危険物の貯蔵

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危険物の貯蔵

危険物の貯蔵場所

基本事項

許可、届出の品名や数量を守ること。
類の異なる危険物を同一の貯蔵所に貯蔵できない。ただし、運搬に関しては条件付で混載が可能である。
係員以外を立ち入らせない。

火気等の注意

火気、火花、高温体との接近、過熱を避ける。
みだりに蒸気を発生させない。
静電気を発生させないようにする。(高圧で流速を速めた処理はしない)
モータ・スイッチなどは防爆構造にする。

保管上の注意

タンクの元弁、底弁、注油口、軽量口、防油堤の水抜口は、必要時以外は閉じておく。
低所に溜まる蒸気を高所に排出するため、通風・換気を行う。通気管は常に開けておく。
容器は密閉し、危険物の保護液から露出させないこと。
体膨張で容器が壊れないように、空間容量を取る。
直射日光を避けて、冷所に貯蔵する。
空き箱や不必要な物品を置かない。

危険物の運用の注意

くずやかすは1日1回以上、廃棄や焼却をおこなう。焼却は、安全な場所で安全な方法で行い、見張人をつけること。下水、海中などに廃棄しないこと。
危険物の変質、異物の混入で、危険度が増さないように必要な処置は速やかに行う。(定期的ではない)
容器の修理は、空の状態でおこなうこと。
危険物を加熱・乾燥させる場合は、直火を使用しないこと。

危険物の事故時の対応

危険物の流出・拡散の防止。
危険物の除去。
災害発生防止のための応急措置。(消火活動の準備など)
現場の部外者ではなく担当者が消防作業に従事する。
第4類危険物の火災は、水に溶けないものが多く、水より軽く流動性が大きいので、棒状の水系消火器や強化液消火器は適当ではない。

危険物施設の設置規則

危険物施設は、製造所・貯蔵所・取扱所に分けられ、これらをまとめて「製造所等」とよんでいる。
製造所とは、危険物を製造する目的で建設された施設である。
貯蔵所には、屋内貯蔵所、屋外貯蔵所、屋内タンク貯蔵所、屋外タンク貯蔵所、簡易タンク貯蔵所、地下タンク貯蔵所、移動タンク貯蔵所の7種類がある。
取扱所には、販売取扱所、給油取扱所、移送取扱所、一般取扱所の4種類がある。

危険物貯蔵の制限

貯蔵量に制限が無いのは、屋内貯蔵所、屋外貯蔵所、屋外タンク貯蔵所、地下タンク貯蔵所および、給油取扱所、移送取扱所、一般取扱所である。
貯蔵量に制限があるのは、屋内タンク貯蔵所、簡易タンク貯蔵所、移動タンク貯蔵所、販売取扱所である。
貯蔵できる危険物の種類に制限があるのは、屋外貯蔵所である。

危険物施設の保安距離・保安空地

保安距離とは、火災や爆発が起こった時に、付近の建物に影響を及ぼさないようにするために確保する距離のことである。
保安空地とは、敷地内での延焼防止・消火活動等のために、施設の周囲確保する空地のことである。
保安距離・保有空地が必要な施設は、製造所、屋内貯蔵所、屋外貯蔵所、屋外タンク貯蔵所、一般取扱所である。
保有空地のみ必要なのは、簡易タンク貯蔵所、移送取扱所である。
保安距離・保安空地の距離は、危険物を貯蔵している工作物の壁からの距離となる。

保安距離

  • 住居:10m以上。
  • ガス等の施設:20m以上。
  • 学校、病院、劇場:30m以上。
  • 文化財:50m以上。
  • 特別高圧架空電線(7000V~35000V):3m以上。
  • 特別高圧架空電線(35000V超):5m以上。

保安空地

保有空地には配管以外の物品を置いてはならない。
製造所等の周囲に設ける保有空地の幅は、各施設ごとに指定数量の倍数で決められている。

危険物施設の構造規制

建築物

地階を有しないこと。(2階があってもよい)
屋根は軽量な不燃材料を用いる。
窓は網入りのガラスを使用する。
危険物のもれ・あふれ・飛散を防止する構造にする。

必要な設備

防火設備と自動閉鎖機能を持つ特定防火設備をつける。
液体を扱う場合は、浸透しない床で、傾斜をつけ、貯留設備をつける。
室内は、採光、照明器具をつける。
蒸気、粉じんを高所に排出する換気設備をつける。
管理設備に圧力計と安全装置を設けること。

