電験三種(令和7年度下期) 機械 問3

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問題

方針

誘導電動機の始動方法に関する問題です。(平成23年問2と同じ問題ですが、選択肢の順番が違います)
(a)については「巻線形誘導電動機の構造」「巻線形誘導電動機の始動方法」「比例推移
(b)については「かご形誘導電動機の始動方法」「コンドルファ始動」「インバータ始動
(c)については「単相誘導電動機」「くま取りコイル形モータ
上記より考えたいと思います。

解法

(a)

「巻線形誘導電動機の構造」
回転子の構造が鉄心にコイルを巻きつけた形式になっている。
三相分の回転子巻線はスリップリングとブラシを介して外部(二次回路)の可変抵抗に接続されている
二次回路の可変抵抗により、始動電流を小さくして始動トルクを大きくする。(比例推移)
二次回路の抵抗を変化させることにより、速度制御(二次抵抗制御)を行え、定格運転時の銅損を減らすことで効率的な運転が可能である。

「巻線形誘導電動機の始動方法」
二次回路に始動抵抗器を接続し、始動時は定格運転時の抵抗よりも大きくするトルクの比例推移を利用することで、始動電流を小さく、始動トルクを大きくして始動する
回転子の二次回路の抵抗値が大きいほど始動トルクは大きくなる。しかし、抵抗が大きいと損失も大きくなる。

「比例推移」
誘導電動機のトルクを一定とした場合、滑りが二次抵抗に比例する性質を比例推移という。
トルク-回転速度曲線は、電源電圧及び電源周波数が一定の時、発生するトルクと回転速度(滑り)の関係を表す。
横軸は、回転速度0~同期速度Ns(滑り1~0)を表す。
ある滑りの値で、トルクが最大となる。このトルクを停動トルクといい、これを超えるトルクの負荷がかかると電動機は停止する。
トルク-回転速度曲線は、二次回路の抵抗がm倍になると、最大トルクを発生する滑りがm倍のところ(左側に)に移動する。
巻線形誘導電動機の場合、この現象を利用して二次回路に外部抵抗Rを追加し、二次回路の抵抗を変更して曲線を左へ移動させ、始動トルクを大きくしている。
最大トルクの値は、二次回路の抵抗には無関係である。(位置が変わるだけである)
トルクを一定に保ち、回転速度(滑り)を変えるには以下の式から外部抵抗Rを決定する。
始動時に最大にするにはms=1(滑り1)とする

$\displaystyle \frac{r_2}{s}=\frac{r_2+R}{ms}=一定 $

$r_2$:二次回路の抵抗 [$Ω$]
$R$:外部抵抗 [$Ω$]
$s$:変化前の滑り
$ms$:変化後の滑り

巻線形誘導電動機は、「スリップリング」を介して接続された二次抵抗の値を変えて制御します。
これは、二次抵抗がm倍になると、最大トルクを発生する滑りがm倍のところに移動する性質(比例推移)を利用したもので、始動時は最大トルクが滑り「1」の位置になるように二次抵抗の値を調整します。
(ア)は「1」、(イ)は「スリップリング」となります。

(b)

「かご形誘導電動機の始動方法」
始動電流が大きいので、始動方法は容量によって異なる。
一次回路を調整して、始動電流を抑制する。

「スターデルタ始動」
始動時は結線をY結線にして低電圧にし、始動後にΔ結線にする方法。
「コンドルファ始動」
始動時は始動補償器という単巻変圧器を介して低電圧にし、始動後に直接電源に接続する方法。
「インバータ始動」
インバータ始動(周波数始動)は、インバータを用いて数Hzの低周波数から始動し、設定された加速時間で徐々に周波数を上げていく手法で、インバータを用いて周波数及び電圧を制御して始動し、定格速度まで連続的に加速する。

がご形誘導電動機の始動方法にはいくつかありますが、「始動補償器」とよばれる単巻変圧器を使用する方法をコンドルファ始動といいます。また、電圧と周波数を調整する「インバータ」を使用した方法をインバータ始動といいます。
(ウ)は「始動補償器」、(エ)は「インバータ」となります。

(c)

「単相誘導電動機」
単相誘導電動機は、単相での交番磁界なので三相のように回転磁界が作れない。始動トルクがなく自力で回転できないため、始動時に回転磁界を作る始動装置を用いて始動させる。
回転後は、固定子による主磁界と回転子による磁界が電気的に90°の位相差となるため、二相交流による回転磁界と同じ状態になり回転を続けることができる。

「くま取りコイル形モータ」
固定子の磁極に溝を作り、端絡環のくま取りコイルを配置したもの。
磁極の磁束が、通常の部分とくま取りコイルで短絡電流が流れる部分で位相差が発生して回転磁界を作る。
「分相始動形モータ」
主巻線と補助巻線で構成され、始動時に補助巻線回路で回転磁界を作り、同期速度80%程度で遠心力スイッチが切れて、補助巻線の回路が切り離される。

単相誘導電動機は、始動時に回転磁界を作るため、くま取りコイルや補助巻線を使用して主コイルと「位相」の異なる磁界を作っています。
(オ)は「位相」となります。

解答

(ア)~(オ)すべてを満たすのは(4)となります。

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