危険物の規定

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危険物の分類

危険物の法令は、消防法、政令、規則がある。

危険物の分類

消防法の危険物とは、消防法別表に掲げる第1類~第6類の物品である。

  • 第1類危険物:酸化性固体。
  • 第2類危険物:可燃性固体。
  • 第3類危険物:自然発火性・禁水性物質。
  • 第4類危険物:引火性液体。
  • 第5類危険物:自己反応性物質。
  • 第6類危険物:酸化性液体。
  • 指定可燃物:別表4の品名で、表の数量以上のもの。

危険等級

危険性の度合により危険等級がⅠ、Ⅱ、Ⅲに区分されている。
危険等級に応じた運搬容器を使用しなくてはならない。

  • 危険等級Ⅰ:特殊引火物。
  • 危険等級Ⅱ:第1石油類とアルコール類。
  • 危険等級Ⅲ:それ以外。

危険物の指定数量

危険の程度より決定される基準の数量を指定数量という。
指定数量以上は、政令による規定で、未満は市町村条例が規定となる。
指定数量以上の危険物は、製造所等以外では取り扱ってはならないが、所轄消防長または消防署長の承認を受ければ、10日以内の仮貯蔵は許される。
第4類危険物の主な指定数量(非水溶性液体、水溶性液体)は以下の通り。

  • 特殊引火物:50L
  • 第1石油類:200L(非水溶性液体)、400L(水溶性液体)
  • アルコール類:400L
  • 第2石油類:1000L(非水溶性液体)、2000L(水溶性液体)
  • 第3石油類:2000L(非水溶性液体)、4000L(水溶性液体)
  • 第4石油類:6000L
  • 動植物油類:10000L

指定数量の倍数

指定数量の倍数は、貯蔵量が指定数量の何倍に相当するかを表す。
指定数量の倍数で、危険物の規制が行われる。
貯蔵量/指定数量の倍数で表され、複数の危険物を貯蔵する場合は、それぞれで倍数を求めて加算した値で判断する。

危険物施設の申請

危険物施設の届出

設置手続き

製造所等の設置は、市町村長等(消防署がある地域は市町村長、ない地域は都道府県知事)の許可が必要である。
製造所等が、2つ以上の市町村にまたが場合は都道府県知事、2つ以上の都道府県にまたがる場合は総務大臣となる。
製造所等の設置手続きは、以下の順となる。
設置許可申請→許可→着工→完成検査前検査(液体タンクがある場合、完成後では検査できないタンクの内部など)→完成→完成検査→完成検査証交付→使用開始。

他の届出

  • 設備の変更:市町村長等の変更許可を取得後に変更工事に着手する。
  • 危険物の品名、数量の変更:変更しようとする10日前までに市町村長等に届出が必要である。
  • 仮使用(変更工事に係る部分以外を使用すること):市町村長等の承認が必要である。
  • 譲渡・用途廃止:市町村長等に届出が必要である。

危険物施設の予防規定

危険物施設の火災を予防するため、事業所自らが作成し、遵守しなければならない自主保安基準。
製造所等の一部では、所有者等は火災を予防するための予防規定を定め、市町村長等の認可を受けなければならない。
規定を変更する場合も認可を受ける。
予防規定には、許可申請の手順や災害後の損害判定の規定は無い。
自衛消防組織があっても必要である。

危険物施設の使用停止等の命令

市町村長等が修理・改造・移転を命じるのは、位置・構造・設備が技術上の基準に適合していないときである。

基準遵守・維持命令

  • 貯蔵、取扱基準を守らない場合。
  • 位置・構造・設備が技術上の基準に適合していない場合。

許可の取消し・使用停止

  • 基準遵守・維持命令を実行しない場合。
  • 許可を受けずに位置・構造・設備を変更した場合。
  • 完成検査証の交付前に使用した場合。
  • 仮使用の承認を受けずに使用した場合。
  • 保安検査を受けていない場合。
  • 定期点検を実施せず、記録を保存していない場合。
  • 必要な事業所で危険物保安統治管理者を定めていない、また管理していない場合。
  • 必要な事業所で危険物保安監督者を定めていない、また監督していない場合。
  • 市町村長等の危険物保安統括管理者または危険物保安監督者の解任命令に従わなかった場合。
  • 公共の安全の維持、災害発生防止のため緊急の必要がある場合。

