不活性ガス消火設備

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不活性ガス消火設備とは

区画を密閉空間にして、ガスを放出し、酸素濃度を減らす希釈作用を主とした消火方法である。
消火後の水害が無く、電気絶縁も優れるため、電気室通信機械室コンピュータールームなどで使用する。

不活性ガス消火剤の種類

  • 二酸化炭素:酸素濃度を減らすことで消火する。冷却効果も期待できる。
  • 窒素:酸素濃度を減らすことで消火する。環境にやさしい。
  • ハロゲン化物:酸素濃度を減らすことに加えて、燃焼の連鎖反応を抑制して消火する。(負触媒作用)

ハロン1301や二酸化炭素は空気より重い。
オゾン層破壊のためハロゲン化物の生産は全廃され、オゾン層を破壊しない2種類の消火剤、トリフルオロメタン(HFC-23)・ヘプタフルオロプロパン(HFC-227ea)が追加された。

不活性ガス消火設備の構成

<画像出典:コーアツ>

消火剤貯蔵容器

消火ガスを貯蔵する。

安全装置(安全弁など)

貯蔵容器からのガス漏洩に伴う圧力上昇による配管破裂を防止するため、貯蔵容器から選択弁までの間に設けられているもの。

選択弁

防護区画が2つ以上ある場合、貯蔵容器を共用するときに防護区画ごとに設けられる。
電気式、ガス圧式等の開放装置により開放できる。

起動用ガス容器

選択弁をガス圧で起動する場合、選択弁ごとに設置する。

容器弁

制御伝号によつて動作する電磁弁。
容器の出口圧力を減圧するとともに、容器内圧力異常に伴う容器の破裂を防止するための安全装置が設けられている。

容器弁ソレノイド

制御信号により起動し、起動用ガス容器の容器弁を開放させる電気式開放装置。

噴射ヘッド

部屋の天井付近に設置し、消火ガスを噴射するためのもの。
本体、ノズル、ホーン、デフレクター等により構成されている。

音響警報装置

防護区画又は防火対象物内にある者に対し、消火剤が放射される旨を音声又は音響により知らせる装置。

放出表示灯

制御盤からの信号を受信し、防護区画に消火剤が放出された旨を表示する灯火。

手動起動装置

音響警報装置の起動、貯蔵容器の容器弁、放出弁の開放のための操作部を収納するもの。

復旧弁箱

消火剤放出時にピストンレリーザによって閉じられたダンパーを元に戻すもの。

避圧口

消火剤が放出された際に、防護区画の圧力上昇を防止するために設ける開口部。

ピストンレリーザ

消火剤が通る噴射ヘッドの配管を接続し、消火剤の圧力により開口部のダンパーを閉鎖するための装置。
ガス圧が無くなれば復帰するが、手動でガスを排出する方法と、復旧弁箱を使用して遠隔で復帰する方法がある。

不活性ガス消火設備の操作

手動式・自動式があり、自動式は感知器2台の両方の火災感知で起動する。

  1. 手動起動装置の操作箱の扉を開くと、室内から退避するよう音響警報装置が鳴動する。
  2. 区画内に人がいないことを確認後、操作箱の放出押釦スイッチ押す
  3. 連動する換気・空調装置が停止し、遅延装置が作動する。(20秒)
    ※遅延時間(20秒)以内に操作箱の停止押釦スイッチを押すと、消火設備の起動は止まる。
  4. 遅延時間(20秒)経過後、容器弁ソレノイドが作動、選択弁・容器弁開放、圧力スイッチが作動して放出表示灯を点灯する。
  5. 消火剤放出。ピストンレリーザによりダンパーが閉止する。
  6. 消火。(放出時間約30秒)
  7. 鎮火の確認。
  8. 復旧弁箱の自動閉鎖装置復旧弁を開いて、タンパーを開放する。
  9. 排ガスダンパー(SEFD)を手動開放する。(消火剤排出用ダクトがある場合)
  10. 排煙機を起動して、消火剤を排出する。(約1時間)


Ver.1.2.1

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