危険物の分類と性質
危険物の形状は、常温で固体と液体であり、気体はない。
同一の物質でも形状や粒度によって危険物になる物とならない物がある。
第1類危険物
- 形状:固体。
- 燃性:不燃性。
- 消火方法:冷却効果。
- 化学的性質:酸化性(自身は燃焼しないが、自身は還元され酸素を放出し、他の物質を酸化させて燃焼を起こさせる)の性質を持つ。
第2類危険物
- 形状:固体。
- 燃性:可燃性。
- 消火方法:冷却効果。
- 化学的性質:還元性(自体が酸化して燃えやすく、他の物質を還元させる)の性質を持つ。低温で引火しやすく、燃焼速度が速く、有毒ガスを発生する。
第3類危険物
- 形状:液体・固体。
- 燃性:可燃性。
- 消火方法:窒息効果。
- 化学的性質:自然発火や水と接触すると水素ガスを発生するため、禁水性の性質を持つ。
第4類危険物
- 形状:液体。
- 燃性:可燃性。
- 消火方法:窒息効果。
- 化学的性質:引火しやすい性質を持つ。
第4類危険物は、特殊引火物、第1~第4石油類、アルコール類、動植物油類に分類される。
第5類危険物
- 形状:液体・固体。
- 燃性:可燃性。
- 消火方法:冷却効果。(分子内に酸素があるため窒息効果は使えない。また化学反応するため粉末消化剤も使用できない。)
- 化学的性質:分子内に酸素を持っているため自己反応燃焼の性質を持つ。
第6類危険物
- 形状:液体。
- 燃性:不燃性。
- 消火方法:種類によって異なる。
- 化学的性質:酸化性(自身は燃焼しないが、自身は還元され酸素を放出し、他の物質を酸化させて燃焼を起こさせる)の性質を持つ。
第4類危険物の特徴
引火点、発火点、沸点が低いものが多く、引火しやすい。
蒸気比重は1より大きく、空気より重いものが多い。
水に溶けないものが多い。水より軽く、流動性が大きい。(水溶性:アセトアルデヒド、酸化プロピレン、アセトン、氷酢酸、アルコール類)
燃焼範囲の下限値が低いので、蒸気は空気とわずかに混合しても燃焼する。
特殊引火物の燃焼範囲は広い。
電気を通さない(不良導体)ので静電気がおきやすい。(水溶性の液体は静電気が発生しにくい)
常温(20℃)で引火の危険があるのは、特殊引火物、第1石油類、アルコール類である。
引火点が0℃より低いのは、特殊引火物、第1石油類のベンゼンまでである。
ガソリン、灯油、軽油、重油などの石油類は、よく混じる。
第4類危険物の品名
特殊引火物
引火点が-20℃以下で沸点が40℃以下のもの、または発火点が100℃以下のもの。
危険等級Ⅰ、指定数量50L。
特殊引火物の運搬時は、遮光性のもので包む。
二硫化炭素
- 水溶性:水に溶けない。
- 比重:水より重い、空気より重い。
- 形状:色は無色、臭いは有臭。
- 毒性:毒性は有り。(蒸気に二酸化硫黄)
- 温度:引火点は-30℃以下、発火点は90℃(最も低い)。
- 揮発性:揮発性は大きい。
水より重いので水中貯蔵で蒸気の発生を防ぐ。
完全燃焼すると二酸化炭素と二酸化硫黄になる。
ジエチルエーテル
- 水溶性:水に溶けない。
- 比重:水より軽い、空気より重い。
- 形状:色は無色、臭いは有臭。
- 毒性:毒性は有り。(蒸気に麻酔性)
- 温度:引火点は-45℃(最も低い)、発火点は160℃。
- 揮発性:揮発性は大きい。
日光や空気で爆発性の過酸化物を生成し爆発しやすい。
アセトアルデヒド
- 水溶性:水に溶ける。
- 比重:水より軽い、空気より重い。
- 形状:色は無色、臭いは刺激臭。
- 毒性:毒性は有り。(蒸気)
- 温度:引火点は-39℃、発火点は175℃。
- 揮発性:揮発性は大きい。
酸化すると酢酸になる。
酸化プロピレン
- 水溶性:水に溶ける。
- 比重:水より軽い、空気より重い。
- 形状:色は無色、エーテル臭。
- 毒性:毒性は有り。(蒸気)
- 温度:引火点は-37℃、発火点は449℃。
- 揮発性:揮発性は大きい。
第1石油類
引火点が21℃未満のもの。
危険等級Ⅰ、指定数量200L(非水溶性)、400L(水溶性)。
アセトン
- 水溶性:水・アルコールに溶ける。
- 比重:水より軽い、空気より重い。
- 形状:色は無色、臭いは有臭。
- 毒性:毒性は有り。(蒸気)
- 温度:引火点は-20℃、発火点は465℃。
- 揮発性:揮発性は大きい。
ガソリン
- 水溶性:水に溶けない。
- 比重:水より軽い、空気より重い。(3~4倍)
- 形状:色は無色で自動車用はオレンジ色で着色されている、臭いは有臭。
- 毒性:毒性は有り。(蒸気)
- 温度:引火点は-40℃、発火点は300℃。
- 揮発性:揮発性は大きい