  • 避雷設備:指定数量の10倍以上を貯蔵する施設。(製造所、屋内貯蔵所、屋外タンク貯蔵所、一般取扱所のみ)
  • 警報設備:指定数量の10倍以上を貯蔵する施設。(移動タンク貯蔵所を除く)

危険物施設の消火設備

製造所等には、消火設備の設置が義務付けられており、消火に必要な能力の単位として、所要単位を決めている。
所要単位は、建築物の種類、外壁の構造、面積と危険物の数量から求められる。
所要単位の1単位は、以下で計算する。

  • 屋内の製造所、取扱所:100m2(耐火構造でない場合は、半分のm2となる)
  • 屋内の貯蔵所:150m2(耐火構造でない場合は、半分のm2となる)
  • 屋外のすべて:水平最大面積。
  • 危険物:指定数量の10倍。

地下タンク貯蔵所では、貯蔵する危険物に対応した種類の小型消火器を2個以上、移動タンク貯蔵所では自動車用消火器を2個以上設置する。

危険物貯蔵所

貯蔵所には、屋内貯蔵所、屋外貯蔵所、屋内タンク貯蔵所、屋外タンク貯蔵所、簡易タンク貯蔵所、地下タンク貯蔵所、移動タンク貯蔵所の7種類がある。

屋内貯蔵所

容器に入った危険物を屋内に貯蔵する。
自然発火のおそれがあるものは、指定数量の10倍以下毎に、0.3m以上の間隔を空けて貯蔵する。
倉庫の床面積は、1000m2を超えないこと。
容器内の温度が55℃を超えないように管理する。
塊状の硫黄以外は、容器に入れて貯蔵する。
容器の積み重ねは、3m以下とする。架台を使用する場合は6m以下とする。
保安距離・保有空地が必要である。

屋外貯蔵所

容器に入った危険物を屋外に貯蔵する。
貯蔵可能な危険物は、第2類危険物の硫黄、引火性固体(引火点が0℃以上)と、第4類危険物で引火点が0℃以上のものである。
特殊引火物や、アセトン、ガソリン、黄リンなどは貯蔵できない。
容器の積み重ねは、3m以下とする。架台を使用する場合は6m以下とする。
保安距離・保有空地が必要である。

屋内タンク貯蔵所

屋内のタンクに危険物を貯蔵する。
貯蔵量の制限は、タンクの容量の総計が指定数量の40倍以下、但し第2・3石油類は20000L以下である。
タンクはタンク専用室に設置し、間隔を0.5m以上取ること。
保安距離・保有空地は不要である。

屋外タンク貯蔵所

屋外のタンクに危険物を貯蔵する。
タンクから敷地境界線までは、規定の敷地内距離をとること。
すべての液体の貯蔵の場合は、防油堤を設ける。
防油堤の容量は、最も大きいタンクの110%以上で、高さは0.5m以上(1m以上の場合は30mおきに階段か盛土をする)とする。
排水用の水抜口と弁をつけて、通常は閉めておく。
材質は鉄筋コンクリート(コンクリートブロックは不可)または土を使用し、配管は貫通させないこと。
保安距離・保有空地が必要である。

簡易タンク貯蔵所

簡易タンクに危険物を貯蔵する。
貯蔵量の制限は、1基の容量が600L以下で、3基以下とする。また、それぞれ貯蔵する危険物の品質は異ならなければならない。
原則は屋外に設置し、固定する。また通気管をつけること。
保安距離は不要だが、保有空地は1m以上(屋内の場合は壁から0.5m以上)とる。

地下タンク貯蔵所

地下タンクに危険物を貯蔵する。
液体の漏れを検査する漏洩検査管を4箇所以上に設置する。
第5種消火設備を2個以上設置する。
タンクの間隔は0.1m以上おいて乾燥砂を詰める。
タンクの頂部は地面から0.6m以上離し、通気管はタンクの頂部に取り付けて、先端は地面から4m以上の長さで設置する。
保安距離・保有空地は不要である。

