問題

方針
「エミッタ接地増幅回路」に関する問題です。(平成9年問13と同じ問題です)
電流増幅率、出力インピーダンスは、問題文の「ICーVCE静特図」より必要な値を求めて計算したいと思います。
解法
「エミッタ接地増幅回路」
入力と出力の共通端子がエミッタで、ベースに入力電圧を印加することで、コレクタから出力電圧を取り出す回路。
電圧と電流の両方を増幅可能で電力利得が大きいため、最も主要な回路である。
- 入力側:ベース-エミッタ間
- 出力側:コレクタ-エミッタ間(ベースの入力信号を増幅してコレクタに出力する)
- 電圧増幅率:ΔVC/ΔVB (大きい、数10~数100)
- 電流増幅率:β(hfe)=ΔIC/ΔIB(大きい、数10~数100)
- 出力インピーダンス:r0=ΔVCE/ΔIC
- 入出力位相差:逆位相(位相差180度)
- 周波数特性:悪い(ミラー効果により高周波で増幅率が低下する)
- 用途:低周波の増幅

電流増幅率hfeは、入力のベース電流IBに対する出力のコレクタ電流ICの変化分の比となります。
問題の静特図より、VCE=6Vの時のIB=40μAとIB=60μAのICをそれぞれ読み取り、電流増幅率hfeを求めます。
VCE=6VでIB=40μAの交点は、IC=4mAとなります。
VCE=6VでIB=60μAの交点は、IC=6mAとなります。
電流増幅率hfeは以下となります。
$\displaystyle h_{fe}=\frac{ΔI_C}{ΔI_B}=\frac{(6-4)×10^{-3}}{(60-40)×10^{-6}}=100 $
出力インピーダンスr0は、出力のコレクタ電流ICに対する出力のコレクタ・エミッタ間電圧VCEの変化分の比となります。
問題の静特図より、IB=40μAの時のVCE=6VとVCE=4VのICをそれぞれ読み取り、出力インピーダンスr0を求めます。
IB=40μAでVCE=6Vの交点は、IC=4mAとなります。
IB=40μAでVCE=4Vの交点は、IC=3.8mAとなります。
出力インピーダンスr0は以下となります。
$\displaystyle r_0=\frac{ΔV_{CE}}{ΔI_C}=\frac{(6-4)}{(4-3.8)×10^{-3}}=10000 $
解答
解答は(2)となります。