第1類危険物と接触すると発火することがある。燃焼範囲は1.4%~7.6%で下限値が低い。
ベンゼン
- 水溶性:水に溶けない。
- 比重:水より軽い、空気より重い。
- 形状:色は無色、臭いは芳香臭。
- 毒性:毒性は有り。(蒸気、強い)
- 温度:引火点は-10℃、発火点は498℃。
- 揮発性:揮発性は大きい。
トルエン
- 水溶性:水に溶けない。
- 比重:水より軽い、空気より重い。
- 形状:色は無色、臭いは芳香臭。
- 毒性:毒性は有り。(蒸気)
- 温度:引火点は5℃、発火点は480℃。
- 揮発性:揮発性は大きい。
その他に、ピリジン、メチルエチルケトン、酢酸エチルなどがある。
第2石油類
引火点が21℃以上~70℃未満のもの。
危険等級Ⅲ、指定数量1000L(非水溶性)、2000L(水溶性)。
灯油
- 水溶性:水に溶けない。
- 比重:水より軽い、空気より重い。
- 形状:色は無色か淡黄色、臭いは有臭。
- 毒性:毒性は無し。
- 温度:引火点は40℃、発火点は220℃。
- 揮発性:揮発性は水やガソリンより低い。
軽油
- 水溶性:水に溶けない。
- 比重:水より軽い、空気より重い。
- 形状:色は淡黄色、臭いは有臭。
- 毒性:毒性は無し。
- 温度:引火点は45℃以上、発火点は220℃。
- 揮発性:揮発性は水より低い。
氷酢酸
- 水溶性:水に溶ける。(有機溶媒にも溶ける)
- 比重:水より重い、空気より重い。
- 形状:色は無色、臭いは有臭(酢)。
- 毒性:毒性は無し。
- 温度:引火点は41℃、発火点は463℃。
- 揮発性:揮発性は大きい。
酸性を示す。
キシレン
- 水溶性:水に溶けない。
- 比重:水より軽い、空気より重い。
- 形状:色は無色、臭いは芳香臭。
- 毒性:毒性は有り。(蒸気)
- 温度:引火点は30℃、発火点は500℃。
- 揮発性:揮発性は大きい。
3つの異性体がある。
その他に、N-ブチルアルコール、クロロベンゼンなどがある。
第3石油類
引火点が70℃以上~200℃未満のもの。
危険等級Ⅲ、指定数量2000L(非水溶性)、4000L(水溶性)。
重油以外のものは、水より重いものが多い。
重油
- 水溶性:水に溶けない。
- 比重:水より軽い、空気より重い。
- 形状:色は褐色、臭いは有臭。
- 毒性:毒性は有り。(蒸気)
- 温度:引火点は70~150℃、発火点は250~380℃。
- 揮発性:揮発性は低い。
性質によって分かれており、品質の高い順にA重油>B重油>C重油となる。
中小のボイラー燃料ではA重油、大型のボイラーや工場などではB、C重油を使用している。
その他に、クレオソート油、グリセリンなどがある。
第4石油類
引火点が200℃以上~250℃未満のもの。
危険等級Ⅲ、指定数量6000L。
引火点が高いので、加熱しない限り引火しないが、燃え出すと液温が高いため、注水の水が沸騰して可燃物が飛び散るため、消火しにくい。
潤滑油・可塑剤(かそざい)
- 水溶性:水に溶けない。
- 比重:水より重いものもある。
- 形状:色、臭いはは成分により様々である。
- 毒性:毒性は無し。
- 温度:引火点は200~250℃で高く、発火点は250~350℃。
- 揮発性:揮発性がほとんど無く蒸発しない。
その他に、ギヤー油、シリンダー油などがある。
アルコール類
炭素数が1~3のもので、含有量が60%以上のもの。
危険等級Ⅱ、指定数量400L。
- 水溶性:水に溶ける。
- 比重:水より軽い、空気より重い。
- 形状:色は無色、臭いは芳香臭。
- 毒性:毒性はエタノールは無いが、メタノールは有る。
- 温度:引火点はエタノール13℃、メタノール11℃で常温より低い、発火点は370℃。
- 揮発性:揮発性は大きい
炎の色が淡いので見えずらい。水より沸点が低い。
無水クロム酸と激しく反応して発火する。
エタノール(エチルアルコール)、メタノール(メチルアルコール)などがある。
動植物油類
動植物が原料で、引火点が250℃未満のもの。
危険等級Ⅲ、指定数量10000L。
動植物油類が燃焼中に注水すると、沸騰している油が飛散する。
- 水溶性:水に溶けない。
- 比重:水より軽い、空気より重い。
- 形状:色は無色、臭いは成分による。
- 毒性:毒性は無い。
- 温度:引火点は222℃未満、発火点は343℃。(あまに油)
- 揮発性:揮発性はほとんど無い
乾性油(あまに油)はヨウ素価が大きいので、ぼろ布などにしみこませておくと酸化熱で自然発火することがある。
やし油、あまに油などがある。
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