移動タンク貯蔵所

タンクローリーや、国際輸送用のタンクコンテナが該当する。

構造

貯蔵量の制限は、30000L以下で、4000L以下ごとに間仕切りをつけて、それぞれに防波板、マンホール、安全装置を設置する。
場所は屋外が1階とする。
タンク下部の排出口の底弁には、手動および自動閉鎖装置をつけ、非常時は15cm以上のレバーで閉鎖できるようにする。
取り扱う危険物の種類、品名、最大数量を表示し、「危」の文字を掲げる。
第5種消火設備を2個以上設置する。
静電気防止のため、接地導線をつける。
危険物保安監督者の選任、警報設備の設置は必要ない。

運用

長時間(1人で4時間以上、1日9時間以上)の運転が必要な場合は、運転者は2名以上とする。
ガソリン・灯油・軽油・重油の移送時は、危険物取扱者(甲種、乙種4類、丙種)が免状(写しは不可)を携帯して乗車する必要がある。
アルコールの移送時は、丙種の危険物取扱者は不可である。
常備が必要な書類は、完成検査済証、定期点検記録、譲渡引渡し証、指定数量の変更届がある。
移動車両は、消防吏員・警察官は免状確認のため停止できる。
引火点が40℃未満の危険物(ガソリン)をタンクに注入する場合は、エンジンを停止しなければならない。(引火点が40℃以上の第4類危険物は可)
引火点が40℃未満の危険物(ガソリン)は、容器に詰め替えできない。(引火点が40℃以上の第4類危険物は可)
法令で定める危険物を移送する場合を除き、事前の許可・届出は必要ない。

危険物取扱所

取扱所には、販売取扱所、給油取扱所、移送取扱所、一般取扱所の4種類がある。

販売取扱所

危険物を容器入りのままで販売する店舗が該当する。

  • 第1種:指定数量の15倍以下。
  • 第2種:指定数量の15倍超~40倍以下。

給油取扱所

ガソリンスタンドが該当する。

構造

地下タンクの容量に制限は無い。但し、廃油用のタンクは10000L以下とする。
自動車等が出入りする給油空地を設置し、間口は10m以上、奥行きは6m以上とる。
高さ2m以上のへいを設置する。固定給油設備は敷地から2m以上離し、1m以上の間隔をとる。(懸垂式は4m以上)
「給油中エンジン停止」「火気厳禁」の掲示をする。
建物は遊技場や診療所には使用できない。コンビニ、飲食店、展示場には使用できる。
保安距離・保有空地は不要である。

ホース

配管以外のホースで給油してはいけない。
給油ホースの長さは5m以下とする。
レギュラーガソリンのホースの色は赤とする。
給油ホースに著しい引張力が加わった時は、安全に分離し、危険物を漏らさない構造とすること。

運用

専用タンクの注入口から3m、通気管からは1.5m以内の部分に自動車は停止させないこと。
給油は、固定給油設備を使用して直接給油すること。
給油時は、必ず自動車のエンジンを停止すること。
給油空地から、はみ出たまま給油してはいけない。
排水溝と貯留設備、油分離装置を設けて、溜まった油は随時くみ上げて、下水には流さない。
自動車などの洗浄には引火点を有する(可燃性)洗剤を使用してはならない。
貯蔵タンクに荷卸し中は、固定給油設備の使用を中止する。

移送取扱所

配管やポンプによって危険物を移送するパイプラインが該当する。

一般取扱所

危険物を取扱う施設で他の取扱所に分類されないもの。ボイラー施設やクリーニング工場などが該当する。

危険物の運搬

運搬とは、トラックでの輸送の事で、タンクローリーなどの移動タンク貯蔵所は移送という。
運搬基準は、運搬容器・積載方法・運搬方法に関して定めており、数量に関わらず適用される。

運搬容器

容器の材質、構造、最大容量が決められている。
表示するのは、品名(類名)、危険等級、化学名、水溶性、数量、注意事項(第4類は火気厳禁)である。
容器は収納口を上方に向けること。積み重ねは、地面から3m以下とする。
容器内は固体で95%、液体で98%以下かつ55℃で漏れないように密封する。

積載方法

指定数量以上(10倍ではない)に限り、標識と消火設備が必要となる。
第4類の特殊引火物の運搬時は、遮光性の被覆でおおうこと。
1つの外装容器に異なる類の危険物を収納できない。混載が可能なのは以下のものである。

  • 指定数量の1/10以下。
  • 第1類と第6類。
  • 第4類と第2、3、5類。
  • 第4類と高圧ガスの120L未満。

Ver.1.1.0

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