直流

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直流とは

時間的に大きさと向きが変わらない電流。
電流を妨げるものは抵抗のみである。
電源から流れる電流の方向は常に(+)から(ー)の一定方向に流れる。

直流回路

オームの法則(直流)

電圧V、抵抗R、電流Iは以下の公式で表すことができる。

$\displaystyle V=RI \ [V] $

$V$:電圧 [$V$]
$R$:抵抗 [$Ω$]
$I$:電流 [$A$]

直列回路(直流)

各抵抗を流れる電流は等しい。
各抵抗の電圧は抵抗の比率に等しくなる。
合成抵抗は、各抵抗の和で求めることができる。

$\displaystyle I=I_1=I_2 $

$\displaystyle V=V_1+V_2 V_1=\frac{R_1}{R_1+R_2}V V_2=\frac{R_2}{R_1+R_2}V $

$\displaystyle R=R_1+R_2 $

$V$:電圧 [$V$]
$R$:抵抗 [$Ω$]
$I$:電流 [$A$]

並列回路(直流)

各抵抗の電圧は等しい。
各抵抗を流れる電流は、抵抗の比の逆比となる。(分流の式で求めることができる)
合成抵抗は、合成抵抗の逆数が各抵抗の逆数の和となる。(和分の積で求めることができる)

$\displaystyle V=V_1=V_2 $

$\displaystyle I=I_1+I_2 I_1=\frac{R_2}{R_1+R_2}I I_2=\frac{R_1}{R_1+R_2}I $

$\displaystyle \frac{1}{R}=\frac{1}{R_1}+\frac{1}{R_2}=\frac{R_1+R_2}{R_1R_2} $

$\displaystyle R=\frac{R_1R_2}{R_1+R_2} $

$V$:電圧 [$V$]
$R$:抵抗 [$Ω$]
$I$:電流 [$A$]

抵抗

電流を妨げるもの。単位は、[Ω]。
ジュール熱となって消費される。

$\displaystyle R=ρ\frac{l}{A} \ [Ω] $

$R$:抵抗 [$Ω$]
$ρ$:抵抗率 [$Ω・m$]
$A$:面積 [$m^2$]
$l$:長さ [$m$]

抵抗率

導体の電気の流れにくさを表す数値。(断面積1m2、長さ1m当たりの抵抗)
単位は、[Ω・m]。

$\displaystyle ρ=\frac{1}{σ} \ [Ω・m] $

$ρ$:抵抗率 [$Ω・m$]
$σ$:導電率 [$S/m$]

導電率

導体の電気の流れにやすさを表す数値。
抵抗値の逆数。単位は、[S/m]。

$\displaystyle σ=\frac{1}{ρ} \ [S/m] $

$σ$:導電率 [$S/m$]
$ρ$:抵抗率 [$Ω・m$]

抵抗温度係数

金属の抵抗は温度が上昇すると増加する。
半導体は温度が上昇すると抵抗率が減少する。(温度係数が負となる)
抵抗温度係数α、温度上昇分をt2ーt1とすると以下のようになる。

$\displaystyle R’=R+α(t_2-t_1)×R \ [Ω] $

$R’$:上昇後の抵抗値 [$Ω$]
$R$:上昇前の抵抗値 [$Ω$]

直流における素子の特性

抵抗の特性(直流)

ジュール熱となってエネルギーが消費される。
周波数によって値は変化しない。
直流・交流ともに同じ値である。

コイルの特性(直流)

最初は電源からの電流を妨げる向きに起電力が生じ、電流は流れない。(回路としては開放状態)
定常状態では、抵抗が無視できる状態になり電流が流れる。(回路としては短絡状態)
放電時は、磁気エネルギーが蓄えられたコイルは電源として機能し、今まで流れていた電流を保とうとする方向に放電され(逆起電力が生じる)、やがて電流は流れなくなる。(回路としては開放状態)

コンデンサの特性(直流)

最初は電源からの電流(Q=CV)を蓄えながら、電流は流れる。(回路としては短絡状態)
定常状態では、飽和して流れなくなる。(回路としては開放状態)
放電時は、静電エネルギーが蓄えられたコンデンサは電源として機能し、充電時に電流が入っていた方向が(+)となり、(+)より電流が放電され、やがて電流は流れなくなる。(回路としては開放状態)

