積分回路・微分回路・共振回路

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過渡現象

RL直列回路

コイルの特性として、最初は電流は流れないが、しだいに流れ始め、最終的(定常状態)にはコイル部分は短絡状態となる。
コイルの電圧は、最初は開放状態なので電源電圧が加わるが、徐々に電流が流れ始めて電位差は0(短絡状態)となる。
定常状態で電源を開放した閉回路にすると、コイルは今まで流れていた電流を流し続けようと、コイル自身が磁気エネルギーによって逆起電力を発生して電流が流れる。電流は定常状態までと逆の線を描きながら減っていく。

RC直列回路

コンデンサの特性として、最初はコンデンサ部分は短絡状態となり全電流が流れるが、しだいに飽和状態となり、最終的(定常状態)には、コンデンサが充電された時点で電流は流れなくなる。
コンデンサの電圧は、最初は短絡状態なので電位差0だが、徐々に電流が溜まり始めて電源電圧まで蓄積されて飽和する。(開放状態)
定常状態で電源を開放した閉回路にすると、コンデンサが電源となり、充電された電流が充電時と逆方向に流れ出す。電流は定常状態までと逆の線を描きながら減っていく。

時定数

電気回路に電流を流しはじめてから、定常電流になるまでの変化速度を表す定数。
立ち上がりの良さ、応答性の良さを表す。
具体的には、過渡現象の立ち上がり時は定常値の63%、立ち下がり時は定常値の37%に達するまでの時間で、時定数が小さければ小さいほど、反応が早くなる。
RL回路とRC回路の時定数は、以下の式で表される。

$\displaystyle τ=\frac{L}{R} τ=CR $

$τ$:時定数
$R$:抵抗
$L$:インダクタンス
$C$:静電容量

積分回路

入力の矩形波信号の立ち上がりを遅らせる時に使用する。
出力電圧を取り出す部分は以下となる。
RL直列回路:抵抗Rの電圧
RC直列回路:コンデンサCの電圧

RL直列回路
RC直列回路

ローパスフィルタ

ある周波数より高い周波数のみを遮断させる回路として動作する。

  • RL直列回路:周波数が高いとコイルのリアクタンスが大きくなり、周波数が高い成分は回路を通過しづらくなる。
  • RC直列回路:周波数が高いとコンデンサのリアクタンスが小さくなり、周波数が高い成分はコンデンサに流れて出力側へ回らない。

微分回路

矩形波の入力信号からパルス状の信号を作るときに使用する。
出力電圧を取り出す部分は以下となる。
RL直列回路:コイルLの電圧
RC直列回路:抵抗Rの電圧

RL直列回路
RC直列回路

バイパスフィルタ

ある周波数より高い周波数のみを通過させる回路として動作する。

  • RL直列回路:周波数が高いとコイルのリアクタンスが大きくなり、周波数が高い成分はコイルに流れず出力側へ回る。
  • RC直列回路:周波数が高いとコンデンサのリアクタンスが小さくなり、周波数が高い成分は回路を通過しやすくなる。

マルチバイブレータ回路

方形波などのパルスを出力する回路で、非安定型、単安定型、双安定型の3種類がある。
2つの増幅素子(トランジスタなど)を、抵抗とコンデンサでたすきがけ形に接続することを特徴とする。
発振周期はRC回路の時定数に依存し、時定数が大きければ周期も大きくなり、周波数は小さくなる。

共振回路

RLC直列回路(並列回路)において、誘導性リアクタンスと容量性リアクタンスが等しく、互いを打ち消しあう状態を共振と呼ぶ。
共振回路では、誘導性リアクタンスと容量性リアクタンスが無くなり抵抗だけの成分となり、電流と電圧は同相となる。
XL=XC(ωL=1/ωC)の時、共振となりその時の周波数を共振周波数f0と呼ぶ。

$\displaystyle X_L=X_C \rightarrow 2πfL=\frac{1}{2πfC} \ [Hz] $

$\displaystyle \rightarrow f_0=\frac{1}{2π\sqrt{LC}} \ [Hz] $

RLC直列共振回路

等価回路上では、コイルとコンデンサ部分は無くすことができるので、回路の合成インピーダンスは抵抗Rのみとなる。
RLC直列回路で共振状態の場合、LCの電圧は合成すると打ち消され、すべての電圧が抵抗Rにかかるので、電流値(I=V/Z=V/R)は最大となる。

RLC並列共振回路

等価回路上では、コイルとコンデンサ部分は無くすことができるので、回路の合成インピーダンスは抵抗Rのみとなる。
RLC並列回路で共振状態の場合、LCの電流は合成すると打ち消され、抵抗Rだけの電流になるので、電流値は最小となる。

同調回路

共振する周波数の交流のみを通過させたり、遮断したりする回路。
コンデンサは周波数が高い交流ほど通しやすく、コイルは周波数が高い交流ほど通しにくいという正反対の性質を利用する。それぞれの周波数特性の曲線が交わる周波数においては、共振して、インピーダンスが急激に変化する。(直列接続の場合は下がり、並列接続の場合は上がる)
従ってコンデンサとコイルを直列接続すれば通過回路、並列接続すれば遮断回路ができる。


Ver1.0.3

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