-0.0605)≒1127 \ [min^{-1}] $

解答

(a)の解答は(4)となります。
(b)の解答は(2)となります。

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