その他の発電

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太陽光発電

太陽電池

pn接合された半導体(ダイオード)が光を受けることにより、正孔(+)がp形へ集まって正極となり、電子(ー)がn形へ集まって負極となる。ここで電位差(光起電力)が生まれ、直流電池として機能する。
出力電流は光の強さと面積で決まり、出力電圧は直列のセル数で決まる。1セルで1V程度である。
シリコン太陽電池には、純度と変換効率が高いが高価な単結晶、純度と変換効率が低いが低価な多結晶、変換効率が低いが強度が高く低価な非結晶(アモルファス)などがある。
負荷抵抗を接続することで、太陽電池で生産した電気エネルギーを負荷側に流して消費する。(太陽電池の温度は低下する)

太陽光発電の構成

等価回路では直流定電流源として示され、昇圧チョッパ、インバータで交流に変換される。
交流系と接続する場合はインバータ(逆変換装置)を内蔵した連系保護装置(パワーコンディショナ)を介して接続する。

太陽光アレイ

屋根などに設置するパネル。
太陽電池の基本となるセルを直列につないでガラスや樹脂などで強化したモジュールを、直並列に結線して配置したもの。

パワーコンディショナ(連系保護装置)

インバータによって太陽電池で作られた直流を交流に変換する。
5%程度のロスが発生する。
配電系統へ連系するため、発電量を調整し、系統電圧の上昇を抑制する保護装置も内蔵している。
位相・周波数を監視し、単独運転時の系統からの引き離しを行う。
出力電力と出力電圧が最大となる動作点を制御する最大電力点追従機能(MPPT機能)を有する。

I-V曲線
P-V曲線

蓄電池

昼間発電した電力を蓄える。

太陽光発電の特徴

太陽光エネルギーは晴天時で1秒間に約1kW/m2だが、実際の発電では1kWで10~15m2のパネルが必要で、変換効率は7~20%と低い。
導入では、気象条件による影響が大きいので、地域の年間発電電力量を予想し、設置する方位や傾斜を確認する。
化石燃料のように排気ガス(CO2)を出さないので環境にやさしい。

風力発電

大型のプロペラ風車などを使用した水平軸型(回転軸が地面に対して水平)と、垂直軸型(回転軸が地面に対して垂直)がある。
発電開始風速(カットイン)と発電停止風速(カットアウト)がある。
小規模発電が多い。小規模の場合は永久磁石発電機が使用される。

水平軸型
垂直軸型

風車の制御

  • 可変ピッチ機構:風の強さに応じて自動的に羽根(ブレード)の角度を変えることで、回転速度の制御を行なう。
  • 方位制御機構:風を正面で受けるように、風向きに合わせて羽根を旋回させる。

電力系統との接続

  • 交流型:発電した交流電源を系統に直接接続する。
    接続系統の交流に合わせる同期が必要だが、系統の周波数に合わせて発電できる誘導発電機が使用されている。
  • 直流型:電力変換装置により一旦直流に変換した後に交流にして系統に接続する。
    同期発電機が使用される。

風力発電のエネルギー

風の持つ運動エネルギーは風速の2乗に比例し、風車面を通過する単位時間当たりの空気の質量は風速の1乗に比例する。
従って風力での発電エネルギーは、受風面積の1乗に比例し、風速の3乗に比例する。
風車によって風のエネルギーを動力に変換する効率をパワー係数と呼び、0.4程度で変換効率は低い。

$\displaystyle P=\frac{1}{2}mv^2×k=\frac{1}{2}(ρSv)v^2×k \ [J/s] $

$P$:1秒当たりの運動エネルギー [$J/s$]
$m$:単位時間当たりの質量 [$kg$]
$v$:風速 [$m/s$]
$ρ$:空気密度 [$kg/m^3$]
$S$:風車の回転面積 [$m^2$]
$k$:パワー係数

その他の発電

バイオマス発電

動植物の有機性生物系資源を利用した発電。
家畜糞尿などの廃棄物によるメタンガスや、木材・サトウキビなどの作物から作られるバイオエタノールを使用する。
量的確保や食物をエネルギーとして消費することによる作物価格への影響が課題となる。
カーボンニュートラルが可能である。(発電時に発生する二酸化炭素と、作物に吸収される二酸化炭素の量を同じにする)

地熱発電

火山地域の地下から発生する蒸気のもつエネルギーを利用し、タービンで発電する。
自然の蒸気や熱水を使用するので燃料が不要だが、蒸気の温度や圧力が低いため、タービンや復水器が大形になる。
地熱は蒸気と熱水を汽水分離機で蒸気だけに分離して使用する。蒸気に不純物が含まれているので防食の必要がある。
タービンの負荷が変動すれば、入口蒸気圧力も変化する。(汽力発電と同じ)

廃棄物発電

廃棄物燃焼時の熱を利用してタービンで発電を行う。

ディーゼル発電

ディーゼルエンジン」参照。

ガスタービン発電

ガスタービンエンジン」参照。

コージェネレーションシステム

発電の際に出る排熱を、給湯や冷暖房に利用するシステム。
ガス、石油などの1種類の燃料から、電気と熱の2種類のエネルギーを発生させる。
需要場所に設置するので送配電損失が無く、熱効率が80%(発電30%+排熱利用50%)と高い。
電気と熱のどちらに主を置くかで運転方法が異なり、電力を供給することを主として熱の供給制御を行わない運転を「電主熱従」という。
電主熱従の場合、空気調和その他の熱需要に追従できない場合がある。

エコウィル

都市ガスやLPガスを用いてガスエンジンで発電して、排熱を利用して湯を作り貯湯ユニットに蓄えて利用するシステム。
家庭用で、給湯がメインで発電は補助的な役割をする。
エンジンの騒音対策が必要である。

エネファーム

都市ガスやLPガスから水素を取り出し、燃料電池で発電して、排熱を利用して湯を作り貯湯ユニットに蓄えて利用するシステム。
騒音やCO2の排出は無いが、イニシャルコストが高い。


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