危険物施設の定期点検

定期点検は、製造所等の位置・構造・設備が技術上の基準に適合しているかを点検する。
所有者等が、1年に1回以上実施し、記録は3年間保存しなければならない。
所有者等が自主的に行うもので報告義務はない。
タンクの漏れの点検は5年に1回以上行う。
定期点検の記録に必要な事項は、製造所等の名称、検査結果、日付、点検した人の氏名である。
定期点検を行う者は、危険物取扱者(甲・乙・丙)、危険物施設保安員、危険物取扱者の立会いを受ける無資格者である。
一定規模以上の屋外タンク貯蔵所と移送取扱所は、定期点検のほかに、市町村長等が行う保安検査を受けなければならない。

定期点検が必要な施設

  • 移動タンク、地下タンクのある施設全てと、移送取扱所。
  • 製造所、一般取扱所:指定数量の10倍以上。
  • 屋内貯蔵所:指定数量の150倍以上。
  • 屋外貯蔵所:指定数量の100倍以上。
  • 屋外タンク貯蔵所:指定数量の200倍以上。

但し、屋内タンク、簡易タンク、販売取扱所を除く。

危険物に関する資格者

危険物取扱者

消防法に基づく危険物を取り扱ったり、無資格者に対する立会いに必要となる資格。
無資格者は、危険物取扱者(甲・乙)の立会いが無ければ、いかなる危険物も扱うことはできない。

甲種

すべての危険物を扱うことができる。

乙種

第1類〜第6類のうち免状を交付されている類の危険物を扱うことができる。

丙種

第4類で、ガソリン・灯油・軽油・第3石油類(重油、潤滑油、引火点130度以上のもの)・第4石油類・動植物油類。
特殊引火物とアルコール類は扱うことはできない。
無資格者に対する立会い権限は無い。

免状

免状は、試験合格者に都道府県知事が交付する。
危険物の取扱いに従事している危険物取扱者は、従事してから1年以内、以降は3年以内ごとに保安講習を受けなければならない。(免許取得からは3年以内)
保安講習は、受講するのはどこの都道府県でもよい。受講しない場合、免状の返納命令の対象となる。保安講習は違反の講習ではない。
免状の書換えは、写真が10年を経過した時、本籍地・氏名は変わった時に行う。申請は、交付または居住地・勤務地の都道府県知事におこなう。
免状の再交付は、紛失、破損した時に行う。申請は、交付または書換えの都道府県知事におこなう。破損等の場合は、免状を添えて提出する。
紛失した免状を発見した場合は、10日以内に再交付した知事宛てに返却する。
免状の不交付は、返納が命じられた場合は1年、刑に処せられた場合は2年間である。

危険物施設保安員

危険物施設保安員とは、構造・設備を保安する人である。
必要な施設は、指定数量が100以上の製造所・一般取扱所と、移送取扱所である。
危険物取扱者の免状は必要ない。
危険物取扱者への指示権限は無い。
届出は必要ない。

危険物保安監督者

危険物保安監督者とは、作業者や危険物施設保安員に指示をする人である。(設置許可等の申請を行うのは所有者等である)
必要な施設は、製造所、屋外タンク貯蔵所、一般取扱所、移送取扱所である。移動タンク貯蔵所には必要ない。
条件付で不要な条件とは、引火点40℃以上第4類危険物(灯油、軽油など)で、指定数量30倍未満の施設である。
甲種または乙種の危険物取扱者で、6か月以上の実務経験が必要である。
所有者等が選任・解任し、市町村長等に届出が必要である。

危険物保安統治管理者

危険物保安統治管理者とは、保安業務を管理する人である。
必要な施設は、製造所、一般取扱所、移送取扱所である。
危険物取扱者の免状は必要ない。
所有者等が選任・解任し、市町村長等に届出が必要である。


Ver.1.1.0

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