排煙設備とは
防煙・排煙設備は、火災時に避難経路や安全区画などに煙が侵入することを防ぎ、安全な避難経路や消防活動拠点を確保する設備である。
火災時の排煙
火災の煙を外に出すことが目的である。
煙は水平方向に0.5~1.0m/s、垂直方向に3~5m/sの速さで広がる。
避難する方向と煙の流れる方向は反対にすることが重要である。
排煙設備は、学校やスポーツ施設では設けなくてもよい。
煙の濃度は減光係数Cs(1/m)で表すことができ、値が大きいほど濃度が高く、Cs=1のときほとんど前方は見えない。
排煙区画
建物全体に煙が広がることを防ぐ為、防煙壁などで防煙区画を設定する。
面積で区画する面積区画、階段やエレベータの空間である竪穴区画がある。
排煙方式
自然排煙方式
火災時に窓や排煙口を開放させ、煙を排出する。
当該室の下部に給気経路を確保することが望ましい。
設置位置の基準は法律で定められている。
- 防煙区画:最大床面積500m2以下。
- 排煙口取付位置:水平距離30m以下。天井から80cm以内(天井3m未満)、床から2.1m以上かつ天井高さ1/2以上(天井3m以上)
- 手動開放装置の設置:床から80cm以上1.5m以下
機械排煙方式
天井面に設置した排煙口と、建築物を貫通する排煙ダクトの最上部に排煙機を設置し、機械の動力で強制的に排煙する。
排煙ダクトは他の区画への流入を防ぐ為、防火ダンパを有し、火災時はダンパを閉める。
火災室が負圧になり、避難扉の開閉障害が生じるおそれがある。
その他の排煙方式
押出し排煙方式
給気ファンで外気を送り込んで排気口から煙を排気する方法。
火災の勢いを強めない制御が必要となる。
加圧防煙方式
避難や消火活動に必要な廊下、階段に給気することで、圧力差を作り煙の侵入を防ぐ。
長時間安全性を確保する必要のある場所に適している。
蓄煙方式
室上部の空間を蓄煙スペースとして利用して、煙降下の時間を遅らせる方式。
天井の高い大空間の競技場やアトリウムで採用される。
排煙設備の構成
排煙口


起動方法
- 操作スイッチを押す。
- 排煙ロが開く。(赤ランプ点灯)
- 受信機からの連動で排煙機が起動する。
復旧方法
- 排煙機を停止する。(排煙口を閉めた後に停止すると、排煙機の圧力で排煙口付近の天井が壊れる恐れがある)
- 操作スイッチを手前に引き、排煙口を閉める。(赤ランプ滅灯)
- 操作スイッチを中間地点まで戻す。
排煙風道
排煙ダクト(風道)
火災が起きた時に生じる煙を排煙口から排出するダクト。
排煙機
火災が発生した時に、排煙ダクトから建物外に煙を排出する送風機。
効率的に排煙でき、火災の被害を受けるおそれの少ない屋上等に設置される。
30分以上作動できる非常用電源を用意する。

給気機
押出し排煙方式や加圧防煙方式で、建物内に給気をする送風機。
給気口は、新鮮空気を給気できるよう、煙を吸い込まない位置に設置される。
排煙窓
火災の際に生じる煙を外へ排出するための窓。
排煙オペレーターのボタンを押すことで窓が開き、収容されているハンドルを回すと閉まる。

防火・防煙ダンパー
「ダンパの種類」「防火用ダンパ」を参照。
防煙垂れ壁
天井に立ち上る煙を拡散しないようにする壁。
感知器と連動して作動するものもある。
高さは50cm以上。

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