サイクロコンバータ
サイリスタを用いて交流電源から新たな低い周波数の交流を作り出す回路。
三相誘導電動機の速度制御などに使用される。
三相サイリスタブリッジ整流回路を2つを逆並列に組み合わせ、電流値の正負によって正群コンバータ、負群コンバータがが動作することによって、位相制御角の変調をして周波数を変換する。
電力回生(負荷側の余剰電力を電源側へ戻して再利用する)が容易に行える。
交流電源を使用するので電源電圧によって自然転流(自然にターンオフする)する。
直流を介さないので効率が高いが、多相整流結線となり、各相の利用率は悪い。
出力には多数の高周波が含まれてしまうため、波形はひずむ。
検波回路
振幅変調(AM変調)は、送信したいアナログ信号波を、搬送波(正弦波)の振幅方向の強弱を利用して伝送する方式である。
搬送波と信号波を合成したものを変調波といい、搬送波と信号波の比を変調度という。
検波回路によって、振幅変調した変調波から信号波を取り出す。
下記は最も簡単な包絡線検波回路である。
変調波の入力をダイオードに通すことで正領域の信号だけを取り出す。
コンデンサと抵抗が並列接続されており、搬送波の周波数は高いため、コンデンサのリアクタンスは小さく短絡状態となり、搬送波成分はすべてコンデンサ側に流れる。
信号波の周波数では、コンデンサは開放状態となり、信号波成分はすべて抵抗側に流れる。
搬送波周波数fc、信号波周波数fs、時定数τ=CRのとき、fs<<1/τ<<fcとなるように設計する。
チョッパ回路
電源のON/OFFを繰り返すことで、直流や交流電源から、任意の電圧や電流を作り出す電源回路。
降圧チョッパ回路
入力電圧以下の電圧を生成する回路。
- スイッチQが閉じている時間は、電源電圧Eから負荷Rへ電流が流れ、コイルLに電磁エネルギー、コンデンサCに静電エネルギーが蓄積される。
このときダイオードDは逆電圧で電流は流れない。 - スイッチQが開いている時間は、コイルLの電磁エネルギーが電源となり負荷Rに電流が流れる。このときダイオードDは順電圧で電流が流れる。
このときコンデンサCの静電エネルギーによる放電は、リプル電圧(微小な電圧変動)を低減し平滑化の役割をする。
スイッチ開閉の時間幅を調整し、繰り返すことで電圧は降圧される。
ダイオードに流れる電流は、リアクトルLと回路抵抗Rの時定数τ=L/Rで減少する。
スイッチが開いている時に、電源電圧が加わらない回路は降圧回路である。
チョッパ回路は負荷以外のコイルまでの部分が直流電源なので、負荷電流iRを求める際にコイルを負荷として加えないように注意する。
出力電圧Eoは電源電圧Eのとき、以下の式となる。Ton+Toffはスイッチングの1周期である。
$\displaystyle E_o=\frac{T_{on}}{T_{on}+T_{off}}E=αE \ [V] $
$E_o$:出力電圧 [$V$]
$E$:電源電圧 [$V$]
$T_{on}$:オン時間 [$s$]
$T_{off}$:オフ時間 [$s$]
通流率:$\displaystyleα=\frac{T_{on}}{T_{on}+T_{off}} (0<α<1)$
昇圧チョッパ回路
入力電圧以上の電圧を生成する回路。
- スイッチQが閉じている時間は、電源電圧Eからの電流は、コイルLに電磁エネルギーを蓄積してスイッチQを通って戻る。
このときダイオードDには電流は流れず、コンデンサCに蓄積された静電エネルギーが電源となって抵抗Rに電流が流れる。 - スイッチQが開いている時間は、電源電圧E+コイルLの電磁エネルギーが電源となり、負荷RとコンデンサCに電流が流れる。
このときダイオードDは電流が流れ、コンデンサCに静電エネルギーが蓄積される。
スイッチ開閉の時間幅を調整し、繰り返すことで電圧は昇圧される。
入力電圧以下の電圧は生成できない。
スイッチが開いている時に、電源電圧が加わる回路は昇圧回路である。
発電機の場合も電源となる。
Ton時のリアクタンスに蓄積されるエネルギーと、Toff時の放出エネルギーが等しいので、電源電圧Eからの電流をIとすれば、出力電圧Eoのとき、EITon=(EoーE)IToffが成り立つ。
負荷が発電機Eoとなり、直流電圧Eに電流を流す場合は、Eo→Eの昇圧回路として考える。
出力電圧Eoは電源電圧Eのとき、以下の式となる。Ton+Toffはスイッチングの1周期である。
$\displaystyle E_o=\frac{T_{on}+T_{off}}{T_{off}}E=\frac{1}{1-α}E \ [V] $
$E_o$:出力電圧 [$V$]
$E$:電源電圧 [$V$]
$T_{on}$:オン時間 [$s$]
$T_{off}$:オフ時間 [$s$]
$α$:通流率
昇降圧チョッパ回路
昇圧も降圧もできるチョッパ回路。
スイッチが閉じている時間はリアクタンスに電流が流れ電磁エネルギーが蓄積される。
スイッチが開くとリアクタンスに蓄積した電磁エネルギーからの電流が、コンデンサと抵抗に流れる。
通流率が0.5より小さいとき降圧され、大きいとき昇圧される。
$\displaystyle E_o=\frac{α}{1-α}E \ [V] $
$E_o$:出力電圧 [$V$]
$E$:電源電圧 [$V$]
$α$:通流率
クリッパ回路
ベースクリッパ回路
基準電圧より大きな部分の波形だけを取り出す回路。
基準電圧の直流電源を正または負方向に接続し、基準電圧より小さい部分の波形で交流電流が流れないようにしている。
正方向
負方向
ピーククリッパ回路
基準電圧より大きな部分の波形を切り取る回路。
基準電圧の直流電源を正または負方向に接続し、基準電圧より大きな部分の波形で交流電流が流れないようにしている。
正方向
負方向
リミッタ回路
ベースクリッパとピーククリッパを組み合わせた回路。
IC(集積回路)
IC(Integrated Circuit)は、シリコン基板上にトランジスタやダイオード、抵抗、コンデンサなどの回路素子を作り込み、素子間を相互に配線して電子回路として機能させるもの。
- モノリシックIC:シリコン基板に不純物を入れたり新たな結晶をつくることで、基板の物理性質を変えて電子回路を構成したIC。集積度が非常に高い。
- ハイブリッドIC:単体でつくられたトランジスタなどの素子を絶縁基板に貼り付けて配線したIC。大電力が必要な回路などで使用される。
- デジタルIC:各種の論理演算を行うデジタル量を扱うために、トランジスタやダイオードのスイッチング動作を利用したIC。
- アナログIC:アナログ信号処理や増幅器など専用の機能を行うICで、演算増幅器やリニアICなどがある。
- MOS IC:MOSFETを利用した集積回路をMOS ICと呼び、pチャネルMOSFETとnチャネルMOSFETを組み合わせた構造の集積回路をCMOS ICといい、現在のICの主流となっている。
Ver.1.0.3