電気回路の定理

キルヒホッフの法則

第一法則

分岐点において電流の流入の和と流出の和は等しい。

  1. 各分岐点の電流の和の式を作る。

第二法則

閉回路において、電源電圧の和と電圧降下の和は等しい。

  1. 閉回路を1周する一方向の円を描く。
  2. 1の向きと逆に電流が流れる時、電源が逆向きの時は(-)にして、電圧の和を求める。
  3. 電圧の和=0が成り立つ。

複数の起電力がある回路

  1. 分岐点における電流の方向を仮決めして、第一法則より分岐点の電流の式を作成する。
  2. 複数の閉回路に分けて、第二法則より電圧の式を閉回路分作成する。
  3. 1、2で作成した式から値を求める。

ミルマンの定理

複数の起電力と抵抗の組み合わせがある並列回路において、並列部分の電圧を求める法則。
起電力の無い回路はE=0とする。起電力が逆向きの部分はーEとする。
抵抗がコンデンサの場合は1/Rの部分をCに変えて計算する。

$\displaystyle V_{ab}=\frac{\displaystyle \frac{E_1}{R_1}+\frac{E_2}{R_2}+\frac{E_3}{R_3}}{\displaystyle \frac{1}{R_1}+\frac{1}{R_2}+\frac{1}{R_3}} $

重ね合わせの理

複数の起電力がある場合、各枝路に流れる電流は、各起電力がそれぞれ単独にあるときに、その枝路に流れる電流の和に等しくなる法則。
抵抗だけでなく、コンデンサ、コイル回路についても成り立つ。
電流値の部分を電圧値としても、合成が成り立つ。
複数の起電力のある回路について、以下の手順で求める。

  1. 起電力1個を残し、他の起電力を短絡した回路を複数作成する。
  2. 求めたい部分の電流値を、作成した回路ごとに求める。
  3. それぞれの回路で求めた電流値を合計すると元の回路の電流値となる。(向きに注意)

テブナンの定理

回路の一部分の電流を求める場合、等価回路に変換して求める定理。
求めたい部分の開放時の電圧(電位差)が分かる場合に使用する。

  1. 求めたい抵抗(コンデンサ)の両端部分を端子abとして取り出し、端子ab+起電力+内部抵抗の直列回路と仮定した等価回路を作成する。
  2. 元の回路で、端子ab間の開放時の電圧(電位差)を求める。
  3. 元の回路で、起電力を短絡して、端子ab間に起電力があると仮定したときの抵抗の和を求める。
  4. 2の電圧を等価回路の起電力の値、3の抵抗を内部抵抗の値として、等価回路に当てはめる。

ブリッジ回路

対角線上の抵抗(静電容量)の積が等しい場合は、中間の回路に電位差が無いので電流は流れない。従って中間の回路は無視(消す)できる。
中間点の電位差が無い場合はR1×R4=R2×R3が成り立つ。
交流の場合、実部同士および虚部同士が等しくなければならないので、各インピーダンスについてZ=a+jbの式を作り、平衡条件に当てはめる。
仮に中間の回路にスイッチがあり、閉じても開いても合成電流に変化が無い場合は、ブリッジ回路とわかる。

定電圧源と定電流源

電池の内部抵抗

電池の内部に存在する抵抗。
電池の端子電圧は、電池の持つ起電力から内部抵抗の電圧低下分を引いたものとなる。

定電圧源

負荷の大きさが変動しても、一定の電圧を供給できる電源のこと。
内部抵抗は電源と直列で、内部抵抗(内部インピーダンス)は小さく0(回路上は短絡)と考える。
回路上は固定起電力として考える。

定電流源

電流源とは負荷の大きさが変動しても、一定の電流を供給できる電源のこと。
内部抵抗は電源と並列で、内部抵抗(内部インピーダンス)は大きく∞(回路上は開放)と考える。
回路上はそこに流れる固定電流値として考える。


Ver1.0.2

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