サイリスタ

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サイリスタの原理

逆阻止3端子サイリスタ

一方向の電流のみを流す整流素子。
A(アノード)、K(カソード)、G(ゲート)の3端子を持つ。
ダイオードとの違いはG(ゲート)の信号によってターンオン制御できる。
アノード→カソードへの電流をアノードーカソード間の電圧とゲートからの電流によって制御する。
ゲートがONになるまで電流は流れない。ゲートの信号あくまでトリガなので、継続して電流を流す必要は無い。
ターンオフの制御はできない(電圧が0になるとOFFになる)ため、オン制御デバイスと呼ばれる。
p形半導体とn形半導体を4層(pnpn)以上に接合した構造である。

動作の流れ

  1. AーK間の電圧が逆方向(Aが負でKが正)の場合はA→Kへの電流は流れない。
  2. AーK間の電圧が順方向(Aが正でKが負)の場合で、Gに電流を流すと点弧し、A→Kに電流が流れる。(ターンオンする)
  3. オン状態の後はGの電流を0にしてもA→Kの電流は流れ続ける。
  4. Gの信号による自己消弧能力(ターンオフ)は無く、AーK間の電圧が0になるとターンオフする。従って、交流の場合はAーK間の電圧が0となる瞬間があるため、自然と消弧する。
    直流の場合は消弧するにはAーK間に負電圧をかける必要がある。

※AーK間の電圧が順方向または逆方向で、ブレークオーバー(ダウン)電圧に達すると、Gの点弧が無くても電流が流れ出す。(オン状態となる)

ターンオン・オフ

スイッチ素子がオフ→オンに転じることをターンオン(点弧)といい、これに要する時間をターンオン時間という。
スイッチ素子がオン→オフに転じることをターンオフ(消弧)といい、これに要する時間をターンオフ時間という。サイリスタには自分でターンオフする能力(自己消弧能力)が無いため、消弧専用の回路(転流回路)が必要となる。

サイリスタの位相制御

サイリスタでは、ゲート信号によってターンオンのタイミングが制御ができるため、ターンオンさせるタイミングを位相角αまでずらすことで出力電圧の制御が可能となる。
この位相角αを制御角と呼ぶ。

その他のサイリスタ

GTOサイリスタ

G(ゲート)の信号によって高速でターンオンだけでなく、ターンオフが可能なサイリスタ。(オンオフデバイス)
ターンオンはG(ゲート)に順方向電流(正電圧)を流す。
ターンオフはG(ゲート)に逆方向電流(負電圧)を流す。
ゲート電流が大きく発熱が大きい素子なので冷却が重要である。

光トリガサイリスタ

光パルスで点弧できるサイリスタ。
ターンオフはできない。

トライアック

サイリスタを双方向に接続したもので、位相調整回路で使用する。
3つの端子を持つスイッチング素子で、一つのゲート端子で、双方向の電流を制御することができる。
ゲートからトリガパルスを与えたタイミングから逆バイアス(0電位)になるまでの間、電流が導通する。
位相の調整なので、上と下の波が存在する。
位相制御により出力電圧を調整できるため、交流電力調整装置の回路としても使用される。

トライアックの負荷波形

トリガ(点弧)が無く、サイリスタが導通しなければ、サイリスタ電圧V’は電源電圧がそのまま出力される。このとき電流は流れないので負荷電圧Vの波形は出ない。S1は上の波、S2は下の波に対応する。
負荷電圧Vとサイリスタ電圧V’の波形は相反する。
制御角αのトリガが有る場合、サイリスタ電圧V’は、制御角αまで電源電圧の波形となり、サイリスタ導通後は0となる。逆に負荷電圧Vは、制御角αから電源電圧が0となりサイリスタが消弧するまでは、電源電圧の波形となる。
誘導性負荷の場合の負荷電圧・負荷電流の波形は、電源電圧0以降もリアクトルの電流がしばらく流れ続けるので0となる位相はずれる。

力率角θと制御角α

基本波の力率角θ(電圧と電流の位相差)とした時、トライアックの電流通流幅は制御角αとθの関数となる。
本来は、制御角αのトリガのタイミングでサイリスタ電圧は無くなり、力率角θの遅れ電流が流れるが、α<θのとき、トリガのタイミングと遅れ電流のサイクルの差が広がっていき、トリガのタイミング前にオン状態となり電流が流れてしまい(転流失敗)、サイリスタのトリガによるターンオン制御ができなくなる。
また、位相角0のときは電圧と電流の波形は同じなので、ターンオフ点(電流が0となるとき)の電圧は0となるが、位相角θが大きくなるほど電流が0となった時の電圧波形は位相角分ずれており、サイリスタ電圧は大きくなる。


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